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いとう つくす

伊藤 尽

英米言語文化 教授

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イギリス英語のすすめ

AERA with Englishの今月号の特集は「イギリス英語で差をつける!」です。表紙には、リーズ生まれのジャズシンガーCorinne Bailey Raeをフィーチャーして特集に合わせています。


思い起こせば、僕がイギリス英語に目覚めたのは大学1年の秋。入院していて読書もできなかった時期、せめて音楽で知的刺激を受けていた間、自分の好きな楽曲がPetshop BoysやKate Bushをはじめとするイギリス人アーティストによるものだと自覚した時に遡る。いや、そもそも自分の音楽ルーツのBeatlesもLed ZeppelinもRolling Stonesも、み〜んなイギリス人じゃないか♪というわけです。
その英語の発音や表現の微妙なニュアンスが、アメリカ英語とは異なるということ、また一言でBritishといっても、スコットランドもあれば、アイルランド英語と呼ばれるものもあることを知り、そこから、中学以来のアメリカ一辺倒の英語学習を改めようと思ったのがきっかけでした。

大学2年に後のゼミナールの指導教授に出会い、そのケンブリッジ・アクセントのカッコ良さにも影響を受けました。後に、自分としてはオクスフォード英語に浴することが多くなったのではありますが・・・。
信大英語学ゼミも、僕の前任者はバリバリのカンタブリジアン(Cambridge出身=Cambridge好き)であり、その意味では是非イギリス英語研究をこれからも学ぶ学生が増えて欲しいという気持ちです。

文豪夏目漱石は英文学研究者であったことは有名な事実ですが、憂鬱症に悩まされながらも、倫敦に留学中に彼が語学的な障壁はほとんど感じたようには見られません。明治時代の英語教育の質の高さを伺わせるものですが、教養の高かった日本人学習者に行われた英語教育は、もちろんイギリス英語だったわけです。
興味深いことに、日本の大学における英語研究者には、イギリス英語を学ぶ方が非常に多い。ところが、中高での英語教育は、いまだにアメリカ一辺倒の英語学習が中心です。最近になって、《多様な》英語の一つとしてイギリスやオーストラリアの英語を取りいれているようですが、それも結局アメリカ英語が中心となっての視点であって、英語の歴史からいっても、現実に世界中で用いられている事実とも相反しています。日本のテレビ局の多くはアメリカCNNのニュースを流すことが多いのですが、世界中のネットワークを利用しながら24時間世界の注目する事件や事象を放送するBBC Worldは、日本で視られることが少ないということは、日本が世界基準からずれていることを象徴的に表すようにすら思えてしまいます。


英語学ゼミの諸君は春休みのうちにこのAERA with Englishを読んで、イギリス英語に興味を持って欲しいな。この特集の中にも謳われているとおり、世界で広く使われているのはイギリス英語(p12)なのですから。

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