メッセージ

中沢 洋三教授からのメッセージ

ご挨拶 中沢 洋三教授からのメッセージ

 信州大学医学部小児医学教室は、昭和20年に(1945年)松本市に設置され、以後70年以上にわたって、小児医学の教育・研究機関、小児科研修医・専門医の育成機関、そして長野県の小児医療の中核拠点としての役割を果たしてきました。日本で最も高く位置する附属病院の小児科病棟・新生児科病棟からは、北西に雪渓の北アルプスが、南に緑豊かな松本平が望めます。

 私たちは、医学部で学ぶ学生や附属病院で研鑚を積む研修医が国内トップレベルの小児医学、小児医療を学べるように熱意をもって教育に当たり、そして何よりも長野県で医療を受けることを希望される患者さんとご家族が安心して最適な医療を受けられるように、日々の診療、研究に邁進しています。

 私たちは、"長野県の子どもの医療は長野県内で完結させる"こと、つまり診断、治療、フォローアップまでの全過程を責任もって請け負うことを目標としています。そのため、小児科内に「免疫・アレルギー」、「神経・発達」、「血液・腫瘍」、「腎」、「循環器」、「内分泌・代謝」、「消化器」、「新生児」の8つの専門診療グループを設け、さらに院内の「こどものこころ診療部」、「遺伝子医療研究センター」、「成人診療科」とも連携して、あらゆる疾患や年齢の患者さんに対応できる体制を整えています。長野県内ですべての医療を完結させるためには、長野県全域の小児医療施設が1つのネットワークで繋がっていることも重要です。私たちの教室は、長野県立こども病院をはじめとする県内40以上の病院に120人を超える小児科医を派遣し、これらの病院から重症・難治・希少疾患をもつ患者さんを受け入れ、高度かつ先進的な医療を実践しています。また、退院後や通院中の患者さんが生活する地域でもベストサポートを受けられるように、かかりつけ医、自治体、学校とも協力して、患者さんとご家族が暮らしやすいコミュニティーの形成を目指しています。このように、長野県では信州大学を中心に高度医療、地域医療、福祉、教育が連携できる小児医療システムが確立されています。これは日本に誇れる医療システムであると自負しています。ですから、患者さんとご家族は安心して当科を受診してください。

 近年、飛躍的な進歩を遂げた科学技術は、医療においても遺伝子診断、再生医療、遺伝子治療、高度医療機器など様々な分野に取り入れられ、実用化されつつあります。私たちの教室では、これらの新しい医療技術を重症・難治・希少疾患の診療に積極的に取り入れ、次世代の医師が研修できる体制を整えています。さらに、未解決分野においては自らの手で革新的な診断法や治療法を開発すべく基礎・橋渡し研究に取り組んでいます。ですから、小児医療を志す医学生や研修医は大きな志を抱いて私たちのもとを訪ねてください。私たちと一緒に、子ども達により良い医療を提供すること、新しい医療を提供すること、そして希望ある未来を提供することを目指しましょう。

 皆さまお待ちしています。

小児医学教室 教授 中沢 洋三