Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

竹内 朱里

中国

初めての外国人生活

竹内 朱里さん

人文学部 人文学科
留学期間:2025年9月~2026年7月
留学先:山東大学

留学先大学について
私が留学していた山東大学は、斉魯の国、孔子と孟子の故郷にあります。中国の東、華東地域に位置する山東省の省都、済南市です。人口は990万人ほどの大都市ですが、邦人は50人ほどでした。山東大学は済南市のキャンパス、威海市のキャンパス、青島市のキャンパスに分かれており、私が在籍していたのは済南市の中心キャンパスでした。
山東大学は山東省でも1番の大学、全国の大学の中でもかなり上位のレベルであるエリート大学であり、そのような環境の中で留学生活を送ることができたのはとても幸せなことでした。済南は戦時中日本軍と中国軍の衝突が起こった場所であり、特に済南事件の日には毎年防空警報が街に響き渡ります。過去の日本の侵略的行為についても考えることが多い一年となりました。
上海や北京といった大都市ほど、外国人観光客及び留学生が多くない済南、山東大学でしたが、そのような場所であったからこそ困難に対処する力を養うことができたと思います。

学習面について
授業開始前に行われる班分けテストでは「中級3班」という、上から3番目のクラスに振り分けられました。中国語の学習経験がある程度あり、HSKの中高級に挑めるレベルの学生向けのクラスです。私が所属していた国際教育学部では、授業は精読、リスニング&スピーキング、読解と作文、のように分けられ、定められた時間割に沿ってそれらの授業を受けていく形式でした。
私たちの受講する科目では受講者は全て外国人留学生であり、その中で学習するうえで中国語だけでなく他の国の文化、言語やベトナム含む漢字文化圏の繋がり、日本語が古代中国語から受けた影響等様々なことに意識を向けるきっかけになりました。
最初こそ自分のリスニング・スピーキング力の弱さを他のクラスメイトと比べて悩むこともありましたが、3ヶ月ほど経つとその苦手意識も次第に克服し、クラス外でも中国人と意思疎通ができるレベルになりました。やはり留学の利点は、その言語に浸る環境に身を置かざるを得ないことだと思います。とにかく現地語が飛び交う場所で自分の耳と口を鍛えるのが能力上昇への一番の近道です。

生活について
中国の大学では寮生活が基本であり、私たち留学生もそのほとんどは寮で生活していました。家賃は電気、水道込み毎月1,2万円ほどで、中国人学生の寮と比べると高いものの格安で住むことができました。キャンパスに食堂、スーパー、ジム、郵便局等が全て揃っているため、生活はキャンパス内で一通りのことは済みます。中国のネット通販はとても安く買えないものは無いため、よく服や生活用品をまとめ買いしていました。食事に関しては、自炊する留学生も多いですが、私はよく大学内の食堂で食べていました。高くても一品500円以下であるうえに、山東大学の食堂は5フロアあり多種類のメニューが揃っていたためとても助かりました。
中国では支払いは基本的にスマホを用い、Wechatというアプリが単なるチャット、支払いアプリではなくもはやインフラと言っていいほど生活の全てに結びついていました。しかしスマホアプリを使う際は中国の電話番号や中国人だけが持つ身分証が必要なことが多く、基本的には便利なのですが定期的に周りの人に助けを求める積極力が必要でした。しかしながら財布を持つ必要がなく、電車チケットも病院予約も一つのアプリで済む生活はとても便利だったと帰国した今実感しています。

留学で得たこと
この一年間、多くの得難く素晴らしい経験しました。その中でも実感することが最も多く、自分のためにもなったと思うのは「外国人」になることです。
母国を出て「外国人」としてその地を生活すると、今まで経験することのなかった不自由が毎日に付き纏うようになります。特に中国では前述したように電話番号と中国人のみ持てる身分証、そして中国の銀行口座が必要な場面に毎日遭遇します。電話番号と銀行口座は外国人でも持つことはできますが、身分証はどうにもなりません。そのうえ私たち東アジア人は、中国人と見分けがつきません。困って呆然としていても、周りの人は気づかないので受け身でいられなくなります。そして実際に、現地人から日本人に対する蔑称で呼ばれたこともありました。このような外国人としての不便で特別扱いされる、問題にぶつかることばかりの生活を送ったことは、自分の積極性と問題解決能力、そして日本に住む外国人への解像度も上がったと思っています。

後輩へのアドバイス
ここ数年で円安が進み日本人は海外旅行に行きにくくなり、ニュースでは外国人問題がよく取り上げられています。外国というもの自体が、もしかしたら遠くに感じられる時勢かもしれません。そんな時でこそ外国に身を置き知を求め、自分の目で「外国」を見てみるべきなのではないでしょうか。そして外国を見ることは、日本をよく知るきっかけにもなります。現地の人と会話して初めて、自分は日本のことを何も知らないと気づくこともあるでしょう。留学はただ外国で外国のことを学ぶという経験だけではありません。確かに自身の全面的な修養につながるのです。
そして中国という留学先は、英語を話す人があまりいないため中国語の学習にもってこいなほか、近年のマイナスなイメージを考え直すとても面白い国です。物価も安く、食事も日本人の口に合い国内に旅行先が回り切れないほどあります。台湾、香港、シンガポール、マレーシア等も中国語学習の選択先になるかと思います。もちろんこれらの地域にはそれぞれ素晴らしい点があるでしょう。しかし「不到长城非好汉」の長城は中国しかありません。言葉とそのもととなった景色を見ることのできる中国はおすすめしたいです。

知の森基金へのメッセージ
2025年9月ごろから円安が戻ることなく続き、日本円に直した消費額も毎月増えていきましたが、知の森基金があったことはとても心強い後ろ盾となりました。非常に感謝しております。
ありがとうございました。

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