国際交流・留学
第25回医学部国際交流セミナー:シンガポール国立大学 Boon Huat Bay 教授の講演会を開催しました
2024年08月05日 研究者交流
シンガポール国立大学は、QU University World Rankingで第八位(アジアでは第一位)に選ばれる名門大学です。Boon Huat Bay教授は、この大学のYong Loo Lin School of Medicineで解剖学教室を主宰しており、がんのバイオマーカー、特に乳癌や咽頭癌のバイオマーカーの機能解析とその有用性について研究しています。
今回、Bay教授が理化学研究所での共同研究のために滞在されていた際、乳腺内分泌外科学分野の伊藤研一教授と旧知の仲であること、また以前、信州大学名誉教授であった故永田哲士教授に指導を受けた縁もあり、信州大学への訪問が実現しました。
セミナーでは、Bay教授がメタロチオネイン2AやY-Box binding protein 1の発現抑制が乳癌細胞の増殖を抑える可能性について丁寧に説明してくださいました。また、基礎的な癌研究の手法についても具体的かつ分かりやすく解説してくださり、学生や若手研究者にとってとても有意義な講演となりました。セミナーには20名以上の学生、大学院生、教職員が集まり、オンラインでも配信されました。多くの大学院生からたくさんの質問が寄せられ、熱心な討論が繰り広げられました。
このセミナーは、乳腺内分泌外科学教室およびバイオメディカル研究所の共催で行われ、がん研究の最新の知見を深く理解する良い機会となりました。今後も、信州大学医学部の研究者が世界最先端の研究に触れる機会を増やし、その視野を広げていきたいと思っています。
【講演】
"Biomarkers as Promising Molecular Targets for Breast Cancer Therapy"
Boon Huat BAY, MBBS, PhD
Kwan Im Thong Hood Cho Temple Professor
Department of Anatomy
Yong Loo Lin School of Medicine
National University of Singapore
【要旨】
According to the Globocan 2022 estimates, female breast cancer remains the most commonly diagnosed cancer in women worldwide, and a leading cause of cancer-related mortality. As such, novel biomarkers for diagnosis and prognostication are key to optimize treatment strategies, as well as in driving molecular targeted therapy, that could provide a valuable and alternate treatment option to improve survival in breast cancer patients. A general overview of potential biomarkers such as the Metallothionein protein and Complement component 1, q subcomponent binding protein (C1QBP), together with a detailed review of the Y Box-binding Protein 1 (YB-1) as potential targets for breast cancer therapeutics will be presented.