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化学・材料学科 髙坂泰弘准教授がPolymer Chemistry誌のPioneering Investigators 2025に選出

Polymer Chemistry誌(The Royal Society of Chemistry; 英国・王立化学会発行)が選出するPioneering Investigators 2025特集に、高坂泰弘 准教授(化学・材料学科;Rising Star教員)が選出され、吉田太一さん(総合理工学研究科繊維学専攻化学・材料分野;修士課程2年)、西家菜摘さん(同修士課程修了)との共著論文が同誌オンライン版に掲載されました。この特集は、高分子化学分野のパイオニアとして独自の研究領域を確立し、高分子化学分野を先導する中堅研究者の成果を紹介する特集です。高坂准教授は2018年に同誌が選ぶEmerging Investigators 2018特集にも、新進気鋭の若手研究者として選出されていました。

(論文の内容)
アクリル樹脂は、有機ガラスや接着剤などとして広く利用され、私たちの生活や産業を支える重要なプラスチックです。本研究では、その主鎖に「二環式架橋骨格」と呼ばれる特徴的な構造を組み込んだ、新しいアクリル樹脂を報告しました。二環式架橋骨格は、カンファー(樟脳)やβ-ピネンといった天然分子にも見られる構造です。この骨格をアクリル樹脂に導入すると、溶解性や透明性を保ちながら、優れた耐熱性(高いガラス転移点)が得られることがわかりました。

本研究は、サリチル酸を原料に、環状アクリル二量体を効率的に合成する手法を見出したことがキッカケです。この二量体は2つのアクリル基が近接して配置されており、分子内反応を経由する「環化重合」の様式で重合が進行することがわかりました。結果として、主鎖に二環式架橋骨格を有する新しいアクリル樹脂の合成に成功しました。

(高坂准教授のコメント)
本研究は、信州大学に着任して以来10年にわたり取り組んできた「共役置換反応」と「モノマー設計」が鍵となっており、これまでの研究の集大成とも言える内容です。独立して研究室を立ち上げる機会を下さった、繊維学部および化学・材料学科に改めて感謝を申し上げます。今回の論文掲載は2018年以降の研究成果を評価されてのものです。これまで研究を支えてくださった多くの方々に心から御礼申し上げます。

(論文情報)

Poly(bridged bicycle)s synthesized via cyclopolymerization of cyclic diacrylates

Yasuhiro Kohsaka, Taichi Yoshidab and Natsumi Nishiie

Polymer Chemistry, 2025 Advanced Article

DOI: https://doi.org/10.1039/D5PY00631G