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熟年体育大学リサーチセンターおよび信州大学は、オムロンヘルスケア(株)の協力のもと、インターバル速歩専用活動量計「i-Walk Pro®」を開発しました。さらにデータを解析し、その結果とアドバイスを確認できるiPhoneアプリ「i-Walk Gym®」をAppストアで無償公開します。これによって、これまで松本市熟年体育大学の参加者が受けていた「個人の体力や健康診断結果に基づく運動指導サービス」が全国の希望者が誰でも受けられるようになります。

インターバル速歩とは?

■「インターバル速歩」とは早歩きとゆっくりと歩きを3分間ずつ交互に繰り返す運動方法です。お年寄りや女性など、体力のない人なら、早歩きを2分間、あるいは1分間にしてもいいです。
①早歩きは個人の最大体力の70%以上の「ややきつい」と感じる速さで、
②1日合計15分以上、週4日以上、5ヶ月間以上実施します。
毎日の通勤や、休日の散歩などの際にもできるとても簡単かつ効果のある運動方法です。

■「インターバル速歩」の効果について、それを6ヶ月間継続することで、
① 筋力と持久力、つまり体力が最大20%向上し、
② 高血圧、高血糖、肥満症などの生活習慣病が20%改善し、
③ 医療費が20%削減される
ことが明らかになりました。

■その効果を裏付ける科学的エビデンスは、2003 年以来10年間、長野県松本市・信州大学・NPO 法人熟年体育大学リサーチセンター が連携し、40 歳以上の合計5,400名の中高年者にインターバル速歩専用の活動量計によって実施した運動指導プログラムで得られています。

「i-Walk System®」とは?

■「インターバル速歩」の効果を得るには、個人の最大体力の70%以上の早歩きを実践することが必要です。まず、個人の最大体力を測定し、トレーニング中のエネルギー消費量を正確に測定し、個人の体力に合わせた運動指導を行うことは、歩数計はもちろん、現在市場に出回っている運動系アプリでも不可能なことでした。これを実現する画期的なシステムを熟年大学リサーチセンターと信州大学が開発したのです。

■トレーニング前に体力測定や血液検査などを受け、それに基づく運動指導を受け、トレーニングの結果、それらの値がどのように改善したかが把握できます。すなわち、自分専用の運動トレーナーのように、運動量や健康状態をつねに把握し、携帯端末から適切なアドバイスをしてくれる遠隔型個別運動指導システムなのです。

■オムロンヘルスケア㈱の協力により誕生した活動量計「i-Walk Pro®」は、3軸の加速度計と50cmの高度変化を測定できる気圧計を搭載し、それぞれの運動エネルギー変化、位置エネルギー変化の和から、ユーザーの運動による消費エネルギーを正確に測定できます。また、インターバル速歩と健康管理の記録を見せながら、個人に合わせたアドバイスをしてくれるiPhone アプリが「i-Walk Gym®」です。これらのアドバイスは、過去13年間、5,400名以上を対象に実施された「インターバル速歩」トレーニング効果に関する科学的エビデンスに基づいて提供されます。これら、「i-Walk Pro®」、「i-Walk Gym®」、科学的エビセンスに基づいて運動指導を実施する「サーバーコンピュータ」の総称が「i-Walk System®」です。

医療費削減効果

■「インターバル速歩」は、日本の医療費削減に大きな役割を担う可能性を秘めています。ヒトの体力は20歳台をピークとし、30歳以降、10歳加齢するごとに5-10%ずつ低下していきます。そして、体力が20歳台の30%以下になると要介護状態となります。この体力の低下は髪の毛が白くなったり、肌にしわがよるのと同様、加齢現象の一つとして筋肉の萎縮によって起こります。これを老人性筋萎縮症(サルコペニア)と呼びます。この際、注目すべきは、この加齢による体力低下と医療費が見事に相関することです。

■したがって、従来から、この加齢による体力の低下こそが生活習慣病の根本原因ではないか、と考えられていました。信州大学は20年前、その仮説を検証するプロジェクトを立ち上げました。もし、運動トレーニングによって体力が向上すれば、その分、生活習慣病の症状が改善し、医療費も削減できるのではないか、という仮説です。そして、20年近くかかって、その仮説を支持する結果を得たのです。

■松本市の2013年現在の人口は24万人で、高齢化率は26%で、日本の平均的な地方都市です。65歳以上の高齢者の国民健康保険負担の医療費は年間380億円、介護給付費は年間190億円で、高齢者の医療費は年間570億円になります。市の一般会計予算は年間880億円ですからその65%に相当します。2025年に高齢化率が31%に達しますが、松本市の高齢者のうち要介護者の割合が13%と現在と変わらないと仮定すると、高齢者の国民健康保険負担の医療費は年間396億円、介護給付費は年間206億円で、高齢者医療費の総額は年間602億円になります。もし、市の一般会計予算が現在のままなら、その68%に相当します。これは市の財政上大変なことです。

■さて、信州大学とNPO法人・熟年体育大学リサーチセンターは、5ヶ月間「インターバル速歩」を実施すれば、、医療費が20%削減できるということを明らかにしました。すなわち、もし松本市の高齢者がこの事業に、全員参加したと仮定したすると、2025年現在で、年間118億円、10%の参加者で11.8億円、1%の参加者で1.2億円も削減できるのです。また、国全体でみれば、2015年には高齢者医療費が年間56兆円に達すると予想されますので、もし全国の高齢者全員が「インターバル速歩」を実施したと仮定すれば、年間11兆円、10%の参加者で1.1兆円、1%の参加者で1100億円の医療費の削減になるでしょう。

■一方、[i-Walk System®」にかかる費用は、高く見積もってもインターバル速歩による医療費削減費用の20%に満たないのです。非常に得な先行投資になります。


信州大学/先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所先端疾患予防学部門/
大学院医学系研究科疾患予防医科学系専攻スポーツ医科学講座/
教授 能勢 博(のせ ひろし)先生

1979年 京都府立医科大学医学部医学科・卒業
1979年 京都府立医科大学・助手・第一生理学教室・勤務
1985年 米国・Yale大学医学部・John B. Pierce 研究所へ博士研究員として留学
1988年 帰国
1993年 京都府立医科大学・助教授昇任・第一生理学教室・勤務
1995年 信州大学医学部附属加齢適応研究センター・スポーツ医学分野・教授
2003年 信州大学大学院医学研究科・加齢適応医科学系(独立専攻)・個体機能学部門・スポーツ医科学分野・教授
2004年 NPO法人熟年体育大学リサーチセンター・理事長就任
2006年 厚生労働省「運動所要量・運動指針の策定検討会」委員就任
2012年 信州大学大学院医学系研究科・疾患予防医科学系(独立専攻)・個体機能学部門・スポーツ医科学講座・教授
2014年 信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所・先端疾患予防学部門・教授(医学系研究科・教授は併任)
現在に至る。
著書に『山に登る前に読む本』(講談社ブルーバックス)、『「歩き方を変える」だけで10歳若返る』(主婦と生活社)など。





「『歩き方を変える」だけで10歳若返る』(能勢博著、主婦と生活社刊、2013年)
三分間速く歩き、三分間、ゆっくりと歩く。それを交互に繰り返すだけで、体力がアップし、脂肪がとれやすくなり、元気で美しい体を作ることができる「インターバル速歩」。信州大学、NPO法人、松本市などで長年インターバル速歩の検証実験を行い、その研究記録からさまざまな効果が判明しました。本書では、インターバル速歩の正しい歩き方をはじめ、インターバル速歩を続けてきたお年寄りの体験談やその効能などを紹介。インターバル速歩を始めたいと思う方に向けたわかりやすい内容になっています。


松本市「いきいき健康ひろば」事業
■熟年体育大学が長野県松本市内27ヵ所の拠点「福祉ひろば」で展開。各拠点では、その地域の人々が、熟年体育大学リサーチセンターのコーディネーターや健康推進トレーナーの指導を受けながら、インターバル速歩を続けています。

■旧型の「インターバル速歩」専用のカロリー計ではサーバーへの歩行記録転送のために1ヶ月に1回地域公民館に行く必要がありました。一方、今回発売するi-Walk Pro®は、携帯端末からの転送が可能になります。


「i-Walk System®」
■事前の体力測定・血液検査などの測定データを元にし、インターバル速歩を行うユーザーへ運動指導を行う、遠隔型個別運動システム。
■活動量計「i-Walk Pro®」で測定したインターバル速歩の結果をiPhoneアプリ「i-Walk Gym®」で確認することができる。
■主要販売先: 自治体、健康保険組合、企業の健康管理センター等
■価格:37,000円/(年・人)を予定 (「i-Walk Pro®、サーバー使用料、体力測定、運動指導料を含む)


「『インターバル速歩専用 活動量計「i-Walk Pro®」)
■ 基本スペック:
「i-Walk Pro」は、iPhoneスマホアプリ「i-Walk Gym」、メインサーバーと連携し遠隔型個別運動指導を可能にする精密な3軸の気圧計、加速度計により、身体の上下、前後の動きをすべて把握し、運動量を計測が可能なインターバル速歩用活動量計です。
■取得できる情報:
①1分毎の消費カロリー ②歩数 ③速歩レベル(最大消費カロリー) ④トレーニング開始および終了時間

<特徴>
インターバル速歩のプログラムや計算式がメモリに搭載されており、最大体力の計測が可能。さらにスマホアプリを介して、メインサーバーを通じて運動データを解析するための通信機能を備え、スマホやパソコンを使わず、i-Walk Pro単体で解析結果を閲覧するための通信機能を備えています。
<仕様>
・本体重量: 約23g(電池含む)
・外形寸法: 幅40×高さ52×奥行き12mm
・電源 :リチウム電池CR2032×1(寿命目安 2ヶ月)
・付属品: ストラップ、ストラップ用クリップ、装着ホルダ、取扱説明書
・通信方式 通信方式: / NFC-F(ISO/IEC 18092準拠)、Bluetooth®Version 4.0(Low Energy support)
・主な役割: ベルトに装着し、内臓された3軸の加速度計、気圧計により精密なインターバル速歩の活動量を解析する。

インターバル速歩の結果を I Phoneで確認するアプリ「i-Walk Gym®」
<概要>
■ハードウエアである「i-Walk Pro」と連動した、インターバル速歩専用アプリ(iPhone/PC用)です。機能としては、体力年齢の測定、運動、形態測定、血液検査、体力測定の履歴、アドバイス、カウンセリング、ほかのユーザーとの比較ランキングなど、自分の健康状態や履歴がチェックできるため、自然に「インターバル速歩」を継続するモチベーションを持つことができます。また、パソコンを介さずに「i-Walk Pro」と連動できるため、いつでも、どこででも自分の身体の状態を知ることができます。

<特徴>
■体力年齢の測定:「i-Walk Pro」で得られる最大消費カロリーや身長、体重、実年齢、性別を元に、最大酸素摂取量から導き出した学術的根拠に基づいた体力年齢を表示します。
■過去の運動履歴確認:過去の運動履歴を遡って、累計での歩数、距離を表示でき、また日毎の総運動時間、速歩時間、総消費カロリー、インターバル速歩による消費カロリーについて表示ができます。


■アドバイス機能:直近2週間の運動頻度、運動時間、運動レベルなどを元に、サーバー内で生成されたインターバル速歩についてのアドバイスを表示します。表示されるアドバイスの組み合わせは、30,000通り以上です。
■カウンセリング機能:数千人のインターバル速歩体験者が実感した主な効果を運動期間ごとに表示。実際にインターバル速歩による効果があったかを確認できます。
■ランキング機能:ランキング表示希望の団体のみ参加。インターバル速歩で提唱している1週間に60分の速歩時間を達成している人の割合で、順位を競います。


<仕様>
・アプリ名 :インターバル速歩専用 アプリ「i-Walk Gym®」
・通信方式 通信方式 / NFC-F(ISO/IEC 18092準拠)、Bluetooth®Version 4.0(Low Energy support)
・主な役割: 活動量計「i-Walk Pro®」で計測した結果の解析とアドバイスをおこなうiPhoneアプリ。PC端末からも確認が可能。
(2015年2月末日より利用を開始。詳細は、http://www.jtrc.or.jpまで。)