増木静江教授(バイオメディカル研究所)らの研究グループは、「インターバル速歩」とIoTを組み合わせた「遠隔型個別運動処方システム」を開発し、過去15年にわたり8,700名の中高年者を対象にその運動処方の効果を検証してきました。この一連の研究成果について、この度、米国生理学会から依頼され、Comprehensive Physiology 誌に発表しました。この学術誌は、かつて“Handbook of Physiology ”と呼ばれ、世界中の医師、研究者、大学院生など、これからこの分野の研究を始めようとする人たちのための教科書です。

インターバル速歩とは、個人の最高酸素摂取量の70%以上の速歩と40%の緩歩を3 分間ずつ交互に繰り返し、1 日30 分、週4 日、5ヶ月間実践するトレーニング方法です。その結果、5か月間の介入で体力が平均10%向上し、それに比例して生活習慣病の症状が20%改善され、「IoTを用いて体力向上のためのトレーニングをジムから開放した」と国際的にも注目されています。

さらに、このシステムによって、運動継続と効果の個体差に関与する遺伝子多型を、同研究所の樋口京一教授や遺伝医学教室の古庄知己教授らの研究グループに協力いただき発見しました。また、我々の事業は、栄養補助食品の効果検証フィールドとしても活用され、現在、農学部の藤田智之教授らの研究グループとの共同研究も進行中です。さらに、最近、AMEDの援助で同システムの汎用性を高めるスマホアプリの開発にも成功しました。このアプリを活用し、これからも引き続き、信州大学発のインターバル速歩とその研究成果を世界に発信して参ります。

詳細は:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cphy.c190010