エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用プロジェクトは、2014年3月をもって終了いたしました。
長きにわたり、ご支援、ご協力を賜りありがとうございました。

研究内容

近年、グラフェン・ナノリボンは、魅惑的な性質を持つため、多数の研究グループから注目を集めています。われわれの研究グループでは、これらのナノ材料を抑制的(controlled)に合成する代替かつ斬新な方法を開発しています。

カーボンナノチューブとナノファイバの開放(unzip)

Terronesグループが研究するカーボンナノチューブとナノファイバのunzip方法 Terronesグループが研究するカーボンナノチューブとナノファイバのunzip方法

TerronesグループはCNTsのunzip代替方法を開発したパイオニアです。
(参考文献:M. Terrones, Nature 458 (2009), 845-846、M. Terrones ACS Nano 4 (2010) 1775-1781)

①Li-NH3インターカレーション(intercalation) の後、剥離
(参考文献:A.G. Cano-Marquez, M. Terrones, et al. Nano Letters 9 (2009) 1527-1533)

②触媒金属(catalytic metal)による、CNTsの縦方向切断
(参考文献:A.L. Elias, et al. Nano Letters 10 (2010) 366-372)

原材料に使用するチューブ材(SWNTs, DWNTs, MWNTs, CNx-MWNTs, COx-MWNTs, CBx-MWNTs, VGCFs)によって様々なGNRsとGCLsが得られるはずです。


われわれが開発している方法は次の通りです。

①制御された雰囲気(controlled atmosphere)(空気、N2, He, Ar, など)の中で、レーザとカメラフラッシュを使用した光学的(photophysical)方法

②触媒切断 Torronesグループはこの方法を開発して、最適化する予定です。
(参考文献:A.L. Elias, et al. Nano Letters 10 (2010) 366-372)

③ソフト化学方法がTourグループにも(参考文献:D.V. Kosynkin, et al. Nature 458 (2009) 872-876) Terronesグループにも(参考文献:M. Terrones, Nature 458 (2009), 845-846; A.G. Cano-Marquez, M. Terrones, et al. Nano Letters 9 (2009) 1527-1533) 開発されています。しかし、よりソフトな化学反応が研究されています。

④様々な液体(アルコール、界面活性剤、高分子凝集剤、モノマ)の中でナノチューブの機械粉砕の後、溶液で処理し、超遠心分離を施した斬新な機械的方法

⑤ソノケミカル方法

⑥ナノチューブアレーとナノチューブフィルムを効率的にunzipするために制御された雰囲気(空気、N2, He, Ar, など)の中で急激なジュール加熱をする斬新な熱物理(thermophysical)方法
(参考文献:X. Jia, M. Terrones, M.S. Dresselhaus, et al Science 323 (2009) 1701-1705)

ハイブリッドカーボン・グラフェン構造

ハイブリッドフィルムを合成するためのナノチューブとグラフェンの分子集合を示す図 ハイブリッドフィルムを合成するためのナノチューブとグラフェンの分子集合を示す図

グラフェン・シートが入手可能になったことで、これらをナノチューブ(1次元)と組み合わせて、多機能で魅惑的な3次元構造を創出します。グラフェンとナノチューブを人工的と科学的な反応で結合することによってこれの構造を実現し、グラフェンとナノチューブの界面の原子スケール性質を探究します。

もう一つの手法は、垂直方向に成長させたナノチューブMWNTアレイを使用し、酸化グラフェンナノリボン (GONRs)を作るために酸化unzippingまたは還元的な分裂を行います。われわれはカーボンナノチューブを使用した3次元構造が可能であることを実証しました。
(参考文献:J.M. Romo-Herrera, M. Terrones, et al. Nano Letters 7 (2007) 570-576)

斬新なカーボンナノ構造の化学蒸着

鉄によって機能させた酸化シリコン粒子上に成長された窒素添加カーボンナノチューブ 鉄によって機能させた酸化シリコン粒子上に成長された窒素添加カーボンナノチューブ

グラファイト状のナノリボンを大量に合成する斬新な化学蒸着(CVD)法がTerronesグループにより発表されている。
(参考文献:J. Campos-Delgado, M. Terrones, et al. Nano Lett. 8 (2008) 2773?2778)

この合成法では、不活性雰囲気の中でフェロセン、エタノール、微量なチオフェンを熱分解します。
(参考文献:“CVD Grown of Crystalline Graphene Nanoribbons”. US patent Application number: 12042544 (2008))

更に、窒素添加カーボンナノチューブ(nitrogen doped carbon nanotubes) (参考文献:Villalpando-Paez, F., Terrones, M. et al. Chemical Physics Letters 424, 2006, 345-352)の他に、少量のエタノールを使用して調製したカーボンナノチューブ( 参考文献:Botello-Gomez, A., Terrones, M. et al, Chem Phys Lett, 453, 2008, 55-61) が現在合成されていて、ナノ複合材への応用とその他の応用が研究中です。

研究者・研究チーム紹介