テキスタイル基礎実習(工場研修@ミマキエンジニアリング)

活動報告

IMG_0915-1.jpg6月20日、テキスタイル基礎実習の一貫として、プログラム履修生1年次生10名が、昨年に引続き長野県東御市にある株式会社ミマキエンジニアリングを訪問しました。
工場見学後の質疑応答の時間では「液体にも印刷可能ですか」という問いに対して「できるかできないかと言われたらできる。だけど本当に需要があるのかわからない」と真摯に回答いただくだけでなく、需要の部分を一緒に考える時間まで作ってくださいました。
工場見学を受け入れ丁寧にご対応いただきました、株式会社ミマキエンジニアリングの皆様に感謝申し上げます。


学生参加報告書 唐沢 悠綺(1年)
1:参加の目的
 本リーディングプログラム「ファイバールネッサンスを先導するグローバルリーダーの養成」では、主として産業界のリーダーとして活躍できる博士人材の養成を目標としている。そのためには、大学内で行う実験・実習だけでなく、幅広い分野に渡る生産現場で、実際に優れた製品のものづくりがどのように行われているかを学ぶことが重要となる。そこで、この工場見学・研修では、大学で獲得した知識の現場への応用力を養うことを目的としている。実際のものづくり現場を見学するとともに、機会があれば、技術者と現場で起こる問題点について議論し、問題点の解決方法についても学ぶ。また、この工場見学・研修は、カリキュラム必修科目のテキスタイル基礎実習の一部として行うものである。

2:参加した結果得られた課題
 今回の工場見学では、最後にこの企業で働いている方々との充分な質疑応答の時間が設けられた。この時間の中で私は、「BtoBでのやり取りをしている中で、業務用インクジェットプリンタをどのようなスパンで企業に売るか」や「デジタルオンデマンド生産の利点」、「潜在市場への取り組み」等の販売戦略的なことを質問し、社員の方の適切な回答のおかげもあり理解することができた。しかし、ミマキエンジニアリングで開発されている機能性インクについては気になったものの、あまり掘り下げて深く質問することができなかった。これは、私自身に、インクに使用されている樹脂や高分子等の化学的な知識があまりなかったからである。これは、将来的に何かの仕事に就いたとき、化学や材料の最低限の知識がないとそのような専門分野の人との連携がうまく取れないのではないかと痛感した。

3:参加した結果得られた成果
 今回の工場研修では、企業説明、実際に働く企業の方との質疑応答やショールーム見学により多くのことを学べた。最初の企業説明ではこの企業が具体的に何をしているかの実態をつかむことができた。この紹介の中で私が驚かされたことは、この企業は年に300件以上の特許を出願しているということであった。この数字は競合他社の倍以上である。なぜここまでの数の特許を出願できるか尋ねたところ、この企業の「新しいものをどんどん出していこう」というような社風が関係しているとのことであった。特許になりそうなものを打ち合わせで話し合い、研究開発をしているそうである。
 また、この企業が据えている究極の開発目標は「水と空気以外なら何にでもプリントできる」ことであり、まだ他の企業が成し得ていないことへ日々挑戦し、独自の付加価値で市場を開拓していることも伺えた。
 世界のTA(テキスタイル・アパレル)市場ではまだ2%程しかデジタルオンデマンドプリントが普及しておらず、そのデジタルオンデマンドプリントの先駆者であるこの企業が今後この潜在市場へどう取り組んでいくのかが分かった。
 このように今回の工場研修では、この企業が日々、新しいことや未知への挑戦をしていること、研究開発への飽くなき向上心、将来を見据えた展開等、様々なことを学ぶことができた。

4:成果を今後の研究にどのように活用するか
 今回の工場研修で学んだ、「新しいことや未知への挑戦」、「研究開発への飽くなき向上心」、「将来を見据えた展開」は自分が今後研究をしていく中でかなり重要なことであると思う。
 私の場合、今年度から研究テーマが変わったのだが、今回の工場研修で学んだことによって、新たにやる必要があることが出てきたように感じた。それは、私の新しい研究テーマと類似したテーマの論文をより深く調査し、既存の研究でどのようなことをしているのか、まだ分かっていないことは何なのかを確認する必要があることである。さらに、これからの将来どういったものが求められるのか、この研究はそれらのニーズを満たすものの手助けになるのかを考えてみる必要があると感じた。私は、将来、大学等で学術的・基礎的な研究をするということよりもメーカーで製品開発に携わり人々へより良い製品を届けたいという思いが強い。よって、この大学院での研究でこの研究が何につながるのか、将来的にどのように社会に役立つのかを考えながら今後の研究に取り組んでいきたい。

IMG_0912-1.jpgIMG_0913-1.jpg

« 前の記事へ

お知らせ一覧にもどる

次の記事へ »