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お知らせ

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外山 果歩さん(M1)・布施 遼平さん(M1)・若林 諒馬さん(M1)・水上 紗衣花さん(M2)が繊維学会優秀ポスター発表賞を受賞

2022.06.30


6月8日(水)~10日(金)にタワーホール船堀とオンラインでハイブリッド開催された2022年繊維学会年次大会において、大学院総合理工学研究科 繊維学専攻修士課程1年の外山 果歩さん (高坂 泰弘 研究室)、布施 遼平さん(大越 豊 研究室)、若林 諒馬さん(大越 豊 研究室)、同2年の水上 紗衣花さん(矢澤 健二郎 研究室)が繊維学会優秀ポスター発表賞を受賞しました。この賞は年次大会において優秀なポスター発表を行った者(年次大会開催年4月1日現在で博士号を持たない36歳未満の正会員および学生会員)に授与されます。94件の発表のうち8件が受賞しました。
受賞者一覧はこちらからご覧いただけます https://www.fiber.or.jp/jpn/awards/prizePoster.html


【外山 果歩さん】
受賞題目: 主鎖ー側基間の分子内エステル交換による高速分解が可能なビニルポリマーの合成


発表概要: 本研究では「製造が容易で、特定刺激により高速分解する」プラスチックの開発を目的に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルと環状ケテンアセタールのラジカル共重合で得られるポリマーの分解性を調査しました。合成した共重合体はフッ素アニオンに応答して側基-主鎖間でエステル交換反応を起こし、高速分解しました。また、高速分解は効果的に官能基を配置する必要があり、モノマー設計が鍵となることがわかりました。この成果は、剥離可能な接着剤や塗料の開発に繋がると期待されます。

外山さんのコメント:  この度は、繊維学会年次大会において優秀ポスター発表賞という栄誉ある賞をいただき大変嬉しく思います。日々ご指導頂いている高坂先生をはじめ、いつも研究のアドバイスをくれる研究室の皆様に深く感謝いたします。私自身、初めてのポスター発表で緊張しましたが、聴講してくださった皆様のご意見が聞けて大変勉強になり、貴重な経験ができました。私は、特定の刺激で高速分解するビニルポリマーの合成・分解について研究しています。今回の受賞を励みに今後もより一層精進していきたいと思います。

※本研究に関するお問い合わせは高坂 泰弘 准教授
(kohsaka@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します



【布施 遼平さん】

受賞題目: 合成繊維の引張変形時のUSAXS観察

発表概要: 本研究ではポリエステル繊維の100-500 nmスケールでのフィブリル状階層構造の観察と引張変形時の応答を超小角X線散乱によって調査しました。得られた散乱像では新たに子午線に弱く配向した散乱成分および赤道から10°程傾いたストリークが観察されました。前者は引張初期ではあまり変形しない一方、後者は明瞭に赤道に傾きました。これらの結果は、これまでに明らかにされたミクロフィブリルを結ぶタイ分子の中でも、ミクロフィブリルがある程度の束を成して、ずれ合った際に応力が集中するタイ分子が繊維の破断の起点となり得ることを意味しており、より明確に繊維の弱点が絞られたことを示唆しています。

布施さんのコメント: この度は、繊維学会年次大会において優秀ポスター発表賞をいただき、心より光栄に思います。これは大越豊先生を初め、私を支えてくれた研究室の皆さま、この研究に関わる全ての方々のお陰です。本研究では、繊維強度発現機構の解明に関する研究の一環として、X線を用いて繊維の引張変形初期の内部構造変化を観察しました。私の研究結果が繊維産業分野で繊維の高強度化はもちろん、今後の研究の発展次第では繊維のリサイクルや廃棄時の環境負荷低減にも繋がればと考えております。

※本研究に関するお問い合わせは大越 豊 教授
(yokoshi@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します



【若林 諒馬さん】
受賞題目: 溶融紡糸によって作製したWater harvesting用繊維の集水性評価

発表概要: 灌漑対策として大気中の霧を集めるWater harvesting技術があります。私は砂漠の甲虫に見られる灌漑でも水分を確保できる親-疎水性で構成される高い水滴捕集機能を生体模倣することで、集水効率の良い繊維材料の開発に取り組みました。今回は疎水性のポリプロピレン繊維表面に親水性添加物を分布させた繊維を溶融ブレンド紡糸によって作製し、集水性能に及ぼす親水性添加物の影響を調査しました。この結果、親水性添加物の親水基の量が多いほど、また繊維表面での添加物の分布が不連続であるほど、液滴のサイズが大きくなることを見出しました。今後は形成させた大きな液滴を効率的にサンプリングできるよう、これからも開発を進めたいと考えています。

若林さんのコメント:  この度は優秀ポスター発表賞という栄誉ある賞を頂戴し、とても光栄に思います。これは私個人の力に加え、ご指導頂いている先生、ご協力いただいている共同研究者の皆様、更には私を支えてくれた研究室方たちのお陰だと思います。昨年この研究を立ち上げ、サンプル作りから評価手法の確立まで夢中にやって参りました。まだまだ実用化への課題が多く残っています。今回の受賞を糧とし、Water harvesting技術の実用化に少しでも繋がるよう、今後も研究活動に真摯に励んでいきたいと思います。

※本研究に関するお問い合わせは大越 豊 教授
(yokoshi@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します



【水上 紗衣花さん】
受賞題目: 未利用資源のサケ白子由来DNAとカチオン性脂質との複合体を用いた不織布の特性評価

発表概要: サケの白子は、他の魚の白子と比較して、食用とされる機会は少なく、大部分は廃棄されます。サケ白子は、遺伝物質であるDNAを豊富に含んでいて、リン酸基を有するアニオン性高分子です。そこで、本研究では未利用資源であるサケ白子を繊維として利活用できないかと考えました。DNA単体では溶媒への溶解性が小さいため、カチオン性脂質とのイオンコンプレックスを作製した結果、溶媒へ可溶化できました。電界紡糸法によって、不織布を作製することに成功し、得られた不織布は、繊維径や繊維密度の制御が可能で、通気性・保湿性に優れたフィルターやマスクなどの衛生用品、自動車部品への応用が期待されます。

水上さんのコメント: この度は繊維学会年次大会にて優秀ポスター発表賞に選定いただき、大変光栄に存じます。今回の受賞は私個人の力ではなく、多大なるご指導を賜った矢澤先生をはじめとした研究室の皆様のお陰であり、心より感謝しております。本研究では電界紡糸法によって、サケの白子由来DNAを用いた不織布の作製に挑戦しています。現在は廃棄されているような未利用生物資源の有効活用という点で、SDGsにも繋がると考えております。今後は不織布の材料としての特性調査を進め、新たな環境低負荷材料の創造に貢献できるよう精進していく所存です。

※本研究に関するお問い合わせは矢澤 健二郎 助教
(kenjiro_yazawa@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します

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