Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

番場 園子

フランス

欠点や失敗を受け入れて成長しよう!

番場 園子さん

人文学部 人文学科
留学期間:2017年 9月 ~ 2018年 6月
留学先:ラ・ロシェル大学

留学先大学について

 ラ・ロシェルはフランスの南西部、大西洋に面したとても素敵な港町です。街の中にキャンパスが点在しており、私が在籍していたFLASHは中心街から歩いて10分程の場所に位置しています。FLASHは人文学部のような学部で、主に文学・言語・芸術などの勉強ができます。キャンパスのすぐ近くには大学図書館、市立図書館、学生食堂やクラブ活動を運営する施設などが揃っています。図書館は新しく、フランス語の教材も揃っているので勉強するには非常に快適な場所です。クラブ活動を運営する施設では一年を通してイベントが行われており、フランスの学生と交流ができるほかに、無料で舞台鑑賞できる機会もあります。私は施設に掲示されているポスターから情報を見つけて、街で行われるコンサートも頻繁に観に行っていました。また、チューター制度が充実しており、大学の登録手続きや銀行口座の開設などの大変な事務的な手続きは現地の学生がサポートしてくれるので安心です。

学習面について

 前期は、交換留学生向けではありませんが有料のCUFLEを受講し、毎日3時間のフランス語の授業と週1回の選択授業を受けていました。フランス語の授業では文法やリスニングはもちろん、「ニュース番組をつくる」というテーマで、グループごと題材を決めて街の人にインタビューしてその様子を撮影、発表してクラス全員で講評するという課題などに取り組みました。選択授業ではフランスの食文化の授業を選択したので、みんなで市場に行き、チーズを買ってきて試食会をするなど日本では絶対にできない授業を受けることができました。しかし、正直なところ、どの授業も私には難しくて最初の頃は授業に行くのが毎日本当に憂鬱でした…。それでも授業が終わった後にクラスメイトと一緒に復習したり、励ましてもらったり、時には愚痴をこぼしながら勉強に励んでいると授業が楽しいと思える瞬間が出てきて、それを糧になんとか乗り越えることができました。

 後期は交換留学生が受けられる無料のCUFLEを受講し、2時間半の授業を週2回と前期とは別の選択授業、その他にFLASHで1年生向けの専門分野の授業を4コマ(フランス語の文法・文学史・美術史・文学作品を基にした映画の分析)をとっていました。専門の授業は指導教官に相談したり、気になる授業には実際に参加したりして選ぶことができます。もちろん授業を受けている大半の学生はフランス人なので、そこに混ざって全てを理解するのは簡単ではありませんが、友達と助け合いながら、分からないことは質問すれば親切に教えてもらえます。また、テスト形式は授業によってフランスの学生と留学生で同じ場合と異なる場合があるので、初回の授業で確認しておくことをお勧めします。

生活について

 私は、日本でいう学生生協のようなCROUSが経営する学生寮で生活していました。ここには留学生が多く住んでいたこともあって一緒にご飯を食べたり、勉強したりすることができ充実した日々を過ごすことができました。寮から歩いて10分程の所には大型スーパーがあり、食料品や生活用品を買い揃えることができるので生活に困ることはありませんでした。ラ・ロシェルは穏やかで小さな街です。パリのような都会とは違い、留学生以外ではあまり外国人をみかけないということもあって、街を歩いていると自分がマイノリティであることを実感しますが、だからと言って嫌な思いをしたことはありません。行き詰った時は、寮から歩いて5分のところにある綺麗なビーチで日光浴、静かな街中を散歩するだけで気持ちが落ち着くので本当に魅力的な街です。

 ただ、日本と比べると事務的な手続きなどは手間取ることがほとんどなので苦労することが多々ありました。私は部屋のシャッターが壊れてCROUSに修理を何度もお願いしましたが、CROUSの金銭的な問題でなかなか業者が入れられず、3カ月ほど暗い部屋で過ごしていました。日本ではありえない!と不満が溜まりましたが、自分の当たり前を相手に押し付けても誰も得をしないなとこの経験から学びました。

留学で得たこと

 私はこの留学を通して、「失敗や欠点を受け入れて成長していこう」と考えるようになりました。日本で生活している時もそうですが、フランスでの生活が始まった頃は「失敗しないようにうまくやらなきゃ」といつも無意識のうちに自分を追い込んで辛くなっていました。ですが、文化の違う国では思うようにいかないことばかりです。言いたいことが伝わらない、銀行のカードが届かない、部屋のシャッターが壊れたまま…こうした状況の中でうまくいかないことを誰かに相談すると、いつも周りの人が助けてくれて解決策を一緒に考えてくれました。そうして「うまくできなくて失敗してもそれを次に生かせば大丈夫、今はとりあえずできることを全力でやってみよう」と前向きに考えられるようになりました。たとえ今日何か失敗しても明日はその分賢くなって成長していると思うと心が楽になります。留学を通して、語学力の向上や様々な価値観を持つ友達と出会って広い視野を持てるようになりましたが、そうした成長を感じられたのは「失敗を恐れずに物事に取り組んでみる」という考え方のもと行動をしてきたお陰だと思います。

後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等

 留学生活を振り返ると、楽しかった思い出より苦労した時のことが鮮明に思い出されます。当時は確かに辛かったのですが、今となっては笑って話せることばかりです。留学から戻ってきて何もかもが変わったとまではいきませんが、語学力の向上をはじめとして多くの成長を実感しています。行く前はもちろん不安や恐れもあると思いますが、留学は行ってみなければ始まりません。失敗しても、全部が完璧にできなくても大丈夫です。ぜひ一歩踏み出してみてください!

 最後になりましたが、私がこうして無事に留学生活を終えることができたのは様々な場面でサポートしてくださった方々の存在があったからです。特に、知の森基金によるご支援のお陰で留学生活をより充実させることができました。本当にありがとうございました。