Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

糸井 梓

イタリア

「私は万能人“ダ・ヴィンチ”!」第一歩を踏み出すこと

糸井 梓さん

工学部 建築学科
留学期間:2016年 9月 ~ 2017年 6月
留学先:ヴェネチア・カ・フォスカリ大学

留学先大学について

 カ・フォスカリ大学はイタリアの大学の中でも言語学部、経済学部の分野に長けている大学です。他の大学と大きく違う点はキャンパスが1つの敷地にまとまってあるのではなく、ヴェネチア島内に学部ごと、もしくは講義棟ごとに点在しているところです。つまり、講義棟同士は一番遠いところで徒歩30分以上離れているので、履修をする際にどの教室で行われるのか十分に考慮する必要があります。大学と提携された語学学校も設置されているため、語学を強化したい人は提携先の授業にプラスして取ることができます。留学生の中には半期留学の学生が多いため、前期後期を通して多くの留学生との出会いがあります。

学習面について

 ヴェネチア内には数多くの図書館があるため、勉強する施設が整っています。特におすすめはFondazione Giorgio Ciniの図書館, Fondazione Querini Stampaliaの図書館, Biennale Library。もちろんカ・フォスカリ大学附属図書館も平日は深夜まで開館されていますが、いつも多くの学生であふれています。一方で上記の3つの図書館が比較的利用者が少なく、集中して勉強できる環境が設置されているのでお勧めです。特に芸術や建築、デザインを勉強している学生にとってはBiennale Library が一番良い図書館。毎年行われるVenezia Biennaleで展示・出版された書籍が多く貯蔵されています。

 授業構成については基本的に留学生も受けれるような英語開講の授業も多くあるので、イタリア語が話せない学生でも心配はいりません。ディスカッションやプレゼンテーションを含む授業が多いです。一番注意しなければならない点は、講義ごとの教室です。カ・フォスカリ大学はキャンパスがまとまっていないので、講義の時間と教室の位置を確認して時間割を組む必要があります。

生活について

 学生生活は寮生活またはシェアアパートの2つの生活スタイルになると思います。寮生活ならば多くの留学生やイタリア人の学生とコミュニケーションを取ることができます。基本的に2,3人部屋が多いので、他国の学生と毎日生活することは大きな財産になるでしょう。シェアアパートの場合、門限を気にしなくてよいので自由に生活することができます。どちらの場合においてもキッチンがあれば自炊ができます。イタリアの食材は特に野菜やフルーツが安いです。もちろんパスタやチーズ、生ハムやサラミの種類もたくさんあり、安く購入することができるので食費はあまりかかりません。言うまでもありませんがワインの種類も豊富です。安価な値段で買えるので食文化を学ぶ良い機会にもなると思います。私は寮で生活していましたが、多くのかけがえのない友人ができました。日本人は私一人でイタリア人ばかりの寮でしたが、イタリア人の生活習慣を肌で感じることができました。深夜まで歌って踊っているイタリア人の生活を当時は少し騒がしいと感じていましたが今では良い思い出です。

 さらに文化的観点から見るとヴェネチアは最高の地です。多くの観光客が訪れる「水の都」ヴェネチア。そのため多くのイベントが開催されます。一番主なイベントは国際映画祭、ビエンナーレ展、カーニバル。世界中の優秀な作品が足を延ばせばすぐ届く範囲にある大学はここだけだと思います。また毎週のようにオペラやバレエ、演劇も行われていて、カ・フォスカリの学生ならとても安い料金で見ることができます。美術館もヴェネチアだけでも約20もの美術館や博物館があります。週末や授業終わりに友人を誘って見に行くことも頻繁にありました。

留学で得たこと

 「自分は何を学び、どのような進路を進んでいきたいか」を深くかつ具体的に見えたことが大きな収穫です。建築学科を専攻していた私はこの一年間を通して沢山の芸術や建築、伝統的な文化に触れてきました。その経験を通して日本を改めて見直したときに「自分がこれから日本社会においてどのような立ち位置でどんな役割を果たせるのか」をたくさん考ました。その経験があってこそ胸を張って「私はイタリア留学でこれを学んだからこそ、次に活かして進んでいくことができる」と言えます。専門分野においてイタリアで学んだことを活かし、自分にしか出せないスタイルにこれから磨きをかけたいと思っています。

もう一つはかけがえのない友人の存在。私以外イタリア人だけの寮に住むことで同じよう夢を描いた友人に多く出会うことができました。そして家族のように人との関わりを大切にするイタリア人の気質のおかげもあり、家族のような親友が沢山います。離れていても切磋琢磨して支え合えるような一生の付き合いになる友人を多く見つけられたことは、今後の人生に彩をもたらしてくれると思います。

後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等

 一番大切なことは夢や目標の第一歩を踏み出すこと。そして夢を具体的にすること。留学中は思ってもいないことが沢山起こります。楽しいこともある一方で日々苦闘と葛藤の連続です。その中で少しでも「挑戦してみたい」「気になる」ことにはとりあえず飛び込んでみましょう。一歩を踏み出す前は少し怖いかもしれません。後先のことばかり考えて不安が募るかもしれません。でも留学生活何とかなります!むしろ失敗を恐れてチャンスを逃すのはもったいないと思いませんか?人生一度きりです。自分がやってみたいと思ったことには「自分はイタリアの万能人“ダ・ヴィンチ”だ。怖いものはない!」と思って一歩飛び込んでみてください。そしたら素敵な世界が広がっているはずです。

 私も一歩を踏み出すまでに沢山の人に支えられてきました。失敗は数えきれないほどあります。でもその一歩踏み込んだ世界や経験があるからこそ、今の自分がいます。一歩踏み出すだけで世界や価値が変わります。これから留学をする皆さん、留学を考えている方が一歩踏み出せることを願っています。