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《プレスリリース》天然有機物に対して優れた防汚性を有するカーボンナノチューブ/ポリアミド逆浸透膜を開発

 信州大学アクア・イノベーション拠点(COI拠点)が研究開発を進める多層カーボンナノチューブ/ポリアミドナノ複合膜において、新たに天然有機物が付きにくい優れた防汚性を有することが明らかとなり、この研究成果が米国化学会(ACS)のEnvironmental Science & Technology誌(電子版)に掲載されました。

 現在、世界の95%以上の海水淡水化は逆浸透膜によって行われていますが、原水に存在する様々な不純物が膜の表面に堆積する膜汚損(ファウリング)は逆浸透膜濾過法の最大の課題の1つとなっています。
これまで本拠点が開発したナノカーボン膜には有機物のタンパク質や無機物の炭酸カルシウムの汚れがつきにくい現象が発現し、そのメカニズムを解明してきましたが、今回、天然有機物の汚れがつきにくい特性も備えていることを発表しました。
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フミン酸の付着の様子0529.jpg   (上:市販膜 下:信大COI開発膜 信大開発膜はフミン酸の汚れが付着しにくく、除去しやすい)

 海水・河川水に含まれる天然有機物の代表的な物質が、海藻等から生産される多糖類のアルギン酸塩と植物の分解に由来するフミン酸。どちらも粘着質の化合物で、一度膜表面に付着すると除去しづらい厄介な物質で、特に初期段階に膜に吸着することで、ファウリング現象が発生してしまいます。
今回の論文発表では、膜表面へのアルギン酸塩及びフミン酸の初期吸着を低減することを、本学が有するスーパーコンピュータを使った分子動力学シミュレーションと実験法により解明し、開発した膜の複数の固有の機能が組み合わさって優れた防汚性が発現することが明らかになりました。

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記者会見は5月29日午後1時から、信州大学長野(工学)キャンパス内の国際科学イノベーションセンターで開かれ、研究リーダーの遠藤守信・信州大学特別特任教授、Rodolfo Cruz-Silva特任教授、Aaron Morelos-Gomez特任准教授、サブ研究リーダーの竹内健司准教授と林卓哉教授、高度情報科学技術研究機構の手島正吾・特任教授の6名が、報道機関に説明を行いました。

プレスリリース及び論文は以下のリンクよりご覧ください。
プレスリリース(2019年5月29日).pdf
Environmental Science & Technology 2019