繊維製品を計測、繊維製品で計測

児山 祥平
教員氏名 児山 祥平
職名 准教授
所属 先進繊維・感性工学科
研究分野

光応用計測、繊維工学

研究課題

1. FBGセンサでのマルチバイタルサイン計測システムの開発
2. 分光分析による繊維製品の非破壊鑑別
3. 繊維製品の機能性評価

出身校 信州大学
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一言コメント

ヒトがより快適な生活を過ごすため、繊維製品は大きな進化を遂げています。この進化した繊維製品のスマートテキスタイルを活用するための新しい技術開発を目指しています。

研究紹介

新しい繊維製品に対する計測分野への応用

THz分光分析という新たな分析装置を使用して、繊維製品を計測可能な技術開発に挑戦しています。この技術によりセルロース系繊維や獣毛繊維など、これまで困難であった繊維種同士の鑑別が期待されます。また、FBGセンサという高感度な光ファイバー型ひずみセンサを使用して、手首の脈拍の歪信号から脈拍数・呼吸数・血圧など複数の生体信号を同時に計測可能なシステム開発を行っています。将来、簡単に取り扱え、長時間使用できるようにリストバンド型センサでの製品開発を目指しています。

 

 
「分光分析装置を使用した繊維製品の新しい鑑別方法を開発する研究」で使用するTHz分光分析装置   左: 試作したリストバンド型マルチバイタルサインセンサ、右: FBGセンサの繊維製品への導入 (左図赤部の拡大図)

 

≪研究から広がる未来≫


スマートテキスタイルの評価や開発に向けた新しい計測方法を提案することが研究の目標です。これまで計測できなかった繊維製品の情報を取得する、および新しいスマートテキスタイルを開発することで、より快適な生活を過ごすことができる繊維製品を社会に発信していくことを目指します。

光ファイバーを用いた生体情報の計測

世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行するわが国では、健康状態のモニタリングが健康寿命の延伸や病気の早期発見において重要な役割を果たしています。先進繊維・感性工学科の児山 祥平 助教は、光ファイバーの1種であるFiber Bragg Gratingセンサー (以下、FBGセンサー) を用い、脈波などの生体情報の計測やウェアラブル計測デバイスの開発に取り組んでいます。FBGセンサーは従来、橋や道路などの橋梁構造物の検査に用いられていましたが、測定対象物のわずかな歪みを検出できることから、児山助教らのグループはFBGセンサーを手首や肘の脈動点に貼付することで脈波の計測が可能なことを明らかにしています (写真)。さらに、計測した脈波から呼吸数や血圧など、他の生体情報を抽出することにも成功しています。また、FBGセンサーを組紐状に加工し、テキスタイルの形態にしても同様に生体情報の計測が可能なことも確認しており、現在は衣服のようなウェアラブルな計測デバイスの開発に向けて研究を進めています。これらの研究は、誰もが安心して健康に暮らせる見守りサービスの実現において重要な要素技術となることが期待されます。

(掲載期間 令和 2年 7・8月)