細菌の環境適応能力を明らかにする
- 教員氏名
- 小笠原 寛
- 職名
- 准教授
- 所属
- 基盤研究支援センター 遺伝子実験支援部門
- 研究分野
分子生物学、ゲノム微生物学
- 研究課題
細菌の表層ストレス応答機構の研究
細菌のバイオフィルム形成過程における遺伝子発現制御機構の研究
- 出身校
- 近畿大学
- SOAR
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一言コメント | 細菌のストレス応答機構の研究を行っています。主に大腸菌を用いて、環境ストレス感知のメカニズムや、バイオフィルム形成など細菌細胞特有の形態変化に関わる遺伝子発現調節システムについて研究を行っています。 |
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研究紹介
ミクロの世界の集団生活。ゲノム情報から見えてくる細菌の生存戦略とは?
肉眼では見えないミクロの世界で、単細胞の細菌はどのように生活しているのか---自然環境下で、多くの細菌は集団で生活し、その中でお互いにコミュニケーションを取り合っていることが分かってきました。当研究室ではプラスチックや金属など、固体表面に付着した細菌が増殖を始め、やがて多細胞生物のように集団化するまでの過程で、どの遺伝子をどのように働かせているのかについて研究を行っています。このように、細菌が集団化する仕組みを理解することで、将来的には工業や医療の分野で問題を引き起こす細菌たちを標的とした、薬剤の開発にも役立てたいと考えています。
枯草菌の電子顕微鏡写真。多くの細菌は集団で生活している (左)。ゲノム情報を基に、細菌の集団化に関わる遺伝子を詳細に解析 (右)。 | 遺伝子の働きが活性化される培養条件の検討。細菌は、外部環境の変化に応じて瞬時に遺伝子の働きを調節する能力を持っている。 |
≪研究から広がる未来≫
日々進歩する遺伝子解析技術により、今では有用菌から有害菌まで、多くの細菌種で全ゲノム配列が決定されています。その中には、私たちの生活を向上させるために役立つ様々な情報が沢山含まれていますが、細菌はこれらすべての遺伝子機能を、いつも働かせている訳ではありません。細菌が状況に応じて遺伝子を働かせる仕組みを知ることで、個々の細菌の持つ能力を最大限に利用することも可能となります。