専攻案内
物質解析科学部門
自然法則の理論的・実験的研究によって物質の性質やその機能を決定する原理を解明するとともに、その結果を新物質の開発に適用します。
概要
信州大学などのグループがアトラス実験に設置して建設したミュー粒子トリガーシステム。 畳一畳程度の大きさのユニット1600枚からなる直径22mの円盤構造をしていて、4つの同じような構造物からなる。
自然界で観測されるあらゆる現象を、そこに潜む法則性を明らかにすることで根源的に説明し、自然を理解しようとすることが物理学という学問です。
物理学の研究対象は日常目にし手に取ることができる身の回りにあるものだけではなく、極微の素粒子から極大の宇宙まで広範囲にわたっています。
物理学の立場から、自然法則の理論的・実験的研究によって物質の性質やその機能を決定する原理を解明すると共に、その結果を新物質の開発に適用していく研究・教育を行っています。
分野としては、量子物性物理学、素粒子・高エネルギー物理学、宇宙線物理学の3分野があり、教員は現在、松本キャンパス13名、長野(工学)キャンパスに 2名、上田キャンパスに1名います。 実験による様々な自然現象の観測に基づいて理論(法則)を組み立て、さらにそれらの理論の正当性を実験で検証するために、本講座では理論と実験の双方を連 係させて研究を行っています。物理学は数学や化学と同様に普遍的な学問ですが、宇宙線物理学分野では信州という土地の利を活かした宇宙線観測の実験も行わ れています。
研究分野
・量子物性物理学分野 研究紹介
物質は多種多様な量子現象の発現の場と捉えることができます。量子物性物理学研究分野では、物質の示す電気的、磁気的、光学的、力学的諸性質を、量子力学・統計力学・電磁気学などを用いてミクロな立場から解明することを目指して研究しています。
特に超高圧、極低温、強磁場など極限環境下で物質が示す新奇な性質について、その発現機構およびそこに潜む普遍的な物理法則を、実験的および理論的に研究してます。 さらに新奇な性質を利用した材料科学的な応用に関する研究開発も行っています。
・素粒子・高エネルギー物理学分野 研究紹介
物質を形作っている最小の構成単位(素粒子)を探求し、その間に働く力(相互作用)を解明する研究を、理論・実験の両面から行っています。
理論面では、場の量子論を基礎として、大統一理論・超対称性理論・余剰次元理論・超弦理論などの研究が行われており、また、物理学の数理的側面を捉えた数理物理学の研究も行われています。
実験面では、世界最大の加速器LHCのATLASグループ、次世代加速器ILCの開発グループに参加するなどして、加速器を用いた新粒子発見と素粒子理論の実験的検証の研究、及び測定装置の開発研究を行っています。
・宇宙線物理学分野 研究紹介
太陽活動による高エネルギー銀河宇宙線強度変調(モジュレーション)の実験的及び理論的教育研究を行っています。
人工衛星や地上電波観測等による太陽、太陽風プラズマ及び惑星間空間磁場などの多種多様なデータと高エネルギー宇宙線データを有機的に結合して解析し、地球近傍の宇宙環境や太陽圏近傍銀河磁場の平均構造と、太陽活動に伴うそれらの変動を研究します。
名古屋大学太陽地球環境研究所や東京大学宇宙線研究所との共同研究や、信州大学が独自に展開してきた汎世界的宇宙線観測のための国際共同研究も推進しています。
教員一覧
武田 三男 教授 量子物性物理学
極限下での環境素材の示す光学機能の解明を目指す。電磁波と物質の相互量子制御等について論じると共に、新しい光学素子及び測定装置の開発を行う
樋口 雅彦 教授 量子物性物理学
凝縮系物質の電子構造の教育・研究
天児 寧 教授 量子物性物理学
稀土類一遷移金属、金属間化合物の磁性を高圧、極低温等、特殊環境下で主にNMRを使用して調べ、新しい磁性材料の開発を目指す教育・研究
澤田 圭司 教授 量子物性物理学
分光学的手法をもちいた核融合プラズマの粒子・熱輸送に関する教育・研究
志水 久 准教授 量子物性物理学
超高圧、超低温、強磁場等特殊環境下の物質の機能を解析し、極限環境下における諸機能の起源を探究することを目指す。地球に多量に存在する鉄を中心とした遷移金属、合金、化合物の様々な物性、特に力学的、熱力学的、電気磁気的及び光学的諸性質をミクロな立場から量子論的に解析し、電子構造と固体物性との関係について論ずる
中島 美帆 准教授 量子物性物理学
希土類化合物における磁性の解明、特に高圧・低温等の極限環境下での物性測定を手法とした研究・教育
安達 弘通 准教授 量子物性物理学
磁性体一般、および放射光と磁性体の相互作用に関する教育・研究
宮丸 文章 准教授 量子物性物理学
電磁波の新たな物理と可能性を追求するための教育・研究
竹下 徹 教授 素粒子・高エネルギー物理学
高エネルギー状態の宇宙初期とその中での相互作用に関する教育・研究
川村 嘉春 教授 素粒子・高エネルギー物理学
相対性理論、宇宙物理学、高エネルギー物理学、ゲージ場の量子論、超弦理論に基づく究極の自然構造の探求に関する教育・研究
小竹 悟 教授 素粒子・高エネルギー物理学
場の量子論、素粒子論、数理物理学に関する教育・研究
奥山 和美 准教授 素粒子・高エネルギー物理学
超弦理論および場の量子論に基づく自然界の基本法則の探究に関する教育・研究
三澤 透 准教授 素粒子・高エネルギー物理学
紫外線・可視光・赤外線の分光観測を通して、クェーサー、銀河間物質、および星間物質の物理的諸性質を解明することを目的とした観測天文学
長谷川 庸司 准教授 素粒子・高エネルギー物理学
粒子加速器を用いた実験的な素粒子の性質と相互作用の解明に関する教育・研究
宗像 一起 教授 宇宙線物理学
太陽圏内における高エネルギー銀河宇宙線モジュレーションの実験的及び理論的教育・研究
加藤 千尋 准教授 宇宙線物理学
太陽圏内における宇宙線の伝播、および加速機構に関する教育・研究