2019年度ものづくり・ことづくり演習II@チュラロンコン大学、タイ

活動報告

8月5日~8月10日の日程で、タイ王国において、修士1年次生と2年次生6名のプログラム履修生が、必修科目である『ものづくり・ことづくり演習II 』を実施してきました。タイで行うのは今年度で5回目となります。
8月6日~8月8日はチュラロンコン大学で合同ワークショップを行い、チュラロンコン大学の教員および学生と学術的・文化的交流を深めました。ワークショップでは、双方の大学の研究紹介、ポスターセッションを行い、盛んな意見交換が行われました。文化交流のセッションでは、日本とタイおよび履修生の出身国のパキスタン、それぞれの国の紹介や文化発表を行い、双方の文化を理解するよい機会となりました。また、実際のタイの歴史地区でチュラロンコン大学の学生によりタイの歴史および文化の紹介が行われ、タイの人々の文化と生活を学ぶ貴重な経験を得ることができました。
2018 Manufacturing and Value Creation Seminar II at Chulalongkorn University, Thailand.png 8月9日には、タイ東レ シンセティック(株)アユタヤ工場で研修を行いました。アユタヤ地区は日本をはじめ多数の企業が進出しており、工業団地として東南アジアのハブとしての役割を担っています。普段見ることのできない海外の工場の生産現場を見学させていただき、質疑応答の時間も予定より長くご対応くださいました。専門的な工程に関する質問はもちろんのこと、グローバル企業としての役割をはじめ、どんな能力が必要であるか、実際に海外に赴任してどのような仕事をしているのか、どのように現地の人々と働いているのかなど、丁寧にお答えくださいました。お忙しいところ、実際の工場の稼動の様子をたくさん見学させていただいただけでなく、意見交換にもご対応くださり、タイ東レシンセティック(株)アユタヤ工場の皆様には感謝申し上げます。
DSC_0075.JPG タイの8月は雨期にあたり、蒸し暑い陽気(帰国後の長野の方が暑かった・・・)、凄まじいバンコクの交通事情と直前の爆破事件の影響はありましたが、有意義な研修を終え無事帰国することができました。

学生の報告書より---------
プログラム2年 池田 悠二
1. 参加の目的
日本のものづくりは、東南アジア諸国連合の国々との関係を抜きにしては考えられない状況にある。これからものづくりの世界で、これらの国々との関係がさらに密接になっていくと思われる。そこで、この合宿では、東南アジア諸国の学生と共同でモノづくりに関係するいくつかの課題に取り組み、こうした国々の学生とのチームワーキングスキルの向上を目指す。合同合宿の相手国としては、多くの日本企業が工場を持ち、ものづくりを行っているタイ国を選び、その中でトップに位置するチュラロンコン大学を合同合宿先として選択した。
 合宿では、文化的背景と使用言語を異にする信州大学リーディング大学院学生とチュラロンコン大学院学生が合同でワークショップを開催する。ワークショップでは、両大学チームからの研究プレゼンテーションをもとに、関連する話題について議論する。また、両大学学生の文化交流を通して、学生間の交流を進める。さらに日系企業を訪問し、グローバル展開している企業の現場を見学する。この合宿を通して、将来、東南アジア諸国で活躍できる能力の向上も目指す。

2. 会議に参加した結果得られた課題
今回タイではポスター形式による研究発表を行った。昨年のオーストリアで口頭での英語発表を行った経験があったため少し油断していたが現実は厳しかった。ポスター1枚にまとめようとするとどうしても情報量が少なくなってしまい、詳しい内容を口頭で説明する必要があり、閲覧者からの質問もたくさん来る。補足の説明などは事前に英語に訳して準備することができるが、あちらからの質問の答えについては自分の英語を使って対応しなければならなかったので、その点少し苦労した。また自分はカシミヤの研究をしているが、カシミヤはセーターやマフラーなどの防寒着として使用されることが多く、気温の高いタイではあまり馴染みのない繊維素材だということが分かった。聞き手側の文化の違いなども考慮して資料を作っていくことも大切だと感じた。

3. 会議に参加した結果得られた成果
空港からバンコク市内までだけでも多くの日本車や日本企業を見かけた。日本企業の中でもセブンイレブンは町中にあったためよく使うことがあったが、食品の品揃えが日本で売っているものとは全く異なっていた。国が違えば趣向も異なり、それに合った商品を提供する企業の努力が感じられた。
 また今回は東レのアユタヤ工場にて工場見学をさせて頂いたが、この地域は洪水が多く、以前にも一度洪水の被害を受けている。そのためこの工場では1階には水に弱い紡糸装置等の機械は置かず、2階以上に設置するようにしているようだ。ここでもやはり土地柄を意識した工夫を感じることができた。自分が将来海外で事業を展開するような立場になった時には意識したい点である。

4. 成果を今後の研究にどのように活用するか
依然として英語能力の足りなさを痛感する研修であった。今回は毎晩のようにチュラロンコン大学の学生たちが街を案内してくれ、かなり英語で話す機会が多かったが、一度で聞き取れず、聞き返しても分からない場合が何度かあり、その時はわかったフリをして話を進めてしまった。今はそれで何とかなっているが、いつまでもこれではいけないので、今後もTOEICの勉強はもちろん、スピーキングの能力も高めていきたい。

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