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工学部蛍光灯中間処理場視察報告

2023年12月27日(水) [活動報告]


図1 蛍光灯処理施設の外観


図2 乾電池破砕機の外観


図3 破砕処理後の乾電池

概要

ISO14001の自主運用にあたり,処分委託品目の処分状況・マニュフェスト履行の確認のため,本年度は,蛍光灯の中間処理施設の視察を行った.

本学部の蛍光灯の処分にあたって,回収は直富商事株式会社,中間処理はJ&T環境株式会社にお願いをしている.
本年度はJ&T環境株式会社の視察を行った.

近年,蛍光灯に含まれる水銀の環境負荷の影響から,蛍光灯自体の生産は制限がされ,LEDへの置き換えが進んでいる.
しかし,大学の教室等のように,光源を多く必要とする施設では完全な置き換えは,費用の面からも難しく定期的に廃棄されている.

今回の視察先であるJ&T環境株式会社は,蛍光灯処分の取扱量が年間2,900tであり,業界で2番目の規模である.
蛍光灯処分量は最盛期,年間5,000tあったが,近年では6割弱まで落ち込み,蛍光灯からLEDへの置き換えの成果が出ていることがわかる.
この影響もあり本年度を以て,視察先では処分業務を取りやめるとのことであった.

以降では,視察先の状況について述べる.


視察内容

蛍光灯の処分場は,装置の秘匿性の観点から写真撮影が出来ていないため,外観のみ記載を行う.
蛍光灯は,ガラス管・口金・ガラス管内部に塗布された蛍光物質により構成されている.
そのため,口金の切断分離後に,ガラス管内に塗布された蛍光物質を圧縮空気により削り取り,蛍光物質から水銀を蒸留・分離することで処理を行うことが出来る.
また,口金は鉄・ブリキ・アルミニウム・プラスチックで構成されるため,磁力選別・磁界による遠心分離で選別することが可能である.
蛍光物質の取り除かれたガラスは破砕・洗浄後,ガラス断熱材へリサイクルを行っているとのことであった.
直管や丸管以外の蛍光灯は形状の複雑さから手作業での選別が行われていた.

また,回収した蛍光灯のリサイクル率は96%に達しており,残りの4%は運送中,または廃棄の際に破損した蛍光灯であり,リサイクル性は非常に高いと言える.


次に見学を行った施設は,ケミカル処分場の一部である蓄電池(バッテリー),乾電池の処分施設であった.
蓄電池は電解液(酸,またはアルカリ性)・金属板・プラスチック外装で構成されており,電解液の処理後,切断・分離により処理されていた.

また,同処理施設では乾電池の処分も行われていた.こちらは鉄外装の取り外し後,内部金属の破砕処理が行われ,外装・内部金属共に有価処理された後,再生利用されている.


しかし,学内の回収でも度々問題になるが,アルカリ電池中の回収物の中にも,Ni-Mn,Li,Liイオン,ボタン電池等が混入されており,これらは画像認識や磁力選別等での選別が難しいことから、現在も手選別によって選別が行われている様である.
廃棄を行う人間の意識により,これらの手間を削減することは可能であるため,弊学でも引き続き環境教育を行うことは非常に重要であると考えられる.

図3には.破砕処理後の乾電池を示す.手前に4つ並んでいるドラム缶はいずれも内装・外装に分別されたものであるが,奥に多くあるドラム缶はいずれも不分別により手作業で分けられた処分の出来ない他の電池類である.非常に多くの不分別があることが分かった.


最後に,本見学を通して,中間処理でも本学の排出時と同じ問題を抱えていることが分かった.
本学も環境教育を謳っているため,より一層,廃棄する際の分別等に意識を出来るようリサイクルセンターの運用に力を入れたいと感じた.