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《論文掲載情報》COI研究チームの論文がNanoscale誌の中表紙に選出

 信州大学COI拠点で発表した論文「芳香族ポリアミドとセルロースナノファイバーを用いたナノコンポジット海水淡水化膜 」が、英国王立化学会「Nanoscale, 2020, Advance Article」誌に掲載され、論文中のイラストが中表紙に選出されました。

 セルロースは最も豊富な天然高分子の一つで、数千年もの長い間、人類は衣服や燃料などに広く利用してきました。 セルロースを使った水処理は、千年以上も前に綿布を通した水ろ過に使われています。現在では、セルロースはセルロースナノファイバー(CNF)と称される新しい形で生成され、優れた性能を発揮します。
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 このCNFは、ナノスケールのビルディングブロックとして化学的に利用することができます。当研究では、海水淡水化などの水処理に逆浸透(RO)膜として広く使われている芳香族ポリアミド(PA)にCNFを添加してナノ複合膜を調製し、RO膜として優れた性能を実現しました。その機能を評価し、動作機構をコンピュータ化学で解明しました。このナノコンポジットRO膜は、通常のPA膜と比較して、耐塩素性、防汚性(図1)、透水性で優れた機能を発現します。特に、当開発膜は次世代の環境調和型海水淡水化膜、さらには浄水器や洗浄便座への応用で、より衛生的なライフスタイルの普及に広く貢献すると期待されます。

 当論文は王立化学会誌 Nanoscale, 2020, Advance Article に掲載され、論文中の膜のイラストが中表紙を飾ります。

【論文情報】
Nanocomposite desalination membranes made of aromatic polyamide with cellulose nanofibers: synthesis, performance, and water diffusion study, Rodolfo Cruz-Silva, Kazuo Izu, Jun Maeda, Shigeru Saito, Aaron Morelos-Gomez, Celia Aguilar, Yoshihiro Takizawa, Ayaka Yamanaka, Syogo Tejiima, Kazunori Fujisawa, Kenji Takeuchi, Takuya Hayashi, Toru Noguchi, Akira Isogai and Morinobu Endo

論文はこちらからご覧ください。