教員紹介

護山 真也

もりやま しんや

護山 真也

哲学・芸術論 教授

研究分野 印度哲学・仏教学

現在の研究テーマ

インド仏教を代表する思想家ダルマキールティ(7 世紀)とその注釈者――特に未来原因説などの独創的理論で知られるプラジュニャーカラグプタ(8 世紀)――の著作を中心に,「ブッダが全知者であることを全知者ではない人間がいかにして証明できるのか」「(インドにおける)神の存在証明の問題点はどこにあるのか」「肉体が滅んだとしても死後にまで続く心の連続体を証明することは可能だろうか」「三世を見通すヨーガ行者にとって,過去・現在・未来の区別はどのように設定されるべきなのか」などの問題をめぐってこれらの学僧たちが展開した思索を読み解き,その哲学的意義を検証しています。彼らの思想は中国や日本の仏教(漢訳仏典)には伝えられていません。そのため,サンスクリット語やチベット語で書かれたテキストの校訂作業が必須の作業になります。
それ以外にも,東アジア世界に伝えられた仏教論理学(因明学)の展開,あるいは,西洋の諸思想における知覚論とインド哲学における知覚論の比較,そして道元の時間論なども研究しています。

研究から広がる未来と将来の進路

仏教思想を学ぶことで,信仰の対象としての仏教から離れたところに,仏教の本当の面白さがあることが分かるようになるでしょう。研究を進めていけば,仏教は,心をめぐる精緻な分析をはじめとして,言語学や論理学,認知科学など,周辺の領域と密接につながっていることが見えてきます。

主要学術研究業績

〔著書〕Omniscience and Religious Authority: A Study of Prajñākaragupta’s Pramān4 avārttikālan4kārabhās4 ya ad Pramān4 avārttika II 8-10 and 29-33. LIT Verlag, 2014;『シリーズ大乗仏教 9 認識論と論理学』(春秋社,2012)〔「第 7 章 全知者証明・輪廻の論証」を分担執筆〕
〔主要論文〕「仏教認識論とエナクティブ・アプローチ」『比較思想研究』第 43 号,2017;“Toward a Better Understanding of Ratnakīrti’s Ontology”, Sam4 bhās4ā, Vol. 32, 2015;「プラジュニャーカラグプタの〈知覚=存在〉説」『インド哲学仏教学研究』第 22 号,2015; “A Comparison between the Indian and Chinese Interpretations of the Antinomic Reason(Viruddhāvyabhicārin)”, Chen-kuo Lin & Michael Radich (eds.), A Distant Mirror, Hamburg University Press, 2014;“Ratnākaras ́ānti’s Theory of Cognitionwith False Mental Images (*alīkākāravāda) and the Neither-One-Nor-Many Argument”, Journal of Indian Philosophy 42,2014;“On the role of abhyupagama in Dharmakīrti’s scripturally based inference”, V. Eltchinger & H. Krasser (eds.),Scriptural authority, reason and action, Wien, 2013など。

所属学会と学会での活動

比較思想学会・理事
日本印度学仏教学会・評議員
仏教思想学会,東方学会・会員

経歴

1994 年,東京大学文学部(印度哲学専修)卒業,
1997 年,東京大学大学院人文社会系研究科(アジア文化研究専攻)修士課程修了(文学修士),
2001 年,東京大学大学院人文社会系研究科(アジア文化研究専攻)単位取得退学,
2005 年,ウィーン大学大学院文献学・文化学研究科
博士課程修了(Dr. Phil.)

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インド仏教認識論の大成者ダルマキールティとその後継者プラジュニャーカラグプタの著作をもとに、輪廻思想、全知者証明、時間論、知覚論などを研究しています。授業では「サンスクリット語」「比較哲学特論」「比較哲学演習」などを担当し、西洋思想と比較しながらインド思想・仏教思想の価値を見定めるために格闘しています。

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