テキスタイル基礎実習(工場研修@東レ三島工場)

活動報告

9月9日に、プログラム1年生の学生及び2年生以上の希望者が、静岡県三島市にある東レ株式会社三島工場において、テキスタイル基礎実習の一環として、工場研修を行いました。
東レ三島工場では、製品製造の過程を見学しただけでなく、研究者とのディスカッションなど、充実した工場研修となりました。

学生の報告より 4年生 石川 達也 
H28.9.9_TORAY Mishima Plant.jpg1.参加の目的
私たちが在籍する信州大学繊維学部は、国内で唯一「繊維」の名を冠す学部ということもあり、その優位性を高めている。その繊維という分野において、日本国内にとどまらず世界的に有名な企業といえば東レ株式会社だ。ユニクロとのコラボレーションによって生まれたヒートテックや航空機に採用されている炭素繊維複合材料などの繊維製品をはじめ、化成品や医療品についても話題に事欠かない。東レ株式会社の繊維事業の根幹を担っているのが、静岡県三島市の繊維研究所であり、同地にてポリエステル繊維の生産も行っている。
本研修では、繊維業界における世界的にトップレベルの企業において生産現場のものづくりについて学び、さらに、繊維研究所の方との意見交換を通して繊維産業の将来について新たな知見を得ることを目的としている。

2.参加した結果得られた課題
後述した「グローバルに研究開発を行う意義」と「日本で生産を行う意義」についてもそうだが、主観的な偏見から理解したつもりになっていることが多いようである。偏見からぼんやりとものごとをみるのではなく、高解像度でものごとをみる能力を養いたい。

3.参加した結果得られた成果
今回の研修において、「グローバルに研究開発を行う意義」と「日本で生産を行う意義」という2つの重要な知見を得た。
•グローバルに研究開発を行う意義:
近年、生産だけでなく研究開発についても、国外に拠点を設けて展開する日系企業が増えてきている。「多様性のある研究開発」と言えば聞こえはいいが、それが企業にもたらすメリットについて私は懐疑的であった。グローバルに研究開発を行う意義について、中国の研究開発拠点に駐在経験のある繊維研究所の方から話しを伺ったところ、「それぞれの国においてニーズの変化スピードが速く、日本で研究開発をしていてはその動向を先読みし対応できない」とのことであった。しかし、国外の研究開発拠点制度は発展途上であり、今のところ国内の拠点が研究開発テーマの主導権を握っている。将来的には、国外拠点の研究開発者を日本に呼び寄せて研修を行い、企業理念を理解してもらった後に、国外拠点で研究開発を独自に行っていってもらうとのことであった。やはり一筋縄ではうまくいかないようで、長期的な視点で進めているようである。
•日本で生産を行う意義
メイドインジャパンや匠の技術という言葉のせいか、日本でしか作れないものがあると思い込んでいる。ものづくりが合理化するにつれ生産拠点が国内から国外にシフトし、現在技術的な意味で国内の生産拠点でしか作れないものは数少ないようである。人件費が高いにも関わらず国内で生産を行う理由の一つとして、「国内向け商品の生産」があり、もう一つは「国外生産拠点を建設する際の条件検討」のようである。国内の生産拠点では細かな指示が出しやすいため、国外の生産拠点に導入予定の装置の仕様や製造条件を検討しやすいようである。

4.成果を今後の研究にどのように活用するか
成果から得られた課題として、「高解像度でものごとをみる能力の養成」を前述した。設問の趣旨からは逸れるが、この能力は本来、研究を通して養ってきているものであるため、これを日常生活にも応用できればと考えている。

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