新藤隆行教授(バイオメディカル研究所/医学部循環病態学教室)の研究室の田中愛さん(日本学術振興会研究員)が、第27回日本心血管内分泌代謝学会学術総会において、第27回「高峰譲吉研究奨励賞」を受賞しました。高峰譲吉博士は、明治から大正時代に活躍した化学者で、アドレナリンなどの発見や、理化学研究所および第一三共(株)の設立者として知られています。本賞は、心血管および内分泌代謝学の分野において卓越した業績を有し、当該分野の発展への貢献が期待される将来のリーダー候補者に与えられます。
受賞対象となった研究課題は、「アドレノメデュリン-RAMP2、RAMP3系による癌転移抑制機構の解明」です。本研究では、血管やリンパ管の発生や恒常性維持に関わるアドレノメデュリン(AM)とその受容体活性調節タンパク(RAMP2、RAMP3)の癌転移における意義を明らかとしました。
田中研究員は、成体の血管においてRAMP2遺伝子欠損を誘導することが可能な遺伝子改変マウス(DI-E-RAMP2-/-)を作製し、遺伝子欠損後から血管に生じる様々な変化を観察しました。その結果、DI-E-RAMP2-/-では血管恒常性が破綻し、癌が転移する前から転移予定先の臓器において“転移前土壌”が形成され、癌が生着しやすい環境となり、癌転移が亢進することを明らかとしました。
一方で、RAMP3遺伝子欠損マウス(RAMP3-/-)では、DI-E-RAMP2-/-とは逆に、転移が抑制されることを見出しました。RAMP3-/-の癌微小環境に存在する癌関連線維芽細胞(CAF)は、間葉上皮移行(MET)を生じ、良性のCAFとなることを明らかとしました。
AM-RAMP2系による血管の恒常性制御機構と、AM-RAMP3系によるCAFの制御機構に注目し、両者を標的とすることで、癌転移を抑制する新たな創薬に発展することが期待されます。
受賞対象となった研究課題は、「アドレノメデュリン-RAMP2、RAMP3系による癌転移抑制機構の解明」です。本研究では、血管やリンパ管の発生や恒常性維持に関わるアドレノメデュリン(AM)とその受容体活性調節タンパク(RAMP2、RAMP3)の癌転移における意義を明らかとしました。
田中研究員は、成体の血管においてRAMP2遺伝子欠損を誘導することが可能な遺伝子改変マウス(DI-E-RAMP2-/-)を作製し、遺伝子欠損後から血管に生じる様々な変化を観察しました。その結果、DI-E-RAMP2-/-では血管恒常性が破綻し、癌が転移する前から転移予定先の臓器において“転移前土壌”が形成され、癌が生着しやすい環境となり、癌転移が亢進することを明らかとしました。
一方で、RAMP3遺伝子欠損マウス(RAMP3-/-)では、DI-E-RAMP2-/-とは逆に、転移が抑制されることを見出しました。RAMP3-/-の癌微小環境に存在する癌関連線維芽細胞(CAF)は、間葉上皮移行(MET)を生じ、良性のCAFとなることを明らかとしました。
AM-RAMP2系による血管の恒常性制御機構と、AM-RAMP3系によるCAFの制御機構に注目し、両者を標的とすることで、癌転移を抑制する新たな創薬に発展することが期待されます。