令和7(2025)年度支援
研修先:ドイツ 実施部局:農学部 研修期間:2025年9月15日~9月21日 7(日間) 参加者数:5(人)
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ドイツ・ロッテンブルク林業実習
2025年9月15日から21日までの7日間、ドイツ連邦共和国のロッテンブルク、フライブルクの2都市近郊において森林・林業研修を実施しました。本プログラムは主に森林施業、森林生態系管理、森林教育、再生可能エネルギーの観点から実施された。以下に実施したプログラムの内容とその成果を示します。
研修のはじめに、林冠ウォークタワーを有する森林公園(Bad Widbad)を訪問し、林冠遊歩道や、常緑針葉樹林の林冠に達する地上40mの木製タワーから、針葉樹林の種組成や更新様式を上から見ることで、まずドイツに成立する森林の全体像を把握することができました。次に,Rottenburg林業大学において、ドイツ林業の実態やそれに対する研究の概要についての講義を受講しました。また大学の演習林において異なる地質(ボドゾル、レス)と森林生育状況の関係について学びました。
シュヴルツヴァルト地方のNordrachの製材会社Echtleでは、製材加工や廃材を用いた熱利用、火力発電の最新技術を学びました。またシュバルツバルトに隣接するRosenfeldの林業施業会社Günter Rauchでは、林業機械、ウッドチップ製造、薪製造、廃材を用いた熱生産プラントを見学し、最新の森林施業技術、廃材の熱エネルギーの有効利用と地域への供給システムを学びました。
Freiburg市が運営するWaldHaus(森林学習館)において、市民への森林環境啓発活動について学び、 Freiburg市有林において、ダグラスファーを導入した林分を見学しました。ダグラスファーは外来樹種ですが、今後の気候変動に対応できる樹種として期待されており、天然更新の事例等について学びました。
日本は明治期にドイツから林業制度を導入して以降、ドイツ林業に学んできました。現在でも、進歩したドイツ林業について学ぶべき点が多いと感じました。特に、都市と森林との物理的距離が短く、一般市民の森林や林業に対する理解度が高いことや、その裏付けとなる行政からの啓発活動は参考にすべきです。一方で、地形の急峻さによるコスト、木材需要、廃材を利用したエネルギー需要等の側面からの林業の採算性の違い、気候や樹種数の違いの側面から針広混交林化の難易度の違い、森林の斜面安定化機能に対する期待度の違い等、両国の違いが浮き彫りになったことも、日本の森林を考えるうえで重要な示唆を与ました。学生たちは、実習期間中を通して多く質問し、深く学んでいました。また、他国の林業の実態を学ぶことによって、日本の林業における優れた点や課題が浮き彫りとなり、国内での学習だけでは得られない貴重な糧となったようです。
【学生の声①】
私は海外の森林やその管理の実態を見て、今後の研究や進路に生かしたいと思い今回の実習に参加しました。道中では、様々なハプニングがあり何度も肝を冷やす場面がありましたが帰国した今ではどれも良い経験となったと感じています。渡航前は英語での意思疎通にとても不安がありました。しかし、実際に行ってみると表情やジェスチャーで伝わることも多く、言語以上に大切なものがあると感じました。今回の実習を通して海外で生活することで自分自身をより成長させることができそうだと思うようになりました。また、ドイツは市民が気軽に森林を散策できるなど森林が共有財産であるという意識が浸透していました。日本の社会と森林との距離感が大きいことに気づくことができ、社会と自然とのかかわり方を改めて考えるきっかけになりました。海外で学習することはその土地について学ぶだけでなく、日本の状況を客観的に整理する良い機会になると分かりました。とても実りの多い実習となり参加して良かったと感じています。
【学生の声②】
私は大学で森林計画学を専攻していることもあり、ドイツの林業を学ぶことで日本の林業の課題を解決する手がかりがないのかを意識しながら1週間の実習を過ごしました。現地に行って日本とは全く異なる環境で林業をしていました。例えば、日本では限られた場所でしか実現されないとされている天然更新の択伐施業や、キャタピラではなくホイールの林業機械を用いて作業効率を高めているなどがみられました。そのため、日本で実施できる政策は少ないかもしれないと思いました。しかし、ドイツも日本と同様に生物多様性の保全と林業の両立という課題があり、それに対する解決策は確立されていないことがわかりました。私は初めての海外だったのですが、たくさんの方々からのサポートもあり安全に全日程を終了することが出来ました。異なる環境で2週間ほど過ごしたおかげで、今ある環境に感謝しようと思いました。
