ご挨拶

古庄 知己

遺伝性・先天性の疾患・障がいを
持つ方々が生き生きと暮らせる
社会作りに貢献する!

信州大学医学部遺伝医学教室 教授
古庄 知己

平成30(2018)年4月1日付で、信州大学医学部遺伝医学教室・教授及び附属病院遺伝子医療研究センター・センター長を拝命、就任いたしました古庄知己(こしょう ともき)です。平成5年に慶應義塾大学を卒業、同大学、長野県立こども病院、埼玉県立小児医療センターなどで、小児科学、臨床遺伝学を学び、平成15年に信州大学に着任いたしました。以後15年にわたり、遺伝カウンセリングを軸に、世代をこえて縦断的、診療科をこえて横断的な遺伝医療に携わってまいりました。
遺伝医学教室は、平成7(1995)年に衛生学教室に、福嶋義光前教授(現名誉教授)が赴任されたことにより産声をあげました。社会医学系教室の再編に伴い、平成14(2002)年に「社会予防医学講座遺伝医学分野」、平成19(2007)年に「遺伝医学・予防医学講座」と、教室名が変更されるなかで、発展してきました。そして、平成30(2018)年からは、遺伝医学に特化した教育・研究を担う遺伝医学教室となりました。
遺伝子医療研究センターは、遺伝カウンセリングを中心とする遺伝医療を推進するための中央診療部門です。「遺伝子診療部」として平成8(1996)年に、福嶋義光前部長が設立した中央診療部門で、大学病院などの医育機関における遺伝子医療部門のパイオニア的存在です。平成28(2016)年、遺伝子解析部門を強化し、「遺伝子医療研究センター」となりました。
教室のミッションを以下に示します。

  • 遺伝性・先天性の疾患・障がいを持つ方々の立場に立ち、寄り添い、行動する専門家を育成すること。
  • 遺伝性・先天性の疾患・障がいを持つ方々が、生き生きと暮らせる社会作りに貢献すること。

私たちとともに、遺伝医学を学び、遺伝医療にたずさわってみませんか。

最高レベルの遺伝医療を提供

遺伝子医療研究センターでは、以下のような診療上のミッションに取り組み、実現したいと考えています。①出生前、小児、成人などあらゆる領域において、様々な診療科と協力し、量・質とも世界最高レベルな遺伝医療(遺伝カウンセリング、診断、マネジメント)を提供します。②遺伝性結合組織疾患に関する世界屈指の診療拠点を作ります。③あらゆる遺伝学的検査をストレスなく受けられる体制を、臨床検査部と協力して院内に定着させます。さらに、ゲノム医療実装を目指す全国の施設・企業と協力して、全国に展開していきます。④全国の動きを見据えながらも、信州らしい温かみのあるがんゲノム医療体制構築に貢献します(遺伝性乳癌卵巣癌総合診療基幹施設、がんゲノム医療連携病院、長野県がん診療連携拠点病院として)。

オンリーワンの遺伝学研究を推進

遺伝医学教室、遺伝子医療研究センターでは、教室員の自由な発想に基づくオンリーワンの遺伝学研究をサポートします。現在、以下のような研究が進められています。①筋拘縮型(古庄型)エーラス・ダンロス症候群の包括的研究、②遺伝性結合組織疾患(エーラス・ダンロス症候群、マルファン症候群、骨形成不全症など)の包括的研究、③遺伝性・先天性疾患(18トリソミー、13トリソミーなど)の自然歴・健康管理指針の構築、④先天異常症の臨床細胞遺伝学的解析、⑤知的障がいをはじめとした神経発達症(neurodevelopmental disorders)の研究、⑥脊髄小脳変性症をはじめとした神経遺伝性疾患の網羅的遺伝子解析、⑦出生前診断をめぐる心理社会的研究、などです。
また、日本遺伝カウンセリング学会誌編集長として、全国の若手研究者(医師、認定遺伝カウンセラーなど)の研究をサポートします。

深い遺伝医学の素養を持つ医療人を育成

遺伝医学教室、遺伝子医療研究センターでは、以下のように様々な職種の方々に対し、様々な段階で遺伝医学の教育を提供しています。①信州大学医学部医学科学生に対する学部教育(遺伝医学講義、遺伝カウンセリングロールプレイ実習、臨床実習など)を通じて、深い遺伝の素養を持ち、遺伝子医療部門と連携できる医療人を育成します。②大学院修士課程遺伝カウンセリングコースの教育を通じて、臨床遺伝のあらゆる領域において、自ら考え行動できる認定遺伝カウンセラーを育成します。③大学院博士課程(MD、非MD)の教育を通じて、遺伝性・先天性疾患に関する臨床的・基礎的アプローチを駆使して自立的に研究を推進できる研究者を育成します。④次世代スーパードクター(NGSD)制度などによる卒後医師教育を通じて、深い遺伝医学知識・経験のみならず、診療科横断的に活躍できる協調性・バランス感覚・深い洞察力を持った臨床遺伝専門医を育成します。

あたたかみのある教室運営

教室は、まず第一に、一人一人が大切にされ、安心して活動できるベースキャンプでありたいです。女性教室員も男性教室員も、それぞれの日常生活が安定した上で、診療、研究、教育に取り組めるよう、ワークライフバランスを大切にします。そして、それぞれが生き生きと自立的に課題にチャレンジすることでキャリアアップしていける、そんな教室でありたいと思います。