イベント情報

《オンライン開催》アクア・イノベーション拠点(COI) 第8回シンポジウム 開催報告

長野(工学)キャンパスのAICSからライブ配信

アクア・イノベーション拠点が主催する第8回シンポジウムが2021年2月2日に開催されました。
今回はコロナ禍の状況を考慮して、初のオンライン(Zoomウェビナー)開催となりました。
一般・関係者合わせて294名が参加。社会実装を見据えたプロジェクトの成果発表や、フリーディスカッションに注目が集まりました。

濱田州博 学長の開会挨拶に続き、来賓として、長野県産業労働部の林宏行 部長、COIを管轄する科学技術振興機構(JST)の水野正明 総括ビジョナリーリーダー代理からお言葉を頂きました。

続いて、大西真人プロジェクトリーダーから、プロジェクトの概要とこれまでの研究の経緯について説明がありました。
研究概況報告「Green Desalination と低圧RO膜」では、研究リーダーの遠藤守信 特別栄誉教授より、信大COIが開発したカーボンナノチューブ(CNT)を複合した海水淡水化逆浸透(RO)膜の耐ファウリング(汚濁)性や高透水性などの優れた特性と、セルロースナノファイバーを複合した低圧・高透水性RO膜や超純水用RO膜などの新たな水処理膜の開発について発表がありました。
続いて、日立製作所の北村光太郎氏からは、北九州市での海水淡水化実証試験から得られた信大開発膜の汚染状況の評価結果から、信大開発膜は市販膜に比べて付着する汚れが半分以下で、より簡易的な前処理と洗浄用薬品の低減が可能となる見込みという報告がありました。
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後半の概況報告「新しい水処理技術と水環境改善」では、まず手嶋勝弥教授より、結晶材料「信大クリスタル」によるアフリカでの飲用水のフッ素除去の取り組みについて、木村睦教授より、綿を利用した高感度フッ素イオンセンサとスマートフォンを用いた飲料水の安全性判定システムの開発について、中屋眞司教授からは、タンザニアでの飲料水のフッ素汚染の実態と、その解決のためフッ素センサの有用性についての報告がありました。
また、このテーマのまとめとして、SDGsの目標6「安全な飲料水へのアクセス」達成に向けた考え方と取組について、吉谷純一教授から報告がありました。

COI-S研究リーダーの高橋桂子氏(海洋研究開発機構)からは本プロジェクトで開発した水循環シミュレーションを用いた水循環解析のこれまでの成果と、よりよい環境の実現に向けた取り組みについて展望が語られました。
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研究概況報告に続き、信大COIで蓄積した材料科学や開発手法を様々な分野に広く展開する機関・アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)の会員企業によるフリーディスカッションが行われました。
上田新次郎AxC-PF会長の進行のもと、会員企業7社から、各社の水処理関連事業の紹介とCOIに期待することを発表いただきました。
今後の研究開発につながる課題の提案や、ビジネスの立場からの率直な意見が多く聞かれ、活発な議論が展開されました。
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文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課の斎藤卓也課長からの講評では、
「信大COIはSDGs実現に大いに貢献する技術を持っている。それを活用・社会実装して、コロナ後の社会を変える役割を担い、地域の持続的な発展につながることを期待する」とのお言葉を頂きました。
このあと、産学官社会連携担当の中村宗一郎理事より閉会の挨拶があり、シンポジウムは閉会となりました。

8回目にして初めてのオンライン開催となった今回のシンポジウムですが、参加者数は過去最高となり、チャット機能で多くの質問が寄せられるなど、参加された皆様と大変活発な交流を行うことができました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。