きれいで安全な水が
世界中の人々の生活を支える未来へ

アクア・イノベーション拠点は、海水や汚濁物・有害物質を含む水など、多様な水源から安全・安心な水を造り、それを循環して、飲料水や生活用水、農業用水、工業用水などを世界の人々に豊かに提供します。人口爆発が進む21世紀、十分な水の供給により、食糧生産、工業生産、衛生環境などで地球規模の持続可能性に貢献します。さらに、生産量が増大した農産物の輸出や、工業の発展などにより経済も潤い、世界の豊かな生活環境の創出に寄与します。

実現の鍵となる
研究開発テーマ

1

ナノカーボン逆浸透(RO)膜を
用いた海水淡水化技術

従来の脱塩用高分子膜は高圧ポンプのエネルギー消費や耐薬品性に課題がありましたが、アクア・イノベーション拠点では、ナノカーボン材料を使用することにより、脱塩・透水性に加えて耐ファウリング(汚濁)性や耐塩素性等のロバスト(頑強)性に優れた膜を開発しました。開発膜の特性を活かし、処理の簡易化、環境負荷の大幅低減により、低コストで環境にやさしい海水淡水化システムを構築します。

カーボンナノチューブ/ポリアミド(CNT/PA)
ナノ複合膜の構造モデル

耐ファウリング性試験の結果
信大開発膜は、緑に着色したたんぱく質の付着が
他の2つに比べて著しく少なく、防汚性に優れている

また、信州大学内に設置したスーパーコンピュータを用いて、計算科学や構造解析・細孔分析等の側面から カーボン膜の開発を支援。流体シミュレーション等により、モジュール設計を高度化させます。

カーボン膜の高速透水性を示すシミュレーション
(高度情報科学技術研究機構)
左:CNT/PAナノ複合膜 右:市販ポリアミド膜

2

ナノカーボンRO膜の
モジュール化・システム化

海水淡水化から排水再利用まで幅広く適用することを目的に、アクア・イノベーション拠点で開発したナノカーボン膜に適した基材やスペーサ等の検討を行い、モジュール化技術を確立。学内の装置では直径2〜4インチの小型モジュールを作製しモジュールの性能向上に資するとともに、各種産業応用のための評価試験にも供します。

学内に設置した小型モジュール作製装置

信大製ナノカーボンRO膜2インチモジュール

また、開発膜のロバスト(頑強)性を生かした実装方法を検討し、海水淡水化・下排水の再生・超純水製造を対象とした実証試験をウォータープラザ北九州等の設備で行い、社会実装できるシステムに仕上げます。

コンテナ搭載型の海水淡水化実証試験装置
(ウォータープラザ北九州)

実証試験で使用している
ナノカーボンRO膜
4インチモジュール

3

様々な用途に応じたRO膜の開発

アクア・イノベーション拠点では、メインストリームの海水淡水化にとどまらず、廃水の再利用、工業用超純水製造、POU(Point of Use)向け浄水器など、用途に応じた最適なRO膜を開発し、浄水装置・システムへと展開しています。また、シリカなどの無機物、有機物、その他の汚染物質の膜への付着に対して、従来の膜を凌駕する高度な耐性を持つ分離膜を実現します。

大学先端工場

4インチモジュール用に70m長の
連続製膜が可能な大型製膜装置

大型製膜装置で製造したナノカーボンRO膜の
欠陥検査の様子

2インチモジュール用小型製膜装置

4

ナノ材料科学を用いた
新材料・新プロセスの開発

重金属、アニオンなどの有害イオンを除去する無機結晶材、特定物質を選択的に透過させるパリレン表面重合膜を開発し、システム化。フッ素除去用の無機結晶材料、フッ素濃度検出用の有機・無機複合体を含むテキスタイルはアフリカ東部の水環境改善への適用を目指して開発を進めています。

フッ素除去用ナノ構造無機結晶材

フッ素モニター(蛍光色検知)

ナノ材料とゴムや樹脂との複合化により、耐久性や耐熱性を飛躍的に高めた新材料を開発。高機能シール材はウォータープラザ北九州での海水淡水化実証試験設備などにおいて、性能を評価中です。

カーボンナノチューブとゴムを
複合化した高耐久性オーリング

高機能シール材はモジュールを収めたベッセルの側板(左)や
フランジ継手(右)のパッキンに使用されている

5

水循環エンジニアリング

COI-Sサテライトの海洋研究開発機構(JAMSTEC)のグループは、大気-海洋-陸域を連成した世界初の水大循環モデルを完成し、対象地域の水環境予測を行います。

水大循環モデルを活用したフィージビリティ協働研究

また、信州大学とアフリカなどの現地機関との共同プロジェクト「水環境改善プロジェクト」により、生活用水源に含まれるフッ素などの有害物質除去を現地で行う仕組みを確立し、水資源管理システムを構築して、水環境改善に寄与します。

井戸水の水質調査(タンザニア)

水環境教育(タンザニア・さくら女子中学校)

研究開発・成果展開が進むCOI技術

画像をクリックすると、研究開発や成果展開に関する最新情報が見られます

ナノカーボンを用いた高機能逆浸透(RO)膜技術

カーボンナノチューブと芳香族ポリアミドを複合した革新的なロバスト性水分離膜の研究開発

ナノカーボンを用いた高機能逆浸透膜モジュール

アクア・イノベーション拠点で開発したカーボンナノチューブ/ポリアミド複合逆浸透膜を用いたモジュールの開発

CNT/PA 複合RO 膜モジュールを用いた実海水での淡水化実証

ロバスト性の高いCNT/PA複合RO膜を適用した革新的で環境調和型の海水淡水化システムを考案、実海水で性能実証

Carbon nanotube-aromatic polyamide nanocomposite membranes for micropollutants and boron rejection 

微小汚染物質やホウ素除去のためのカーボンナノチューブ/ポリアミド複合逆浸透(RO)膜の研究開発

Nanocomposite desalination membranes made of aromatic polyamide with cellulose nanofibers: synthesis, performance, and water diffusion study

セルロースナノファイバーと芳香族ポリアミドを複合した逆浸透(RO)膜の開発

Graphene oxide membranes for milk industry

高効率で選択的に乳から乳糖を除去するための酸化グラフェン膜の研究開発

セルレーション・ナノ複合膜の開発

独自技術の弾性混練・分散法により解繊したカーボンナノチューブなどのナノマテリアルを用いた逆浸透膜の研究開発

CNT・CNF添加による材料の新機能開発とその応用

CNT・CNFを添加した高機能シール材や構造材の用途開発と、廃プラリサイクル・焼却発電施設への造水技術の応用

CNT複合RO膜を元素分析する

膜材料、環境エネルギー材料の構造、元素分析とシミュレーションを通じた効率的な材料開発

シミュレーションを用いたナノカーボン複合膜の水処理メカニズムの解明

分子動力学計算により、水分子、膜構造、ファウリング分子の振る舞いを解析し、脱塩性、透水性、耐ファウリング性などのメカニズムを解明する

EISによる逆浸透膜活性層中のイオン拡散挙動の直接観察

電気化学インピーダンス計測(EIS)によるRO膜活性層のイオン透過性や透水性を透水状態でリアルタイムに評価する技術の開発

原子間力顕微鏡法による水浄化用分離膜の物性とファウラント吸着の評価 

計算機シミュレーションと先端計測法を連携させ、水透過膜と水、汚染物質との相互作用を明らかにし、防汚性に優れた膜材料を開発に寄与する

機械学習による膜ファウリング重要因子の抽出

淡水化膜処理におけるファウリング予測・およびファウリング因子の抽出を目的に、時系列モニタリングデータの機械学習モデルを開発

COVID-19禍のナノ材料安全性評価と規制の展望

OECD/ECHAの化学物質安全性に関する新評価方法と、ナノ毒性と新型コロナ長期影響のDNAレベル評価方法の共通点

SDGs課題解決に資する浄水デバイス用マテリアルのフラックス創製

イオン交換速度・選択性・容量に優れた高機能イオン交換性無機結晶(吸着剤)を研究開発し、重金属汚染をはじめとする世界の水問題の解決に貢献

プロセスインフォマティクスによるフラックス法結晶材料育成条件導出法および実装システムの構築

フラックス法へのデータ駆動型手法の導入により、結晶材料の高機能化及び、マスプロダクションのプロセス提案の迅速化に貢献

「SGDs6.1安全な水へのアクセス」に貢献する飲料水過剰フッ素問題の解決方策

過剰フッ素を除去する新システム導入による、タンザニア政府が目指す2025年までの安全な水へのアクセス達成の計画提案

タンザニア北東部パンガニ盆地水源域の地下水フッ素汚染/硝酸汚染の現状と課題

タンザニア・メルー山麓アルーシャ地域の水環境の実態調査・分析により、アフリカの飲料水問題の改善に貢献

クロロフィル光触媒による油の分解

光照射により活性酸素を発生する性質を利用し、油で汚染された水・土壌をクロロフィル光触媒によって分解処理する技術の研究開発

北海道大学C O I「食と健康の達人」拠点との若手連携による膜分離プロセスを用いた水資源・食材の循環的利用に関する研究

高い防汚性を有する信大開発膜の強みを生かした、膜技術の食品加工分野への展開や、食品工場排水からの水資源・食材の回収・再利用技術の開発

「水」大循環をベースとした持続的な「水・人間環境」構築

「水」の様々な時空間スケールの循環を明らかにし、人為的な活動が与える影響について過去の検証と現状把握、さらに地球環境変化下での将来予測を行う

流域を基盤とする「水・人間環境」の社会実装

気候変動適応策を身近な生活環境で社会実装していくために、グリーンインフラを活用した、安全で、健全な水循環の回復をめざした計画論と技術開発

アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)の構築

研究成果・知識を広く社会に展開するため、情報交換や交流活動により潜在的なシーズ・ニーズを掘起し、新事業創出等に繋ぐ産官学民の会員制の基盤組織