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海外留学のための奨学金

アメリカ海外農学実習「カリフォルニア夏季研修」

令和6(2024)年度支援
研修先:アメリカ 実施部局:農学部 研修期間:2024年9月7日~9月27日 21(日間) 参加者数:5(人)

 本研修は、アメリカ北カリフォルニアの農業や地元の食文化を学ぶことで、異文化理解、分析力、そして世界的な農業課題に対する解決力を養うことを目的としています。国際学術交流協定校であるカリフォルニア州立大学チコ校が実施する短期研修プログラムであり、北サクラメント渓谷地域の多様な農業をテーマに、授業、施設訪問、文化体験の3つの要素を組み合わせた内容となっています。9月7日から27日までの3週間、農学部の学生5名が参加し、期間中は、ホームステイ先の家庭に滞在しました。

・授業内容
 授業では、農業経済学、土壌科学、栄養学などの農学分野について学ぶだけでなく、現地の学生や教員、スタッフとのディスカッションやプレゼンテーションにも取り組みました。こうした経験を通じて、農業に関する知識を深めると同時に、多文化環境でのコミュニケーションスキルも向上しました。

・施設訪問と実地体験
 大学の附属施設である肉加工場や酪農場、牛肉飼育施設、有機野菜プロジェクト施設を訪れ、農業生産の現場とその課題について実地で学びました。北カリフォルニアの農業はワイン生産が有名なだけでなく、クルミ、アーモンド、米の生産地としても知られており、これらの農業に触れる機会にも恵まれました。
 訪問先の一つであるロペス農場では、害虫駆除に若いアヒルを利用し、少ない水で有機米を育てる「アイガモ農法」を学びました。この農法は日本発祥ですが、アメリカではオーガニック志向の高まりを背景に注目を集めています。また、マッサオーガニック農場では、耕作制限や輪作、被覆作物、堆肥施用、羊の放牧といった再生農業の革新的な取り組みを学びました。同農場では、土壌の肥沃度を高め、次世代に持続可能な農地を引き継ぐことを目指した取り組みが行われています。
 さらに、アーモンドやオリーブの加工施設に加え、生態系の回復を目指すHeritage Growersを訪問し、カリフォルニア全土における農業生産と環境保全の先進的な取り組みについても理解を深めました。

・文化体験
 ラインダンスや日本語会話、合唱などのクラブ活動に参加し、現地の学生生活を体験しました。こうした交流を通じて、文化の違いを理解するだけでなく、アメリカの学生たちとの友情を育む機会となりました。

・研修後の取り組み
 チコ校の研修後、11月から3週間にわたりオンライン国際学習プログラム(COIL)に参加し、再びチコ校の学生とともに学びました。本COILでは、チコでの経験をもとに共同でプレゼンテーションを作成し、活発に意見交換を行いました。また、研修の成果として、チコ校から単位が付与されました。

・プログラムの成果
 このプログラムを通じて、国際的な視野を広げるとともに、グローバルな視点での問題解決能力や異文化間コミュニケーション能力を高めることができました。

【学生の声①】
 知の森奨学生基金を利用し、農学部主催のアメリカ海外農学実習に参加させていただきました。
 3週間にわたるカリフォルニア州立大学チコ校での学びは日本の外を知らなかった私に劇的な価値観の変容をもたらしました。現地の広大な農場の景色や大学の講義に流れる熱意溢れる雰囲気に圧倒され、非常に密度の濃い経験をすることが出来ました。ご支援いただきました皆様には、多大な感謝を申し上げます。この経験を社会に還元できるよう、今後の人生を邁進していく所存です。ありがとうございました。


【学生の声②】
 今回のアメリカ研修を通して人の温かさを感じました。研修のコーディネーター、カリフォルニア大学チコ校の教授、学生、スタッフ、ホストファミリー、訪問した農場、施設の方々など全員が歓迎した雰囲気で優しく丁寧な対応をしてくれました。ホームステイもとても良い経験となりました。現地の人の生活を実際に経験し、食生活はもちろんのこと、生活リズム、ゴミの捨て方、運転の仕方などさまざまな違いを感じました。また、大学では一部の授業で一般の学生と一緒に授業を受けることができ、授業への姿勢の違いを大きく感じました。これに刺激を受け、日本に帰ってきてからも講義に積極的に参加するようになりました。研修のおかげで多くの面で意識が変わり、知識もつき、ひとまわり成長できたように感じます。参加してよかったです。