教員紹介

もりやま しんや

護山 真也

哲学・思想論 准教授

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God/No-God, Omniscience and Realism/Anti-Realism報告

ハワイ大学へ

 2017年3月10-12日の3日間,ハワイ大学にて,Templeton International Workshop: God/No-God, Omniscience and Realism/Anti-Realismが開催され,参加・発表してきました。  はじめてのハワイ。ハワイと言えば,ワイキキのビーチでのんびりとバカンス,というイメージがありますが,今回は見事に滞在ホテルと大学との往復で毎日が過ぎていきました。私にとってハワイとは,透き通る青空と緑豊かなキャンパス,なぜだか鶏がそこかしこにいる空間で,比較哲学を語り合う素敵な場所です。

プログラム

<10日>

Sara McClintock, "Meditations on the Mountain Grass:Unknown yet Real, Real Therefore Known, Ultimately Unreal in Yogacara Buddhist Epistemology"

Andrew Nicholson, "Varieties of Omniscience and Omnipotence in Indian Yoga Tradition"

<11日>

Mark Siderits, "Buddhist Omniscience: Outrunning Mara"

Elisa Freschi, "God's Omniscience as the Guarantee for the World's Existence: Yāmuna, Rāmānuja, and Veṅkathanātha’s Perspectives on God and His Knowledge"

Kyo Kano, "Logical Construction of the Indian Proof of the Existence of God"

Alex Watson, "Can Jayanta Overcome the Charges that the Inference of God's Existence is Inconclusive, Unestablished and Contradictory?"

Parimal Patil, "Epistemic Omniscience/Metaphysical Humility versus Epistemic Humility/Metaphysical Omnisicence: Buddhists and Naiyāyikas on the Īśvarānumāna"

<12日>

Shinya Moriyama, "Prajñākaragupta on Omniscience, Time and Existenc"

Matthew Dasti, "God as Entailed by Nyaya's Realism and Conventionalism"

Yoichi Iwasaki & Mayumi Hibi, "What is New in Vallabha's Defense of the Bodiless World-Maker in Nyāyalīlāvatī"

Arindam Chakrabarti, "Paradoxes of Omniscience and Vacaspati as a Defender and Refuter of the Argument for the Existence of God"

ハワイ大学における比較哲学研究

チャクラバルティ先生が主催されたこのワークショップでは,ハーバード大学のパティル教授をはじめ,世界から著名な先生方が集まり,チャクラバルティ先生が師事した哲学者マイケル・ダメットが論じた「神と世界」(『思想と実在』所収)と関連づけながら,インド哲学における神の全知と実在論との関係,また,それに対抗する仏教徒の議論などが集中的に討議されました。

なにしろハワイ大学と言えば,知る人ぞ知る,比較哲学の中心地であり,ここから出版されているPhilosophy East and Westは,比較哲学研究における最も重要な雑誌です。ワークショップが行われた会場は,ここの哲学科の学生たちの資料室で,壁にはギリシア哲学から中国哲学,インド哲学まで,多方面の書籍が並べられていました。ここでの授業カリキュラムは,東西の哲学を均等に学ぶプログラムになっており,学生たちはウィトゲンシュタインを読みながら,同時に,孔子を読む,ということを日常的に行っています。インド哲学を勉強する際にも,当然のように,彼らは現代哲学の議論を参照しながら,研究しています。例えば,現在,ハワイ大学で博士論文を書いている学生は,無分別知覚について,知覚経験の概念性・非概念性をめぐる現代の議論と比較しながら研究を進めていると言っていました。

 

チャクラバルティ先生の想い出

チャクラバルティ先生は,マティラル亡きあと,比較哲学研究の第一人者と言うべき存在ですが,先生とは,東大の博士課程に在籍中に,最初にお会いしました。たしか,1997年前後だと思います。丸井先生が招聘し,はじめて日本に来られた先生は,私たちに分析哲学を使ってインド哲学を研究することの意義を語られました。その案内役として電車の乗換などを一緒にしているとき,ダメットの話をされていました。

それから月日が流れ,2007年1月にカルカッタのJadavpur大学でInternational Conference on Logic, Navya-Nyaya & Applicationsが開催されたとき,”Sense data and ākāra”と題した私の発表に対して,先生が廊下でコメントしてくだされたことも,思い出されます。そのときには,すでにチャクラバルティ先生の名前はインドでは有名でしたから,東京で案内したときとはまるで別人だなぁ,と感じてました。

そして今回,さらに10年の月日を経て,三度目の邂逅です。夏に手術をされたということで,体調が心配されましたが,ますます元気に,圧倒的な存在感で,このワークショップを運営されていました。現在の先生の関心である神の全知をめぐる問題は,私が博士論文で取り組んだテーマでもあり,不思議なご縁と言うしかありません。私自身も,最近,ますます比較哲学の世界(たぶん,その方法論から根本的に見直さなければならない)に魅かれていますので,今後も,先生とはつながりをもちたいと考えています。

現在,チャクラバルティ先生のところで勉強している岩崎くんと日比さんには滞在中,大変,お世話になりました。チャクラバルティ先生と二人に,心より感謝申し上げます。

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