2019年度「山岳環境保全学演習」を実施しました
1.演習名
公開森林実習「山岳環境保全学演習」
2.実習目的
山岳環境保全に必要な基礎知識と技術を,西駒ステーションから木曽山脈・将棊頭山(1,250 m~2,730 m)をフィールドとして集中実習により習得する。
・代表的な高山植物の観察を行い,希少な高山植物群落の保全について学ぶ。
・高山帯から亜高山帯を経て山地帯までの,植物の垂直分布帯を踏査し,信州の自然の多様性について体感する。
・高山環境に生息する昆虫類や鳥類の観察,野生動物のフィールドサインの識別方法など,フィールドワークの基礎を学ぶ。
・コンパスを使用した地図の読みや,山岳気象への対処(天気図の作成を含む)など,登山の基礎知識を学ぶ。
・山小屋で宿泊し,登山者による環境負荷の観察(登山道の状態,し尿・ゴミ処理など)を体験して,自然保護と人の利用を含めた山岳環境の保全について見識を深める。
3.実施日
2019年9月3日(火)~9月6日(金) 3泊4日
4.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
西駒ステーション,手良沢山ステーション
木曽山脈(中央アルプス)西駒山荘,将棊頭山周辺
5.担当教員
荒瀬輝夫准教授,小林 元准教授
6.参加人数
信州大学農学部9名(男子4名,女子5名)
他大学11名(男子6名、女子5名)
(内訳)国立大学:岡山大学(1名),筑波大学(2名),山形大学(1名),北海道大学(1名),東京農工大学(1名),静岡大学(1名)
私立大学:東京都市大学(1名),法政大学(1名),立正大学(1名),東洋大学(1名)
7.まとめ
2019年9月3日から6日にかけて,山岳環境保全学演習を西駒ステーションで実施した。本年度は,西駒ステーションの学生宿舎である桂小場学生宿舎が水道の不通により宿泊利用できなかったため,初日と3日目の宿泊には手良沢山ステーションの学生宿舎を利用した。
実習は小林 元,荒瀬輝夫の両准教授と2名のTAの指導のもとで行われた。登山中の天候は終始曇り空で,下山の折りには一時,雨に見舞われた。展望には恵まれなかったが,雲の中を歩行する高山でしか体験できない貴重な経験を積んだ。学生からは,標高のみならず,人間による過去の森林利用の形態によっても植生が変わることを学んだ,西駒山荘では土壌,および水環境を守るためにトイレでは便袋を使用して排泄物を下界で処分すること,食器を水洗する前に油分を紙で拭き取ること,作成した天気図をもとに翌日の天候を予想し,行動計画を立案することを学んだ,等の感想が寄せられた。初めての登山で体力的にきつく感じた学生もいたようであるが,少しずつステップアップして高山でのフィールドワークに親しんで欲しい。