第3回工場研修(愛知県) 1/3

活動報告

2014年12月1日・2日にテキスタイル基礎実習の一環として学外研修第3回目を、ウールの婦人高級テキスタイル分野ではイタリアと共に世界2大産地の1つと称される尾州産地において実施いたしました。今回は、ファッションファブリックとして製品化されるまでの主要なノウハウも含まれる種々の工程につき、リーデイングカンパニー4社で説明を受けた後、現場見学をさせて頂きました。共通して感じられたのは、「世界に通じる、クオリティーの高い製品を作る」という強い信念とそれに立ち向かう姿勢でした。日本の「ものづくり」を担う4社を訪問させていただき、私達が繊維製品として手にするものには、どれだけ多くの「人の手・信念」「匠の技」「理・工・感性の幅広い融合分野技術」が加わっているのか、という一端をかいまみることができました。

1.宮田毛織工業株式会社

最初に訪問した宮田毛織工業株式会社は、昭和29年の創業で、丸編み機を150台以上保有し、機種もローゲージからハイゲージまでの幅広いテキスタイル生産能力を有するニットアウター婦人服地をメインとする製造販売を行う企業です。綿・麻・ウールの天然素材に止まらず、キュプラ・トリアセテート等の差別化された長繊維素材との複合テキスタイルへの取り組みを行なっています。ここでは、尾州産地の特質を生かし、着心地重視の日本でしか出来ないかつ尾州でしか出来ないテキスタイル提案への強い信念を感じました。

企業の説明を受けた際にオリンピック日本代表の公式ユニフォームに採用されたというニットジャケットを試着させていただきました。全体的に軽く肩周りになんのストレスもないことや、しわになりにくくコンパクトにパッキングが可能である事など、着心地を重視した製品を体験することができました。シングルニットとダブルニットの違いについてもサンプルを手に取って、質感を体験させていただきました。その後、生産工場での見学実習を行ないました。時代とともにめまぐるしく変化する消費者要求に、デザイン面から迅速に対処するために導入された、最新の連続インクジェットプリンターの稼働状況を見学しました。尚、このインクジェットプリンターはニットテキスタイルに対応し、使用する染料は環境保護の観点よりエコテックス企画100に適合するものでした。また、一宮工場内にある資料倉庫(アーカイブ)には、昭和60年からの夏物・冬物などのテキスタイルサンプルが約4万5千点ハンガーとして保管されていました。実際に顧客が手にとって、色や質感を見てからオーダーすることが可能であり、これらサンプルは1企業のみの資料ではなく繊維業界としての貴重な財産であると言えます。

そして、生産現場で丸編み機を見学し、稼働中の編機を教材として実際に糸がどこを通過し、針がどのように駆動して網目を構成しているかを説明していただきました。シングルニットと、ダブルニット、またジャガード織りの多様な編機についても見学しました。天然素材を主とするテキスタイル生産は糸質の変動が大きいので、製品の品質は生産担当者の技量に左右されるケースが多く、機械の設備保守とともに従業員に対する日々の教育も欠かせないとの事です。生産技術・品質の維持と同時に価格・開発競争との戦いの中で、「よい製品を作る、質にこだわる」という明確な信念と技術が宮田毛織工業株式会社を支えているのだということを強く感じました。

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