テキスタイル基礎実習(工場研修@小松精練)

活動報告

komatsu1.JPG1年生必修科目『テキスタイル基礎実習』の一環として、10月6日、石川県能美市にある小松精練株式会社を訪問しました。1年生7名の他に2年生3名、4年生1名の学生が参加し、繊維学部卒業生である米澤和洋開発担当部長に案内していただきました。台風が接近する中での石川県行きとなりましたが、当日は太陽も覗き、見学施設屋上から、息を呑むほどに美しい日本海を眺めることもできました。また、石川県立伝統産業工芸館では、36業種の伝統工芸についてつぶさに観察する貴重な機会となりました。

長時間に渡って、熱のこもった説明をしてくださった米澤開発本部長、受入れに際してご尽力いただいた髙木泰治監査役・工藤専一総務課長をはじめとする、小松精練のみなさまに感謝申し上げます。


学生参加報告書 國光立真(1年)
ishikawatraditions.jpg1. 参加の目的
 今回は、国や石川県で制定されている加賀友禅、牛首紬、輪島塗などの伝統工芸品を見学することで、伝統工芸の非常に高等な技術や、手工業の繊維製品の製造について見学する。
また、染色技術や仕上げ加工に多彩な技術を持つ小松精練を見学させていただくことで、企業の製品に対する姿勢や、繊維製品の処理加工、製造の様子について学ぶ。
2. 参加した結果得られた課題
 前回の東レ工場見学の際には、事前の調査の不足について問題視していたが、今回はある程度行うことができており、工場見学や伝統工芸品について、より深く学ぶことができたと考えている。ただ、小松精練では繊維製品の収縮加工と一口に言っても、収縮のさせ方で、硬い生地にすることもあれば、しわが入った生地になったり、部分的な収縮により柄を浮き出させたりと異なる感触の生地になる。実際に手で触ってみることでその違いを実感し、繊維製品の処理加工の幅広さについて学ぶことができた。ただ、私は繊維製品の加工技術についてあまり知識を持っていないため、処理の原理については十分に理解しきれていないと考えている。これらの知識については、今後学ぶ必要があるし、次回の工場見学では企業のコアコンピタンスに近い知識についても予習する必要がある。
 工場見学以外にも課題では、工場見学や資料館へ訪問する際、生徒が利用する公共手段等を把握していないことである。私は今回引率する先生方にお任せしてしまい、移動手段について何も考えていなかった。もちろん、先生方も生徒の安全を確保しなければならないのに加え、海外の生徒が多いこともあるため、団体行動になるのは仕方のないことであるが、我々も自主的に計画を立て、行動しなければならないと感じた。 
komatsu2.JPG3. 参加した結果得られた成果
 小松精練では環境対策用材料や耐震材料の開発も行っている。環境用材料では、染色の際に出る汚泥に珪藻土と粘土を混ぜて1000℃で焼成することで得られるブロックがある。このブロックは水を含ませるとブロック内にある微小な空孔により高い吸水性を発揮する。その上に植物を植えても高い保水性のため水をやる必要がほとんどない。その機能を活かして屋上緑化や壁面緑化や、歩道に使うことで水はけのよいブロックとして用いることができる。また、耐震用材料は炭素繊維を撚り合わせることで得られ、建物を覆うように側面と地面に固定したり、天井から最下層までを垂直に固定したりすることで震度7クラスの地震が数回来ても耐えることを可能にすることができるという。また、この材料は一般的な鋼線と比較し、5分の1の重量で同等の強度を持ち、また細いため視覚の邪魔になりにくいことからデザイン性の良い新しい耐震用材料としても期待されている。このように、廃棄物を効果的に利用することで環境を守る、また地震から身を守るということは将来生きていくうえで注意しなければならない点である。一般的な教養としてこれらの問題をどのように対処しなければいかないのかということを考える必要があり、小松精練の方法は、一つの回答になることだろう。
 他にも、伝統産業工芸館では、加賀友禅や牛首紬の絣の精巧さに驚かされた。繊維関係以外でも、輪島塗や金沢金箔、仏壇等、落ち着きを持ちながらもきらびやかである工芸品をいくつも見ることができた。普段、このような工芸品を見る機会は少ないため、勉強になった。今後の研究に生かせることは少ないと思うが、海外に行った際に自国の文化を説明するときなどに役に立つことだろう。
komatsu4.JPG4. 成果を今後の研究にどのように活用するか
 今回、繊維製品の処理加工を主に扱う小松精練に伺った。その中で最後に繊維製品の川中の企業として、川上にある紡糸技術について求めることについて伺った。その際に、川中の企業は消費者が求める製品を製造するために、川上、川下の両方の技術と協力することで新しい製品を作り出していくという回答を頂いた。小松精練は、仕上げや染色により織、編の生地を多彩に変化させていくが、私は繊維そのものに性能を付けることができれば更に可能性は広がることと考えている。そのため、繊維の構造制御についてより知識を深め、社会に生かせるように学んでいく必要があるだろう。最後に、小松精練の見学の際、私の学部生時代の同級生が働いている姿を見て、普通ならば自分も企業に勤めているはずである年齢であることを強く感じた。今は幸運にもリーディングプログラムに参加することができ、さらにサポートが充実した環境の中で様々な経験や勉強をさせていただいている。企業に就職できた時に使えない人間にならないように、日々の努力を怠らないようにしたい。

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