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SUWA小型ロケットプロジェクト(SRP)が、改良6号機と7号機の2機の打上げ実験に成功! ~大学生、高校生の技術も推力に~

宇宙システム部門 SUWAロケット 人材育成

諏訪圏市町村の諏訪圏社会人が研究開発したハイブリッドエンジンを搭載した2機の小型ロケットの打上げ実験が、晴天に恵まれた諏訪湖で、2023年3月19日(日)行われ、打上げに成功しました。諏訪湖での打上げは3回目です。過去2回は岡谷市の岡谷湖畔公園沖の湖上に設営した台船から打上げましたが、今回は、対岸諏訪市の、諏訪湖ヨットハーバーグランドから打上げました。

2022年3月に打上げたSRP006-01Aの改良6号機SRP006-01Bと、7号機SRP007-01Aの2機ともシミュレーションとほぼ同じ高度に達し、パラシュートを開いて着水しました。
改良6号機は、全長2,055mm、機体直径102mm。7号機は、全長1,825mm、機体直径153mmです。

まず、10時に打上げられた7号機SRP007-01Aには、新たに開発された要素技術(エンジンの高出力、分離機構)が搭載されています。エンジン高出力化の新技術の一つは「バルブシステム」で、バルブの開閉により、機体横から、固体燃料の燃焼を促す亜酸化窒素を供給することによってエンジンの高出力化が期待される新技術です。また、エンジンの内径を筒状から星状に加工することにより内径表面積を増やし、約1.5倍の推進力向上につなげました。発射から約6秒後に高度178mに到達。発射から16秒後、発射台から西に約200m、北に約200m進んだ地点に着水し回収されました。バルブシステムも分離機構も正常に作動したことが確認されました。このロケットの機体には、諏訪圏の小学校の児童や、中学・高校の生徒が描いたイラストがプリントされています。

続いて、12時に打上げられた改良6号機SRP006-01Bは、6号機SRP006-01Aをベースに、7号機と同じく、エンジンの内径を星状に加工し、約1.5倍の推進力向上につなげました。固体燃料の材料は100%ペットボトルの蓋を原料とした環境にやさしい再生材料に切替え、SDGsに配慮したエンジンを目指しました。さらに、人工衛星の役割を担うペイロード(缶サット)は岡谷工業高校2年の奥大地さんと正木陽太さんが開発、360度撮影できるカメラや気温・湿度・高度等を測定するセンサーを搭載し、打上げから着水までの速報値を無料通信アプリ「ライン」で発信しました。
発射から約8~9秒後に高度309.3mに到達。予定した地点でノーズコーンと本体に分離し、発射から24~25秒後に、発射台から西に271m、北に353m進んだ諏訪湖沖に着水、機体とペイロードはほぼ破損することなく回収されました。このロケットの作製と組立ては、信州大学ロケットクラブと南信工科短期大学校の学生が担当し、機体のイラストの作成は、諏訪圏青年会議所が担当しました。

SRPは、諏訪圏のものづくりを支える人材育成を目的に、諏訪地域の市町村と信州大学などが2015年から取り組んできた「諏訪圏6市町村によるSUWAブランド創造事業」、「モノづくり集積地SUWAのヒトづくりプロジェクト」としての最後の打上げ実験となりました。
 今後、新しい体制のもとで、小型ロケット製作を通じた「提案型技術者の育成」に取り組んでまいります。地域や関係の皆様には、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

「長野日報」2023年3月20日号より