診療案内

消化器

診療内容

消化器

 消化器グループは平成17年4月に開設された小児科の中では最も新しい診療グループです。開設以来、消化器内視鏡検査による小児の食道、胃、腸の病気の診断と治療を中心に取り組んできました。近年は栄養・肝臓疾患の診療にも力をいれています。全国的にも小児消化器病を専門とする小児科医は少なく、長野県内のみならず県外からも多くの患者さんが受診されています。
 腹痛、下痢、便秘といった症状は、発熱や咳などと並んで子どもさんに良くある症状です。一方で症状の原因となる病気は多岐にわたり、時には診断の遅れが患者さんの成長や健康に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
 小児の消化器疾患には、クローン病や潰瘍性大腸炎など疾患特異的な治療を必要とする重篤な疾患から、様々な検査によっても症状の原因となる器質的疾患が見つからない機能性疾患(腹痛、便秘)まで、幅広い病気や病態があります。我々はいずれも重要な小児期の消化器疾患と捉え、専門性の高い診療の提供を心がけています。
 また、患者さんのシームレスかつ円滑な成人期医療へのトランジションをみすえて、消化器内科医・栄養士・看護師と共に、多職種による小児IBD移行期支援の会を毎年開催しています。
 

<子どもの腹痛、内視鏡検査でわかる病気>
 反復性腹痛の子どもさんに内視鏡検査を行うと、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による慢性胃炎、胃食道逆流症、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、腸管ベーチェット病)、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎などの病気が見つかることがあります。
 腹痛以外にも、嘔吐、下痢、血便、貧血、身長や体重の伸びが悪いといった症状も内視鏡検査の適応になる可能性があります。
 内視鏡検査は、基本的に麻酔をかけて行います。9割の方が点滴からの静脈鎮静、1割の方が全身麻酔です。ご希望があれば、麻酔なしで行うことも可能です。
 検査の前には、検査で何がわかるのか、検査や鎮静(眠って検査をする)の方法、検査に伴い起こりうる偶発症などについて説明いたします。小児の内視鏡検査といっても、赤ちゃんから思春期の子どもさんまで、体格も異なりますし、検査に対する不安の感じ方も様々です。子どもさんと保護者の皆様の不安や緊張に十分配慮しながら、検査をすすめていきます。
 
   
<ヘリコバクター・ピロリ菌感染と子どもの病気>
 現在わが国では、胃癌の撲滅のためヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)の感染診断が成人の検診などで積極的に行われ、内視鏡検査で慢性胃炎が確認されると除菌治療によってピロリ菌を退治することができます。
 ピロリ菌は主に5歳以下の小児期に家族内で親から子に感染します。ピロリ菌に感染していても多くのの子どもさんは無症状のままピロリ菌感染に気づかずに過ごされますが、一部の小児患者さんでは腹痛や鉄欠乏性貧血などの症状を呈します。ピロリ菌を除菌することで、症状の改善と胃・十二指腸潰瘍や慢性胃炎の治癒が期待されます。
 当科では、ピロリ菌の感染検査として尿素呼気試験、便中抗原検査、血液や尿の抗体検査、内視鏡検査を行うことができます。また、除菌治療が必要な患者さんでは、年齢、体重、抗菌薬の感受性を考慮した除菌薬の調整を行っています。また、学校や市民公開講座などで、ピロリ菌と関連する子どもの病気について正しく理解していただけるよう、一般市民の皆様にも啓蒙活動を行っています。


<診療の対象疾患>
・逆流性食道炎
・食道/胃静脈瘤
・ヘリコバクター、ピロリ感染胃炎
・胃/十二指腸潰瘍
・好酸球性食道炎
・好酸球性胃腸炎
・クローン病
・潰瘍性大腸炎
・腸管ベーチェット病
・消化管ポリープ
・消化管ポリポーシス(ポイツ・ジェガース症候群、家族性大腸腺腫症、若年性ポリポーシス症候群)
・新生児乳児食物蛋白誘発胃腸症
・便秘症
・機能性消化管疾患(過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなど)
・B型肝炎
・C型肝炎
・自己免疫性肝炎
・脂肪肝、脂肪性肝炎
・急性膵炎、慢性膵炎
・全身疾患に伴う消化管病変、肝病変


<研修医募集>
小児消化器疾患の診療に必要な知識と医療手技(腹部超音波、内視鏡検査など)の習得ができます。

スタッフ紹介

中山 佳子
加藤 沢子
倉沢 伸吾
佐渡 智光
鵜飼 聡士