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いとう つくす

伊藤 尽

英米言語文化 教授

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中世英語文献購読 学会

第31回日本中世英語英文学会と井筒俊彦&西脇順三郎

松田隆美慶應義塾大学教授の会長講演と慶應義塾大学文学部の創設125周年記念展示会

第31回日本中世英語英文学会全国大会が、東京港区の慶應義塾大学三田キャンパスで12月5日(土)、6日(日)に行われます。 今年もポスターセッションが行われ、土曜日は12時〜13時、日曜日は9時〜10時に第一校舎1階104教室にて展示されます。 昨年度は、信州大学大学院生の川村朋子さんがポスター発表を行いましたが、今年度は修士論文執筆に忙しいようです。 総会では、私が学会誌の編集委員長として委員会報告を行いますが、 その後、13時45分から行われる会長講演は慶應義塾大学教授松田隆美先生による 「暦、巡礼、corpus mysticum」 という演題の会長講演が予定されています。 同時に慶應義塾大学文学部125年記念行事として哲学者井筒俊彦&中世英文学者で象徴派詩人西脇順三郎に関連する展覧会も開かれます。 慶應義塾大学図書館が所蔵する、人類の宝というべきグーテンベルク刊行42行聖書なども展示される予定です(12月9日〜12日)。 図書館展示も学会会員以外の一般の観覧もできるため、信州からも、この時期に東京に行く学生諸君がいれば、是非御覧になって貰いたいです。 また、井筒俊彦先生は、信州大学人文学部の哲学/思想分野とも縁深く、学生諸君には是非、東京旅行に足を伸ばして欲しいところです。

研究発表について

日本中世英語英文学会には、東支部と西支部の研究発表会や例会が年一回開かれており 若い研究者の登竜門として機能しています。 一方、全国大会では、レベルの高い研究発表が行われています。 現在、人文学部・文学部への文部科学省からの風当たりは強いと言われますが、 どのような時代であっても、日本における中世英語英文学研究がこれほど盛んであることは 国際社会にもアピールできる素晴らしい教育・研究・文化事業であると言えるでしょう。 初日は以下のとおり 1.The Romaunt of the Rose-Aにおける動詞ginneの用法について 岩國智子(広島大学大学院) 2.Late OEに見る古英語同士の形態的統合 小倉美知子(東京女子大学) 3.ラヤモンの『ブルート』における同格表現:肩書と人名の語順の変遷  新川清治(白鷗大学) 4.古英語・中英語における使役・勧誘表現 海田晧介 (千葉大学大学院特別研究員) 5.12世紀写本『ケンブリッジ大学図書館蔵古英語版旧約聖書(七書)』におけるVS語順からSV語順への変化について:11世紀の他の写本と比較して」 小林茂之 (聖学院大学) 6.存在分のthereの文法化について 藤原保明 (聖徳大学) 7.The Wife of Bath's Prologue における中世後期の女性とリテラシーの表象 濱田里美 (立教大学大学院) 8.「弁護士の話」の語りにおけるローマとイングランド 杉山ゆき (慶應義塾大学大学院) 9.チョーサーの巡礼の一側面:『ボエース』との繋がりから 本田崇洋(福島工業高等専門学校) 二日目 10.海の向こうのもう一人の女:South English Legendaries「聖ミルドレッド伝」に見るミソジニーとゼノフォビア 菅野磨美(PhD Candidate KCL) 11.Lives of Saints におけるÆlfricのヴァイキングに対する態度:English Saintsの説話を中心に 和田忍(首都大学東京非常勤講師) 12.OE gifの「改宗」:ゲルマン人の「おもてなし」から神の恵みへ 織田哲司(東京理科大学) 13.Ancrene Wisse以前のconscience 概念:Catholic Homilies I, II, Blickling Homilies におけるvernacular-noun 井野崎千代子(大阪産業大学非常勤講師) 14.14・15世紀における貿易と商業の英語語彙について 石小軍(対外経済貿易大学) 15.Metonymy or Meronymy? 同意語的でないワードペアについての再考察 青木繁博(新潟青陵大学短期大学部) 16.Pearlにおける宝石商の天国への軌跡:凡庸な生にこそある希望 渡辺直子(関東学院大学非常勤講師) 17.中世ロマンスにおけるエクフラシス:読まれる女性、絵画化される声 小川真理(明治大学非常勤講師) 18.Eugène VinaverのOxford時代:The Works of Sir Thomas Malory (1947)出版への道 高宮利行(慶應義塾大学名誉教授) 2日間の学会で、全部で18編に及ぶ研究発表があることは、日本の今の環境を考えると、素晴らしい実績です。 これからも、毎年、このような盛況な大会になることを期待しています。

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