バイオメディカル研究所の伊原正喜助教が中心となって進められた開発が2018年8月28日の日経産業新聞に掲載されました。

伊原正喜助教らは植物が光合成に使うクロロフィル(葉緑素)を利用して重油などを効率的に分解する手法を開発しました。クロロフィルは光が当たると活性酸素を発生させます。この活性酸素の作用で石油系油の分子構造が変化し、海や土壌に生息する微生物によって分解されやすくなることを発見しました。従来の手法に比べて分解にかかる時間は短くなり、クロロフィル自体も時間がたつと分解されるので、環境への負担も少なくなります。海に流出した重油の分解、建設現場の土壌浄化、オイルタンクの洗浄などの用途を想定しています。また、クロロフィルは緑の植物すべてに存在しているため、湖などに発生した藻や雑草などから抽出すれば廃棄物の有効利用になるとが期待できます。
今後は実用化に向けて低コスト、大量生産の実現のため各メーカーと連携し共同開発をしていきます。

本研究は科学技術振興機構(JST)が推進するセンター・オブ・イノベーション(COI)プ ログラム「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点」 のプロジェクトから得られた成果です。