平成28年度ものづくり・ことづくり演習I@BOKU、オーストリア

活動報告

6月17日~6月27日の10日間、オーストリアにあるウィーン天然資源大学(以下BOKU)で、リーディングプログラム1年次の必修科目である『ものづくり・ことづくり演習Ⅰ』としてBOKUの学生および信州大学リーディングプログラムの学生による合同合宿を行いました。BOKUでの開催は昨年に続き今回で2回目となり、1年生の他に2年次と4年次の日本人履修生2名も参加しました。
今回も演習の一環として、パルプ・製紙工場であるSappi、繊維製造工場Lenzingと紙博物館、BOKUのウィーン本部にある国際交流センターを訪問しました。
ワークショップでは、双方の学生による研究内容の発表だけでなく、異文化交流の一環として、文化紹介のグループ発表も行いました。プログラム履修生は「アニメ」と「きもの」に焦点を絞っての発表となり、「きもの」のグループ発表では、BOKUの学生さんに浴衣の着付けを行い、双方の学生が半被を着て一緒にソーラン節を踊り、一体感を感じる文化交流となりました。今回の合宿をきっかけに、BOKUとの共同研究の計画が進み始めた履修生がいるのも、成果のひとつと言えます。
この合宿を企画運営してくださったBOKUのRosenau教授、秘書のChristiane Gollnerさん、また、履修生たちを歓待してくれたBOKUの学生さんたちに心より感謝いたします。

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学生の報告より 1年生 國光 立真
1.参加の目的
今回我々はオーストリアに行った。そこで、BOKU大学(University of Natural Resources and life Sciences, Vienna)を訪問し、Ph.D.の学生と相互に自分の研究についてのプレゼンテーション、製紙や再生繊維工場に訪問、ハイキングやバーベキューなどの交流を行った。これらのことから、英語でのコミュニケーションを行うことや、Ph.D.の研究の姿勢、海外での工場の現状について学んだ。またTullnやViennaの市街地を回ることで海外の文化を体験した。
2.会議に参加した結果得られた課題
プレゼンテーションを通して、まず英語の能力が絶対的に足りていないことを痛感させられた。自分のプレゼンテーションでは原稿を用意していたから何とかできたものの、質疑応答ではしどろもどろになってしまい、十分な回答ができなかったように感じている。また、BOKU大学の学生のプレゼンテーションでは、研究内容を大まかにしか掴むことができず、質疑応答に加われなかった。他にも、ハイキングや夕食など行動を共にする機会は多くあったが、気後れしてしまい結局あまり話すことはできなかった。他の人は英語を用いていろいろ会話をしているところ見て、これほどまでに英語が話せなかったことを悔しく思うこと無かった。
さらに、使える言語は多い方が良いことも感じた。ドイツ語と英語を流暢に話すことができるDennisさんはすぐにBOKU大学の学生やRosenau教授と打ち解けていたし、飲食店に行った際には交渉やメニューの説明を彼や梶原先生に頼ることが多かった。このことから、より多くの人とコミュニケーションを取るためには、英語以外の他言語を学ぶ必要性を認識させられた。
また、BOKU大学のPh.D.の学生は、半年ほど関連する研究内容について調べ、そののち担当教官と相談することで研究テーマを決定することを知った。このため、研究について十分な理解しているため、プレゼンテーションでは研究の目的、実験方法、結果とそれに対する改善点などが明確に示されていた。一方、自分の場合、研究テーマも担当教官から与えられたものであり、研究中にある課題についても解決策が見つかっていない。今はまだ修士課程であり、与えられた研究の中で実験を組み立てたてて実行していくことを学ぶべきだが、いずれは自分から研究テーマを提案できるように調査が必要である。
工場見学ではLenzingではビスコースレーヨン繊維の原料と製造工程について、Sappiでは製造工程から品質試験、包装工程を見学することで、生産現場と実験実の規模の違いを感じた。例えば、一度に幅8mの紙を製造する、一日1トンの繊維を製造する紡糸機が200台並ぶ列がいくつもあるなどがあった。今学んでいる知識を企業で活用していくためには、製造を意識した研究を行っていく必要があると感じた。そのためも、今後更に日本、海外の生産現場について知っていかねばならないと考えている。
他にもオーストリアの人々の暮らしからも課題が見つかった。それは、仕事をする、しないというオン・オフがはっきりしている点である。スーパーマーケットは市内であっても日曜日は営業しないし、大学でも日曜日は入ることが許されないそうだ。このような限られた時間の中で成果を出すためには、時間の有効活用が不可欠である。このためにはオン・オフの意識とタイムマネジメントは重要であると考えている。
3.会議に参加した結果得られた成果
課題では英語の能力の足らなさを述べたが、この2か月のリーディングの授業やそれ以外の勉強の成果か、あまり英語に接することに緊張しなくなった点は改善された。以前であれば、話そうとするだけで緊張し何もしゃべれなかったのに対し、今回は簡単な英語ならば理解し話すことはできた。もちろん、まだまだ十分な会話ができなかったことなど課題しかない状態であるが、進歩が見られた点であると思う。
4.成果を今後の研究にどのように活用するか
今回の研修で、多くの課題が見つかった。その課題の解決方法を挙げる。
第1に語学の向上である。これを達成するためには今以上に英語に触れる時間を増やす必要がある。単語、文法といった文を組み立てる勉強は勿論のこと、しゃべる機会を増やすためにも英語の授業のみならず英語サロンにも積極的に参加すべきであろう。他にも留学生であるDennisさんや、李さんの他言語を学ぶ姿勢は見習うべきものである。分からないことがあれば臆することなく聞きメモを取る。私も面倒くさがらず、やらなければならない。同時に、英語以外の言語にも挑戦していきたいと考えている。そのためにもまず英語をある程度修める必要がある。
第2に、Ph.D.に向けて自分の研究に関連した研究の更なる調査である。今まで、Ph.D.になることは遠い未来のように感じていたが、あと最低で1年半もすれば博士課程に進学する。博士課程では半年近くの留学とインターンシップがそれぞれ3年、4年にあるため、その時点で研究テーマを探しているようでは遅い。今後、他の研究の調査により、研究されていない分野を知る必要がある。そのためにやるべきこととして報文を探したり、日本や海外の学会に参加したりすることをすることが考えられる。また、製造や専門分野以外の知識を持つことも、新たな研究テーマ探索の役に立つだろう。
第3に課題に取り組む姿勢の改善である。私は一つの仕事に対して時間を多く割く傾向にある。そのため、睡眠時間が減り、ほとんど研究と勉強以外のことができないということが多い。それでは健康に悪影響が出ることは必須である。その解決するためにも、時間制限を設けること、仕事をもう少し簡潔に終わらせることが考えられる。社会に出ればさらにこの能力は必要になるため、少しでもできるようにしていきたいと考えている。

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