
困難を乗り越えていくことで、大きく成長できた
安藤 太織さん
理学部 生物科学科
留学期間:2011年9月~2012年7月
留学先:カトリック大学ルーヴェン
留学先大学について

ルーヴェン大学は街の中に一つの学校があるのではなく、街中にキャンパスが点在しています。いろいろな施設があり、図書館はよく利用しました。とても大き くて静かな環境なので自習にはいいですし、日本の本も少し置いてあるので、よく借りに行きました。また、アルマという学生用の食堂もあり、授業の間などに たまに行きました。値段の割に量は多いですが、全体的に脂っこい料理が多いです。さらに、パンゲアという主に留学生向けの施設があり、普段はカフェみたい な場所ですが、パーティーやイベントなどもよくここで開かれます。僕はあまり利用しませんでしたが(もう少しここを利用するべきだったかなと若干後悔して います。)、ここのイベントを積極的に探す人やそこで自習する人もいました。専用のコップを買えばただでコーヒーを飲めるので、よく行く人は買うといいと 思います。スポーツやアクティビティを積極的にやりたいなら、スポーツカードを買うことで様々なアクティビティに参加できます。バトミントンやバスケなど いろいろな種目があり、多くのものはスポーツカードを買えばただで受けられます。日本の部活やサークルとは違って自由参加なものが多く、毎週行く必要はあ りません。僕はハンドボールや卓球をやったりしましたが、時間帯が遅いことと授業時間やパーティーの時間とかぶることが多いのがネックでした。施設は全体 的に敷地が広いので留学後半はジョギングに使っていました。
学習面について

交換留学でルーヴェン大学に行った場合、学科はArtsになり、PECS(本来アメリカ人に向けて用意された)の授業を受けられます。授業は、メインであり比較的基礎知識のいらないCore coursesと、その他の授業とに分かれます。週に一回で2時間~3時間の授業が多かったです。Core coursesではEUの仕組みやベネルクスの歴史、美術史の授業などがありました。日本語である程度理解しておくと授業でも理解が早いと思います。先生の話し方が訛っていたり、聞き取りづらかったりすることもよくあるので、特に最初の時期は何を言っているのか分かりませんでした。でも先生ごとに特徴があるので、集中して聞いていれば少しずつなれてきます。授業にもよりますが日本の大学と比べ簡単には単位が取れないので、単位が必要な人は相当頑張らないといけないと思います。
また、ルーヴェン大学の授業の他に、CLTやILTで英語やオランダ語の授業を受けられます。僕は英語の授業をとっていましたが、主に文法を重視した授業でした。周りの人は学生でなく働いている人や高齢の方も多いので、若干話しづらさを感じました。もちろん英語を学んでいく上でとても大切な場でしたが、CLTに通うだけで英語会話力が上がるとは思わない方がいいかもしれません。それについては自己学習が大切だと感じました。
生活について

人にもよりますが一日の授業数は少ないので(あまり多くはとれない)、想像したよりも何も予定のない時間は多かったです。なので、充実した留学生活を過ごすには、行動力が必要だと感じました。パンゲアのイベントに参加したり、パーティーを探して飲みに行くなどいろいろ方法はあります。積極的に人と関わっていくことも重要です。特にコミュニケーション力のある人は友人をたくさん作り、どんどん英語力を上達させていました。
その他の日常生活については、特に最初の頃は日本との違いを感じることも多く、分からないこともたくさんありました。時間感覚の違いや、食事習慣の違い、周りが外国人だらけであることなどが、刺激的であるとともに、ストレスにもなりましたが、だんだん慣れていきました。食事は全体的に脂っこいので、自分はよく自炊をしました。アジアンショップという店には米などの食材もあるので、日本の料理もある程度は作れます。あと、ビールはとてもうまかったです。フルーツ系の甘いビールもあり、いろいろな種類があるので、できるだけ試してみてはどうでしょうか。
留学で得たこと

留学先では本当にいろんな人との出会いがありました。様々な国の人と関わり合うのは刺激的で、考え方の違いに驚きました。ジャパノロジーという、ルーヴェンで日本語を学んでいる人のための授業に何回か参加したのですが、へたをすると日本のことを日本人よりも知っているんじゃないか、と思うほど日本のことを勉強している人もいて、日本のことをあまり勉強していなかった自分が恥ずかしくなりました。授業は日本の雇用形態をベルギーと比べたりする内容だったので、日本という国を客観的に見ることができ、考えさせられました。また、自分の場合は外国人だけでなく、ルーヴェンで出会った日本人にも大きく影響を受けました。日本人と話すなら日本でいいじゃないか、と最初は思っていましたが、志が高い人やコミュニケーション能力がとても高い人、何事にも積極的に行う人など、いろいろな考えを持つ人がいて、自分ももっと頑張らなくちゃ、という気持ちにさせてくれました。僕は理系なので周りに文系の人がたくさんいた、というのも大きかったです。それらいろいろな人と関わっていく中で、自分のものごとに対する考え方が変わっていきましたし、コミュニケーションを取ろうという意欲が湧き、コミュニケーション能力がついたと思います。
そして、一度日本から離れて、日本を外側から見る、というのも留学などでしかできないことです。特に日本に帰ってきてから、自分がいかに日本という国の内側しか見ていなかったか、ということを思い知らされました。ヨーロッパという、いろいろな国が密接に関わり合っているところからすれば、日本は非常に狭い世界です。日本が世界から見るといかに特殊な国であるかということや、日本のいいところや悪いところが見えてきたと思います。それと同時にもっと世界のことを知りたい、と思うようになりました。
後輩へのアドバイス

留学先では楽しいこともたくさんありますが、いろいろなトラブルや自分との壁にぶち当たることもあると思います。自分の場合は友達となかなか関係を持続できない、英語が上達しない、などいろいろな悩みがありました。天気がほぼ毎日曇りがちだったのが精神的にきつく、ついネガティブな考え方になってしまったりもしました。しかしそういう困難を乗り越えていくことで、大きく成長できたと自分は思います。何か困ったことがあったら自分ひとり考え込まずに友人に話したりすることも大切ですし、ストレスがたまったら(特にテスト期間はたまりやすいです。)、ジョギングをしたり、友達と飲むなど、いくらでも解決の方法はあるはずです。
それと、上の方でも書きましたが、積極的な姿勢というのはとても重要です。知らない国で色々と不安に思うことも多いかもしれませんが、恐れずにぶつかっていくことが自分を成長させていきます。周りには英語がとても上手い人、行動力があって頑張っている人がたくさんいるかもしれませんが、それらの人に気後れせずに、自分なりのペースで頑張ればいいのではないでしょうか。 そして、もし留学に行くかどうか迷っている人がいたら、是非行って欲しいです。外国で暮らすことを恐れることを恐れる必要はないと思います。自分もはじめは留学先の生活が想像もつかず、不安も多かったですが行ってみればなんとかなるものです。また、自分は人生経験のためという、はっきりした留学の理由や目標もなく留学しましたが、それでもいいんじゃないかと思います。人によって様々ですが、日本では得られないたくさんの経験や出会いなど、いろいろなものを得られるでしょう。それらは少なかれ、その後の人生にプラスに働いていくはずです。