第2部パネリストと質疑応答

12月9日(金)、上田市交流文化芸術センター(サントミューゼ)で、「ウェアラブルバイタルサイン測定システム開発プロジェクト」公開講演会を開催し、プロジェクトメンバーが、超高感度のセンサを衣服などに装着し、「いつでもどこでも」簡単に血圧や血糖値、心理ストレスなどのバイタルサインを測定できるシステムの開発に向けての研究の現状や課題を報告しました。

長野県内外の企業関係者や信州大関係者ら約80人が出席。冒頭、プロジェクトリーダーのIFES石澤広明教授があいさつを兼ねて講演し、2014年度から、文部科学省特別経費(国立大学機能強化分)を得て、プロジェクトがスタート、同経費の交付が2015年度も続き、2016年度は科研費基盤研究Aを得て研究を進めている経過を説明しました。石澤教授は「これまでに国際特許2件、国内特許2件を申請することができた」「社会実装をなるべく早く実現し、皆様に渡すという大目標で進んでいる」などと、述べました。

プロジェクトメンバーは、IFESの構成員だけでなく、幅広く構成されており、講演は▽東北大学流体科学研究所・太田信准教授▽IFES・児山祥平助教▽長野計器(上田市)FBG事業部・藤田圭一氏▽信州大繊維学系先進繊維感性工学科・細谷聡教授▽帝人フロンティア(大阪市)技術部・竹下皇二氏▽信州大医学部・藤本圭作教授―の順で行われました。

プロジェクトは、バイタルサインを検知するセンサに、特定の波長の光を反射するFBG(ファイバー・ブラッグ・グレーティング)を使用しているのが一大特徴。直径0.2㍉と極細で肌に接しても違和感が少ないことや、通常のひずみセンサの100倍という超高感度でひずみを検知できるといった特性に着目、導入されました。講演では、これまでに、脈拍数、呼吸数、血圧、心理ストレス、血糖値を測定できることが確認できたと報告されました。各講師からは、一つのセンサでこれらのバイタルサインを連続測定できるのを確認できたことが極めて大きな成果―との指摘がなされました。

講演会終了後のフロアとの討議では、実用化との絡みで企業関係者の質問が相次ぎ、関心の高さをうかがわせました。出席者へのアンケート調査では、95%から「参考になった」「大変参考になった」との回答を得ました。さらなる研究の深化に向け、非常に有意義な講演会となりました。


第1部講演 石澤教授

第1部講演 児山助教