分子薬理学(臨床薬理学)

概要

私たちは主に基礎研究や調査・疫学研究に取り組んでいます。医療は日々進歩していますが、胎児や脳などの薬物動態や薬物応答機能については多くが未解明のままです。また、医療従事者なら誰もが知っている副作用や相互作用でも、原因や機序が不明のものが数多く存在します。私たちはそのような難問に取り組み解明していくことによって、質の高い医療・医薬品情報の提供と患者さんの生活の質の向上に寄与することを目指しています。

 

研究テーマ

1. ヒト胎児肝細胞を用いた薬物代謝と薬物応答機能に関する研究
薬物に対する胎児の感受性は実験動物とヒトとの間で差異が認められることが多く、この要因の1つとして胎児肝臓での薬物代謝酵素の種差が考えられています。また、ヒト胎児肝細胞の薬物感受性は、成人肝細胞と一部異なることを当研究室で明らかにしています。このことから、薬物のヒト胎児への影響を評価するには、ヒト胎児由来の組織や細胞などを用いる必要があります。そこで、私たちは、ヒト胎児肝細胞を用いて、薬物代謝酵素の生理機能や生体防御機能、また薬物応答性とその分子機構を明らかにすることを目的として研究を進めています。この成果は、妊娠中の薬物の安全性を評価する貴重な情報となります。

2. ヒト中枢神経細胞を用いた薬物脳内動態モデルの構築に関する研究
脳における薬物代謝は中枢作用薬の薬効に影響を及ぼし、薬物応答の個人差を引き起こす原因の1つとして考えられており、その分子機構を解明することはとても重要です。しかし、ヒト脳は入手がきわめて困難なことから、それに代わる有用な解析基盤を構築することが喫緊の課題となっています。そこで、私たちは、ヒト中枢神経系における薬物代謝酵素の機能を明らかにするとともに、ヒト神経細胞を用いた薬物脳内動態モデルを確立することを目的として研究を進めています。

3. 薬物間相互作用に関する研究
医薬品の中には、薬物間相互作用を引き起こすことが分かっていても機序が明らかにされていないものが数多く知られています。また、薬物間相互作用が引き金となって重篤な副作用を発現し死亡する例も知られています。したがって、薬物間相互作用の機序を明らかにすることは、医薬品をより適正に使用していくためにとても重要な課題です。私たちは、これまで知られている相互作用から最近問題となった相互作用まで幅広く情報を収集・解析し、機序解明のための研究に取り組んでいます。

スタッフ

教授

大森 栄

准教授

山折 大

学生数

博士課程学生数

10名

研究室の所在及び連絡先

教室の所在地:医学部基礎棟5階
連絡先:
e-mail(大森):somori(at)shinshu-u.ac.jp((at)は@に置き換えて下さい)
e-mail(山折):syamaori(at)shinshu-u.ac.jp((at)は@に置き換えて下さい)

主要な成果/Major Publications

  1. Yamaori S, Jiang R, Maeda C, Ogawa R, Okazaki H, Aramaki H, and Watanabe K. (2017) Expression levels of 39 Cyp mRNAs in the mouse brain and neuroblastoma cell lines, C-1300N18 and NB2a ? strong expression of Cyp1b1. Fundam Toxicol Sci 4: 195-200.
  2. Yamaori S, Takami K, Shiozawa A, Sakuyama K, Matsuzawa N, and Ohmori S. (2015) In vitro inhibition of CYP2C9-mediated warfarin 7-hydroxylation by iguratimod: possible mechanism of iguratimod-warfarin interaction. Biol Pharm Bull 38: 441-447.
  3. Watanabe K, Miyamoto M, Yamaori S, Hasegawa K, Watanabe K, and Suzuki O (2013) Human brain microsomes: their abilities to metabolize tetrahydrocannabinols and cannabinol. Forensic Toxicol 31: 307-311.
  4. Matsunaga T, Maruyama M, Matsubara T, Nagata K, Yamazoe Y, and Ohmori S. (2012) Mechanisms of CYP3A induction by glucocorticoids in human fetal liver cells. Drug Metab Pharmacokinet 27: 653-657.
  5. Takezawa T, Matsunaga T, Aikawa K, Nakamura K, and Ohmori S. (2012) Lower expression of HNF4α and PGC1α might impair rifampicin-mediated CYP3A4 induction under conditions where PXR is overexpressed in human fetal liver cells. Drug Metab Pharmacokinet 27: 430-438.
  6. Suzuki E, Matsunaga T, Aonuma A, Sakaki T, Nagata K, and Ohmori S. (2012) Effects of hypoxia-inducible factor-1α chemical stabilizer, CoCl2 and hypoxia on gene expression of CYP3As in human fetal liver cells. Drug Metab Pharmacokinet 27: 398-404.
  7. Yamaori S, Okamoto Y, Yamamoto I, and Watanabe K. (2011) Cannabidiol, a major phytocannabinoids, as a potent atypical inhibitor for CYP2D6. Drug Metab Dispos 39: 2049-2056.
  8. Watanabe K, Fujinami M, Yamaori S, and Yamamoto I. (2011) Possible involvement of Cyp3a enzymes in the metabolism of tetrahydrocannabinols in mouse brain microsomes. Forensic Toxicol 29: 56-60.
  9. Maruyama M, Matsunaga T, Harada E, and Ohmori S. (2007) Comparison of basal gene expression and induction of CYP3As in HepG2 and human fetal liver cells. Biol Pharm Bull 30: 2091-2097.
  10. Matsunaga T, Maruyama M, Harada E, Katsuyama Y, Sugihara N, Ise H, Negishi N, Ikeda U, and Ohmori S. (2004) Expression and induction of CYP3As in human fetal hepatocytes. Biochem Biophys Res Commun 318: 428-434.

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