教員紹介

もりやま しんや

護山 真也

哲学・芸術論 教授

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第16回 国際サンスクリット学会に参加して(2)

学会3日目

 Philosophyのセクションのラインナップは仏教論理学、しかもプラジュニャーカラグプタ関係の研究が並びました。  そのため、最初の発表者・岩崎くんは後に続くプラジュニャーカラグプタ研究者を気遣い、発表に関係のない「プラジュニャーカラグプタ」の名前に何度も言及してくれました。  マッカリスター氏とケルナー氏のハイデルベルク組は、それぞれ、プラジュニャーカラグプタとダルマキールティの立場から、二種の認識手段の関係、そしてダルマキールティがチャールヴァーカ(唯物論者)の見解(知覚のみが認識手段である)を否定する議論の構成を検討。  小林氏は、プラジュニャーカラグプタによるクマーリラの唯識批判に対する再反論の際に登場する「拒斥知」という概念の分析、私は去年のダルシャナ科研での発表をベースに種々の改訂を加えた「知覚=存在」説の発表。  最後に、ブロンコホルスト先生は「一音説法」にも通じるマハーヴィーラの説法のことについて論じていました。相互に関連するテーマだったので、またの機会に議論を継続させたいものです。

発表リスト

Yoichi Iwasaki: Definition of Vedas: Some Navya-Nyāya inquiries Patrick Mcallister: Prajñākaragupta on the relation of inference and perception Birgit Kellner: Systems of epistemology: Dharmakīrti’s defense of the two pramāṇas in the Pramāṇaviniścaya Hisayasu Kobayashi: Prajñākaragupta on bādhakapratyaya Shinya Moriyama: Prajñākaragupta’s sattopalambhavāda: An inquiry into an Indian version of “esse is percipi” Johannes Bronkhorst: Divyadhvani between Jaina, Buddhist and Brahmanical epistemology

その後のことなど

 午後は、Elisa FreschiとMarcus Schmuckerが企画したOne God, One Śāstraのパネルを聴講するつもりでしたが、Selton氏とラトナーカラシャーンティの議論をしたり、Preisendanz先生と11月に予定しているWorkshopの打合せをしたりで、部分的にしか聴講はできませんでした。  夜は広島大学の小川先生等とともに最後の晩餐。  最終日の早朝に黄金の涅槃仏のあるワット・ポーを見学、また、チャオプラヤー川の対岸にあるワット・アルン(暁の寺)の補修中の搭を眺め、その至るところで黄色の衣をまとった僧侶たちに出会い、ここが仏教の国であることをあらためて確認した次第です。  国際サンスクリット学会、次回開催はカナダのバンクーバー。その日まで、また研鑽を積んでおかねばいけませんね。

ワット・アルン(暁の寺)補修中

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