信州大学

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古山教授、難波研究員を含む研究グループが貴金属を原子レベルで均一に混合したナノ合金の開発に成功

2022.02.16

 本研究所古山通久教授、難波優輔研究員、京都大学北川宏教授、草田康平特定准教授、吴 冬霜 特定助教らの共同研究グループは、貴金属8元素を原子レベルで均一に混合したナノスケールの合金(ナノ合金)の開発に世界で初めて成功しました。また、ナノ合金の結晶構造と電子状態を分析することにより、もとの元素の特性と異なる全く新しい個性を有することが分かりました。

これは各元素が原子レベルで混合し、原子配置パターンが粒子を構成する原子数より大幅に多様になることで、粒子内の各原子が各々異なる環境となり、1つ1つが違う電子状態となるためです。

本研究所の古山教授、難波研究員はこの電子状態をスーパーコンピュータを用いた第一原理計算を用いて明らかにしました。

本研究は任意の金属での均一混合で、今までにない多様な元素の機能を引き出す材料の開発を可能にする研究です。また、高難度触媒反応で高い活性と耐久性をもつ新たな合金は、海洋プラスチック問題を解決しうるプラスチックをモノマーへ分解する触媒や省エネルギー触媒としての可能性を含み、地球規模の環境問題の解決へ繋がる事が期待されます。

今回の研究成果は国際学術誌 Journal of the American Chemical Society に掲載されました。

[Dongshuang Wu, Kohei Kusada, Yusuke Nanba, Michihisa Koyama, Tomokazu Yamamoto, Takaaki Toriyama, Syo Matsumura, Okkyun Seo, Ibrahima Gueye, Jaemyung Kim, Loku Singgapulige Rosantha Kumara, Osami Sakata, Shogo Kawaguchi, Yoshiki Kubota, Hiroshi Kitagawa, Noble-Metal High-Entropy-Alloy Nanoparticles: Atomic-Level Insight into the Electronic Structure, Journal of the American Chemical Society 2022. DOI: 10.1021/jacs.1c13616]



The image above is adapted from Kitagwa lab, Kyoto Univesity.