リウマチ・膠原病内科

診療科長ご挨拶

下島 恭弘

長野県唯一の大学病院における
リウマチ・膠原病の専門診療科として

リウマチ・膠原病内科 診療科長
下島 恭弘

膠原病は特定の臓器に限局した疾患ではなく、様々な臓器が障害される全身性疾患です。私たちの身体は「免疫」という「身体の防衛システム」によって、細菌やウイルスなどの感染源から守られています。しかし、そこに不具合が生じると、免疫システムは自分自身の身体を攻撃し、様々な不調の原因となります。このような疾患は自己免疫疾患と呼ばれています。膠原病は自己免疫疾患の特徴を有する疾患群の総称です。膠原病の中で最もよく知られているのが関節リウマチですが、関節リウマチ以外にも関節が障害される運動器疾患は「リウマチ性疾患」と称され多数存在します。膠原病に分類される疾患の多くは、この「リウマチ性疾患」の特徴を示します。また、身体の各器官を形成する組織が障害される「結合組織障害」の要素も特徴の1つです。私たちリウマチ・膠原病内科は、「リウマチ性疾患」、「結合組織障害」、および「自己免疫疾患」を包括的にとらえて診断・治療を行う専門医です。
 当科は、長野県唯一の医学部附属病院におけるリウマチ・膠原病の専門診療科として、県下全域から多くの患者さんを受け入れ診療に従事しています。具体的には関節リウマチのほか、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、ベーチェット病、全身性血管炎(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 など)、脊椎関節炎(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎 など)、成人スチル病、リウマチ性多発筋痛症、再発性多発軟骨炎 などが含まれます。また、自己炎症症候群の1つとして注目されている家族性地中海熱の診療にも力を入れています。
 近年、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、全身性血管炎をはじめとした膠原病の多くで診断・治療技術が進歩し、予後の改善が期待できるようになってきました。生物学的製剤や分子標的製剤の開発も進んでいることから、選択できる治療も増えてきました。当科でも速やかな診断と適切な治療の導入を目標に掲げ診療を行っています。一方で、未だ診断や治療方法が確立していない疾患も少なくはありません。また、膠原病の多くは、長期にわたって治療を継続していくことが必要です。私たちリウマチ・膠原病内科一同、研究教育機関として難治性膠原病の病態解明に貢献することは勿論、専門医として疾患の再発や合併症に最大の注意を払いながら、最善の医療が提供できるように日々心がけて参ります。

診療紹介

関節痛、筋痛、発熱、レイノー現象(手が白くなる)、皮膚の異常などでお困りの患者様の診療を行います。当科で治療を行う代表的な病気は以下の通りです。

  • 関節リウマチ
  • 悪性関節リウマチ
  • Felty症候群
  • 回帰性リウマチ
  • 成人スチル病
  • 血清反応陰性脊椎関節炎
    • 強直性脊椎炎
    • 乾癬性関節炎
    • 反応性関節炎
    • SAPHO症候群 など
  • リウマチ性多発筋痛症
  • RS3PE症候群
  • 再発性多発軟骨炎
  • 家族性地中海熱
  • 全身性エリテマトーデス
  • 全身性強皮症
  • 皮膚筋炎・多発性筋炎
  • 混合性結合組織病
  • シェーグレン症候群
  • ベーチェット病
  • 全身性血管炎
    • 高安動脈炎
    • 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
    • 結節性多発動脈炎
    • 顕微鏡的多発血管炎
    • 多発血管炎性肉芽腫症
    • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 など
  • 好酸球性筋膜炎

特徴的な医療または高度な医療

  • 関節リウマチおよび関連臓器障害に対する生物学的製剤および分子標的製剤による治療
  • 皮膚筋炎および多発性筋炎の早期診断と難治性病態に対する治療
  • 全身性血管炎に関連する神経障害の早期診断と治療
  • 難治性膠原病に対する免疫抑制薬併用療法
  • 家族性地中海熱の遺伝子診断と治療

自己免疫障害メカニズム解明への挑戦~最先端医療の提供を目指して~