News

お知らせ

2021/04/02

2020年度 地域ブランド実践ゼミ最終報告会

2020年度地域ブランド実践ゼミの最終報告会が2021年2月19日に開催されました。

本ゼミは、長野県塩尻市と信

州大学の連携協定(※1)に基づき、塩尻市共同研究の一環で開講されている授業です。

c7240a7a06690b3398cb09c67b76b0166_4620693218524276986_210320.jpg

 2015年度からスタートした本ゼミは、信州大学全学横断特別教育プログラム「ローカル・イノベーター養成コース(以下、LIDコースと記載)」のスタートアップ科目にも設定されており、2つの特色があります。ひとつは、リアルプロブレムに対峙すること。教室を飛び出して実際に市民にヒアリングを行い、塩尻市が抱えている課題を理解します。それを基に、最終発表では市民に対して解決策を提案します。つまり、提案には説得力と、創造性、実現可能性が求められます。この緊張感や責任感、現実感が学生に成長の機会を与えます。

 もう一つは、関わる社会人が多様であること。大学において通常得られる学びは学術的な側面が大きいですが、本ゼミでは産学官それぞれのプロフェッショナルが講師陣となり、多角的な視点で学生に向き合います。さらに、地域でアクションを起こしている社会人を相手にヒアリングを行います。多様な主体との出会いと議論から、地域、さらには自分自身を見つめ直す場が形成されるのです。

 一年生の段階でこのゼミに参加した学生は、その後の大学生活や社会との関わり方が大きく変わります。

DSCN3670.jpeg

 6年目を迎えた今年度は、13人の学生が塩尻市の食資源のブランド化を目標に、レタス、ぶどう(ワイン)、山賊焼きの3つのチームで半年間活動しました。新型コロナウイルス感染拡大の最中、近隣地域在住の大学生や高校生に向けたブランド化戦略を練っていくなかで、「対面でヒアリングをしたい・アクションを起こしたい」という気持ちのやり場に悩むような場面も見受けられました。しかし、否が応でも変化し続ける社会にマッチした仕掛け・仕組みづくりに取り組み、全チームが具体的なアクションを提案することができました。

例えばワインチームでは、客足が遠のく松本市の居酒屋において、塩尻ワインへの認知や興味が湧く掲示板やメニュー表の作成・掲示を行い、その活動はワインの売上向上に寄与しました。現在、居酒屋で起こっている「客数減少」という変化は、ある一方から見れば売上低下などマイナス面が目立ちます。けれども視点を変えてみると、少人数の来店客が増え、じっくりとお酒を楽しみたいという需要が増えてきているようにも見えます。そこでおいしいワインを味わってもらうことで客単価が上昇する可能性も考えられます。

 視点や視座といった「見方」によって、変化は敵にも味方にもなりうる。塩尻市と聞いて全く同じイメージを抱く人は1人として存在しないように、本ゼミで扱ってきたメインテーマである地域ブランドも、受け手の見方によって印象は異なります。塩尻の食資源の特色を生かしたブランド形成のために必要な目線や、それをもたらす仕掛けのヒントを学生たちは残してくれました。

IMG_1872.jpeg

 最後に、本ゼミの受講を検討している学生に向けて、LIDコーススタートアップ科目という視点で少し書き連ねます。私自身、本ゼミ及びLIDコースを履修しています。どちらにおいても、実際に地域の1人のメンバーとして、課題解決に挑戦します。地域には一つの正解があるわけではなく、そのときの最適解を見つけ続けなければなりません。それには、調査、仮説立て、検証、というようなアクションの繰り返しが必要です。結果として、もがき続けた先にしか答えはない、そんな困難な状況に立ち向かうことを楽しめる人材が集まっていると思っています。この環境の中で、自分で深く考え、チャレンジし続ける仲間(受講生・講師陣両方)と出会い、一緒に活動する機会があることが最大の特徴であり、私自身にとっての宝です。

地域ブランド実践ゼミメンター

(信州大学 経法学部3年 / ローカル・イノベーター養成コース2期生)

  浅川雄介



(※1)塩尻市との連携に関する協定の調印について(信州大学)

https://www.shinshu-u.ac.jp/social/activities/cooperation/shioziri/