テキスタイル基礎実習(工場研修@日本フエルト)

活動報告

9月5日、「テキスタイル基礎実習」の一環として、学生12名(1年生10名・2年生2名)が、一昨年に引き続き、日本フエルト株式会社の埼玉工場(埼玉県鴻巣市)を訪問しました。

前回同様、繊維学部の卒業生である大山会長を筆頭に、社員の方皆さんに温かく迎えていただきました。
大型の機械の大迫力を目の当たりにしただけでなく、繊維を人の手でつなぎ合わせる細かい作業の部署もあり、全社員の方々が協力して良い製品を作り上げるという目標の下、努力される姿勢を直に感じ取ることができました。社内外、工場内外、どこを見ても整理整頓がなされ、塵一つ落ちていない環境から、社員の方々の細やかな気遣い、また意識の高さを学ぶことができました。
社員の皆さんが日ごろ勤務中に着ていらっしゃる、創立100周年記念のポロシャツ、18色ある中から、参加者全員がそれぞれ好みの色のシャツをプレゼントしていただきました。ムスリムの留学生のために、ハラル対応のお弁当まで用意してくださり、工場の外でも、大変よくしていただきました。改めまして、心より感謝申し上げます。

学生参加報告書 藤原聖也(1年)
1:参加の目的

「テキスタイル基礎実習」の一環として、今回日本フエルト株式会社の工場を見学させていただいた。日本フエルト株式会社は主に製紙用のフエルトを製造しており、創業から今年で100年を迎えた企業である。本リーディングプログラムは、主に産業界のリーダーとして活躍できる博士人材の育成を目標としており、そのためにはものづくりがどのように行われているかを学ぶことが重要となる。そこで本研修では、工場見学及び日本フエルトの技術者の方との対談を通じて、大学で獲得した知識の現場への応用力を養うことを目的する。

2:参加した結果得られた課題
今回の見学で得られた課題としては、工場全般のあらゆる"システム"と"工夫"への知識不足が挙げられる。研修開始前に見学に同行していただいた岩木さんから、「工場は生産の貯めのシステムであり、このシステムは製造のための機会設備と人の組織と人の組織を収納する様々な情報系から成り立っており、見学する上で工場の立地、アクセス、レイアウト、滞留在庫、掲示物などの"見える物"と、モノの動きと連動性や、安全・衛生レベルといった"見えない物"に注目して見学する」、というお話を伺った。今までの研修では、"物がどのようにつくられているか"という、わかりやすい部分には意識を向けていたが、こういった部分には率直なところあまり注目していなかったように感じる。今回の研修では開始前に見学する上でのポイントを教えていただけたので、先に挙げた部分について注視見学するようにはしたが、これまでの見学においてあまり注目していなかったため十分な比較ができなかったとように思う。また、どの程度の滞留在庫があるのか、工場の立地という部分、働く人の様子という部分については見学、もしくは企業の方への質問によりある程度理解できることができたと思うが、一方で同窓会会長の石坂さんが見学終了後に、会社の清掃が行き届いていること、標語などの書かれたポスターが無いことについて言及されていたが、そういった部分には気づくことができなかったとハッとした。次回の見学からは、自分の視点を増やすことで更に有意義な研修としたい。


3:参加した結果得られた成果
研修に参加したことで得られた最大の成果としては、100年続いている企業がどのような企業なのかということを、工場見学と、現場で働く方および役員の方に直接話を伺うことにより肌で感じることができたことが挙げられる。工場の雰囲気としては、業務に対する真剣さ、真摯さのようなものがありながらも全体的に穏やかで、また見学に来た私達に対してとても手厚い対応をしてくださった。また、社員の方への福利厚生も充実しており、近隣が住宅地であるにも関わらず騒音対策をすることで工場の操業継続を可能としていた。加えて工場内では、機械により自動化されている工程と、手作業により行われている工程があったが、手作業の工程ではまさにベテランと思しき方が、若い従業員の方に技術を教えている瞬間を見学させていただいた。質疑応答の際には、私から「100年間でどのようなことがあったのか、取引先は変わらないのか」という点についてご質問させていただいたが、100年間ほぼ取引先は変わらないとの回答をいただいた。100年間契約を継続するためには、その間ずっと品質を維持しつづけなければならず、それと同時に製品のレベルを変わらず進歩させてきたということも示しており、それには少し考えただけでも相当な努力が必要であると容易に推測できる。こうした点は、先に挙げたような工場の雰囲気や工夫、会社の経営から成り立っているのである、ということが今回の研修を通じてわずかながらも理解できたと思う。

4:成果を今後の研究にどのように活用するか
今回の研修を通じて自らの研究に活用できると感じた点は、長い月日を経ても同じ立場に奢らない姿勢であると思う。私個人の偏見かもしれないが、100年間経営を続けていれば、どこかで奢りや甘えのような物が生まれてしまうのではないか、経営体質が保守的になってしまうのではと思ってしまうが、今回の研修でそういったことは感じなかった。このような姿勢は、1つのテーマについて5年間研究していく自分にとって学ぶべき姿勢であると感じた。
また率直な感想として、もし将来自分が何からの製造会社の経営に携わることがあるならば、今回見学させていただいたような工場を作り上げたいという思いを持った。3で述べたような部分はもちろんのことだが、他にも埼玉工場の生産ラインの一通りの流れを見学させていただいたことで、スムーズに経営される工場の配置や機材、従業員の方の働く姿を知ることができた。もし自分が会社を経営するのではあれば、会社はもちろん長続きさせるべきであろう。将来にわたる自分の指針のようなものが今回の研修で得られたように感じる。


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