未来を拓く機能性ナノ材料

教員氏名 | 浅尾 直樹 |
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職名 | 教授 |
所属 | 化学・材料学科 |
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研究紹介
社会に役立つ新しい材料を求めて 未来を拓く機能性ナノ材料
浅尾研究室では、材料科学と物質変換学の融合をテーマに、エネルギー問題や環境問題に対応できる新しい機能性材料の開発を目指して研究を行っています。特に最近は、脱合金化手法を取り入れた金属酸化物ナノ材料の新しい作製法の開発に成功しました。この新しい方法を用いることにより、極めて微細な構造から成る様々なナノワイヤやナノロッドを簡単に作ることができるようになりました。更に、これらナノ材料は特異な微細構造を持つことから、自動車排ガスの浄化助触媒や光触媒、イオン吸着機能など様々な特性を発現することが明らかとなり、基礎から応用まで幅の広い研究を行っています。
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(左)チタン酸ナトリウムナノワイヤの電子顕微鏡像 (右)酸化セリウムナノロッドの電子顕微鏡像 |
ナノ多孔質金触媒を用いた物質変換反応 |
≪研究から広がる未来≫
金属酸化物は様々な特性を持つことから、色々な分野で広く利用されている重要な材料です。またそれらをナノ材料化すると、バルクとは異なる新たな機能性を引き出すことができます。ナノ材料化には既に様々な方法が知られていますが、既存の方法にとらわれない新たな作製法を開発してサイズや形態を制御することで、社会に役立つ優れた機能性材料の開発を研究していきたいと考えています。
圧倒的に "細い" 繊維 (= ナノワイヤー) を開発!
極めて細い繊維 (= ナノワイヤー) の開発に成功したのは、化学・材料学科の浅尾 直樹 教授です。その開発秘話を伺ったところ、「チタン合金に水酸化ナトリウムを加えると白い綿ができました。失敗作かと思いましたが、少し気になって電子顕微鏡で観察してみたところ、直径2~3ナノメートルの極細繊維が形成されていました!」と興奮気味に話してくださいました。セレンディピティ、すなわち、失敗が偶然にも大きな発見に結び付くことはノーベル賞受賞者などの成功者も度々お話しなさることで、浅尾教授にもそのような幸運の女神が舞い降りたようです。現在、このナノワイヤーが東日本大震災の影響で漏れ出した90Sr (放射性ストロンチウム) に対して極めて高い吸着性を示すことを見出し、実用化に向けた研究を精力的に展開されています。
2016年4月にオープンしたばかりの浅尾研究室ではその他にも、自動車の排ガスを除去する助触媒などの開発も進めておられます。独自に開発したナノ材料・ナノ繊維をさらに進化させることを通し、皆さんの近未来の生活に大きく貢献する日が来るのもそう遠くない、と感じました。
(掲載期間 平成29年 9・10月)