チーム医療におけるメンバーシップや

地域・在宅看護学領域

在宅看護領域では、病気や障害がありながらも、住み慣れた地域で「その人らしく」生きることを支える看護を教育・研究の対象としています。病院とは異なる「生活の場」における看護の特性を理解し、療養者と家族の思いを尊重した意思決定支援や、QOL(生活の質)の向上を目指したケアの在り方を探究し、地域社会全体の健康を支える実践的な知見の創出に取り組んでいます。

「その人らしい」暮らしと、地域の未来をデザインする

在宅看護は、療養者の「生活」が起点となる領域です。単に医療処置を行うだけでなく、その人が大切にしている生活習慣や家族との絆、地域の人々とのつながりを守りながら、安心して最期までその人らしく暮らすための知恵と技術を探求しています。
在宅看護は、赤ちゃんから高齢者まで、あらゆるライフステージにある人々を対象とし、それぞれの「住まい」で営む生活そのものを支え、その人の持つ「強み(ストレングス)」を引き出し、「多職種協働」してチームで支え、限られた資源の中で「創造的なケア」を組み立てる専門領域です。
私たちのグループでは、以下のような多角的な研究に取り組んでいます。
・テクノロジーや情報通信を活用した在宅療養支援の構築
・終末期(エンド・オブ・ライフ)における本人と家族への支援
・地域資源や在宅医療サービスの醸成と最適化
看護の舞台は今、病院から地域へと大きく広がっています。在宅看護は、病気と共にある人々の「人生」そのものに伴走しながら支援する専門領域です。私たちは、高度な看護実践の知見を体系化し、対象者の価値観や社会のニーズを深く洞察することで、地域における新たな看護の展開を創造しています。

地域のリアルを、包括ケアへ導く

在宅看護領域のゼミでは、療養者とその家族が住み慣れた地域で営む「生活」そのものを出発点として、学生一人ひとりの関心を研究へと発展させています。
扱うテーマは多岐にわたり、高齢者の社会参加を促す要因の分析、神経難病の療養者を支える多職種連携の在り方、さらに医療的ケア児を育てる家族が抱える困難と背景要因の関連など、病気や障害がありながらも地域で暮らす人々が直面する生活課題とサポート体制について、当事者の視点に立って探究しています。
指導においては、実習やボランティア等の経験から得た学生の素直な問題意識を尊重し、複雑な生活背景のなかにある「臨床疑問」を研究可能な問いへと整理していくプロセスを大切にしています。また、ゼミでのディスカッションやピアレビューを通じ、互いの研究を批評し合うことで、事象を多面的に捉える力や論理的思考力、そして地域包括ケアの一翼を担う看護職としての洞察力を養っています。
在宅療養を支えるため、自らへの問い掛けや対話を通じ、知恵を磨く。在宅のリアリティに根ざす研究活動が、このゼミの大きな特色です。

地域看護学(公衆衛生看護学)領域

地域看護(公衆衛生看護学)領域は、病院での病気の治療ではなく、地域社会(コミュニティ)全体を対象とし、人々の健康増進や疾病予防、QOL(生活の質)の向上をめざす学問領域です。
赤ちゃんからお年寄りまで、健康な人も、病気や障がいを抱えながら暮らす人も、すべての人。そして、人々が暮らす「地域コミュニティ(まち)」そのものが、私たちの看護の対象です。
病気になってから治療するのではなく、「病気を未然に防ぐこと(疾病予防)」、そして「健康に暮らせる環境をつくっていくこと(健康増進)」を通して、誰もが自分らしく健康に生きられる社会を目指して活動しています。

教員の研究紹介(公衆衛生看護)

五十嵐久人(教授):人々のQOLとストレス、生活習慣との関連、健康を支援する保健師の実践能力向上に向けた教育プログラムの研究・開発などに取り組んでいます。

石田史織(講師):神経発達症児とその家族(父親)への支援プログラムの研究・開発、脳機能計測(NIRS)を用いた神経発達症児のトレーニング効果の検証、児童福祉施設のスタッフ研修プログラムの開発や地域の子育てコミュニティづくりの実践・評価などに取り組んでいます。

富澤真澄(助手):保健師の実践知に関心を持っています。

学部生の研究活動

公衆衛生看護学領域における卒業研究は、地域社会(コミュニティ)全体、あるいはそこに暮らす人々の健康課題を見つけ出し、その解決や支援のあり方を科学的に探究する研究を行っています。
「どうすれば人々が住み慣れた地域で健やかに、安心して自分らしく暮らせるか(QOLの向上)」、そして「健康格差の縮小や、病気を未然に防ぐための予防的アプローチ(一次予防)」に焦点をあて、学生が主体的に取り組んでいます。
研究テーマは、成人保健、母子保健、高齢者保健,災害や国際課題等,地域の保健に関連した様々なものから、各自が興味・関心のあるものを選び、文献レビューを通して決定します。研究手法としては、2次資料解析や文献検討が多いです。