新井亮一准教授(バイオメディカル研究所/繊維学部応用生物科学科)および梅澤公二助教(バイオメディカル研究所/大学院総合理工学研究科生命医工学専攻)らの研究グループは100℃でも変性しない超安定化人工タンパク質SUWAを開発しました。

一般にタンパク質は高温などに弱い性質があり、熱等により変性します。そこで、柱状二量体人工タンパク質WA20の立体構造を基に安定性の向上を目指し、5箇所のアミノ酸に変異を加えた変異体を設計しました。そして実験の結果、変性中点温度は122℃であることが明らかになり、大幅な安定性の向上に成功しました。グループはこの超安定化人工タンパク質をSUWA (Super WA20)と名付けました。

天然タンパク質では実現できない多様な構造や機能を持つタンパク質ナノ構造複合体の創製につながる可能性があり、今後の研究に応用されることが期待されます。

本研究成果は、米国化学会発行の学術雑誌ACS Synthetic Biologyの2月号に掲載され、同誌WEBサイトにオンライン公開されています。

〇論文情報
著者:Naoya Kimura, Kenji Mochizuki, Koji Umezawa, Michael H. Hecht, and Ryoichi Arai (corresponding author)
論文タイトル:Hyperstable De Novo Protein with a Dimeric Bisecting Topology
       二量体交差型トポロジーを持つ超安定化新規人工タンパク質
掲載誌:ACS Synthetic Biology, 9 (2020) DOI: 10.1021/ acssynbio.9b00501
Webサイト:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acssynbio.9b00501

アメリカ科学振興協会(AAAS)のEurekAlert!にも掲載されました。
https://eurekalert.org/pub_releases/2020-02/su-sah022820.php

プレスリリース資料(PDF:643KB)

人工タンパク質SUWA の立体構造(4 本ヘリックスバンドル柱状二量体構造)

SUWA を利用したタンパク質ナノブロックの開発および超分子ナノ構造複合体構築のイメージ図