令和6(2024)年度支援
研修先:フランス 実施部局:全学教育センター 研修期間:2025年2月24日~3月4日 9(日間) 参加者数:10 (人)
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フランス、リール大学語学・文化研修
本プログラムは、信州大学の提携校であるリール大学の協力のもと、実施されています。フランスでの現地活動に加え、事前・事後学習・学生間交流もセットになっているのが特徴です。参加者が確定してから、月に1~2回のペースで事前学習会を開き、フランス語やフランドル地方の歴史について学びました。また、リール大学のManagement et Commerce internationalの修士課程の学生さんたちと連絡をとり、メールやZoomでオンライン交流を行いました。「新年祝動画」を作成して送りあうなどの活動を行いました。動画内では、書初めやお節料理、初詣などの文化をフランス語で紹介しています。
2025年2月23日の朝に羽田を出発し、夜にリールに到着しました。24日から3月4日まで現地活動を行いました。まず、リール大学附属の語学学校(SUP)で、コミュニケーションを中心とした授業を受講しました。フランス語のみでフランス語を学ぶという経験を通して、フランス語運用力を養うことができました。第一週目の午後は主に、文化施設の見学を行いました。リール市庁舎の鐘楼と旧市街、パリ門の見学では、フランドル地方とリール市の歴史、フランドル地方特有の建築方式等について学びました。また、郷土博物館では、消費社会が浸透する前の20世紀初頭のノール県の農村生活について知識を得ることができました。国家単位での歴史について学ぶ機会は多いですが、「地方」の歴史や「農村」の生活を実地に学べるのは貴重な体験であったと思います。
リール大学の学生さんとの交流は、授業で学んだフランス語表現を実際に使ってみる、いい機会となりました。文化の違いが明らかになる瞬間も時にありましたが、むしろそれは丁寧に話し合いを行い、異文化理解につとめるよい経験となりました。フランスの文化を知ることで日本との違いを理解し、その上で日本的視点や思考について、俯瞰して考えるきっかけを得ることができたかと思います。
3月1日と第二週目の午後、そして空き時間には、各参加者は渡仏前に自分が立てたテーマに従って、リール市内の様々な施設を、教員の引率なしで見学しにいきました(リール市美術館、リール城塞など)。この個人研修の成果は、2025年度前期に予定している発表会でプレゼンしてもらう予定です。
3月2日は、パリへ日帰り研修を実施しました。フランスでは大都市を「羊皮紙」に例えることがあります(羊皮紙とは、削って書き直しをするものであり、大都市とは様々な歴史的変遷を経て(つまり削ったり書き直したりされて)、その痕跡を残す地であることを意味しています)。そのことを参加者に説明した後で、パリ発祥の地といわれる「ゼロ地点」(シテ島)、古代ローマの浴場跡、中世に作られたノートルダム大聖堂とソルボンヌ大学、フランス革命の跡地、ナポレオンが建設させた凱旋門、産業革命の名残であるモニュメントなどを巡りました。西洋史と建築史について学ぶことができました。
帰国後、語学学校から、各参加者へフランス語力判定結果の証明書が送らました。1年次終了間近の段階で、A1(仏検3級)とされたのは、十分よい結果であると言えるでしょう。また、プログラム終了時には、参加者の中から、語学を学ぶことへのモチベーションが高まったという声が聞かれました。この経験とモチベーションを、次のステップへとつなげられるよう、事後学習でさらに指導していく所存です。
【学生の声①】
研修を通じて、語学力だけでなく自分の考えを伝える力も鍛えられたと感じています。フランスでは日本よりも「あなたはどう考えるか」と意見を求められる場面が多く、最初は戸惑いました。しかし、信頼関係を築くなかで、少しずつ自分の言葉で意見を表現できるようになりました。言葉が完全に通じなくても、表情やジェスチャーを交えることで思いが伝わる瞬間があり、コミュニケーションとは単に言葉の正しさだけではないのだと気づきました。現地学生との交流では、文化の違いを感じることも共通点を見つけることも多く、異なる背景を持つ人と理解し合う・違いを認め合う楽しさを実感しました。帰国後も交流が続いており、フランス語の学習を継続しながら、さらに成長していきたいと考えています。
【学生の声②】
どれだけ教科書を読んでも実際に現地に行くと咄嗟に言葉が出ず、言語が「わかる」と「話すことができる」はまた別物だということが分かりました。このプログラムは「生きた」フランス語に触れることで話せるようになることの足掛かりになったと感じています。また、スーパーから電車まで節々から文化の違いが感じられ、自分の価値観を考え直すきっかけになりました。交流相手の学生さんとの縁も、この学生時代に「違った社会」を見るということも一生ものの経験になりそうです。