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経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

大野 正成

中国

蘇州での一年

大野 正成さん

人文学部 人文学科
留学期間:2017年 2月 ~ 2018年 1月
留学先:蘇州大学

留学先大学について

  蘇州は上海からおよそ80㎞西に位置する街です。中国には「上有天堂下有苏杭」(上には天国、下には蘇杭がある)という言葉があります。この言葉に表されるように、蘇州・杭州は肥沃な大地を有し、古くから栄えた街の一つでした。蘇州大学はそんな風光明媚な名勝古跡を今に伝える蘇州の街中に位置しています。

 私が通ったのは地铁一号线相门站(地下鉄一号線相門駅)降りてすぐの蘇州大学本部です。他にも郊外に2つあり、全てで3か所キャンパスがあります。ほとんどの留学生が本部のキャンパスで授業を受けていました。さて、この本部キャンパスですがとても広いです。本部キャンパスの西側は1900年に創立した「東呉大学」を前身とする蘇州大学の歴史を感じさせます。緑豊かな景色の中にレンガ造りの建物や、白壁の教室などが溶け込んでいるかのように建っていてとても美しいです。東側のエリアは学生寮、スーパー、運動場などがあり、学生の生活の中心といった雰囲気があります。   

 大学周辺の環境も素晴らしいです。大学北側には世界遺産に登録されている庭園があり、情緒に溢れた街並みを散策できます。一方大学東側は高層ビルが立ち並ぶ現代的な風景が広がっており、買い物やご飯などに困ることがありません。

 蘇州大学はキャンパスの中、キャンパス周辺ともに環境に恵まれた大学です。

学習面について

 私は一年を通して海外教育学院で留学生向けの中国語の授業を履修していました。ここでの授業は学生の語学能力を1~6班のクラスにわけ、それぞれ別々の授業を受けます。1班は中国語の基礎から勉強する初級クラスで、数字が大きくなるほど難しい教科書で勉強をしていきます。つまり6班が最上級のクラスということになります。このクラス分けは何で決まるかというと、現地での申請をする際に受けるプレースメントテストの成績です。私の場合は最初の学期は4班、次の学期は5班で勉強をしていました。

 授業の内容はというと、オーラル、リーディング、ライティングの三種類があります。それに加えて午後には選択授業が開かれています。この選択授業は必ず受けなければいけないものではありません。ですが、中国の映画に関する授業や、民族や風俗について紹介する授業など興味深いものが多く、たくさんの生徒が参加していました。

 また中国語の資格としてHSKを受けたいと思ったときにもとても便利です。蘇州大学がHSKの会場になっていることもあり、海外教育学院の先生方が事前にアナウンスしてくれますし、登録方法も案内していただけるので安心です。

生活について

 蘇州での生活が始まったばかりの時は日本からの留学生と一緒にいる時間が割と長かったのですが、時間の経過とともに一緒にいる時間は少なくなっていきました。後半になると韓国からの留学生やインド、ベトナムからきている留学生と遊んでいました。蘇州大のOBの方や武漢出身の学生と親友になれたこともいい思い出です。日本人と一緒にいるときはどうしても日本語を使ってしまいますが、そうでなければ会話はすべて中国語だったので、楽しみながら中国語を覚えることができました。

学生寮については辛い思いをしました。蘇州大学の学生寮は留学生の場合一人部屋か二人部屋を選ぶことができます。一人部屋の場合学期で7000元、二人部屋の場合その半額の3500元で申請できます。私は3500元の相部屋だったのですが、ルームメイトと生活リズムが合わなかったり、趣味嗜好の違いがあったり等で、最終的には会話すらしない状況になりました。このような険悪なムードが続いたので、ほぼ毎日授業が終わってからすぐには部屋に戻らず、カフェで時間をつぶしていました。正直な話、土日も合わせれば学校にいる時間よりもカフェにいる時間の方が長かったです。その分外で友人と話している時間が長かったので、授業で覚えた中国語の量と同じぐらいの量を学外で覚えました。

 最後に料理について、蘇州はこちらで食べているご飯と比べると、安い、多い、美味いで素晴らしいです。ただ油っこいものが多いかなという印象があります。それでもインド料理や、韓国料理、日本料理、イタリア料理等々いろんな飲食店があるので、本当に食事で困ることはありません。辛い物のも多いのですが、想像していたよりは多くないなと思いました。むしろ蘇州の名物料理は甘い味付けのものが割と多いです。辛いもの好きの私にとっては少し残念な点でした。

留学で得たこと

 中国語を使って会話することそれが何よりも楽しい。そう思えたことがこの一年で得た財産です。もちろん今でも分からない言葉だらけですが、その分からないことすら楽しめている自分はとても幸せです。

 内面の変化もありました。以前の私と比べて環境の変化に対して全く動じなくなりました。あまりの急変ぶりに戸惑っています。

後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等

 まず私が留学を考えている学生の皆さんに言いたいことは、「ルームメイトには優しくしましょう」ということです。それからルームメイトに不満があったらその場ですぐに言うことも大切です。私は相手に対する不満を我慢して言わなかったので大失敗しました。小さなことのようですが、これは本当に大事だと思います。

 それから、積極的に現地の友達を誘って外に遊びに行きましょう。遊びも現地の文化や食などを知れる勉強です。友人との会話も言語を習得する手助けになります。

 最後になりましたが、留学先での人間関係は非常に重要です。皆さんが留学をしようとすると「異文化理解」や「異文化コミュニケーション」という言葉を耳にすることがあると思います。この言葉は大切な言葉かもしれませんが、むしろそれを意識しすぎるとかえって現地の若者たちと親しめなくなってしまうこともあるのではないのでしょうか。そのような言葉だけでは説明しきれないような愛と友情に溢れた関係を、海を越えた先で築けることも留学の魅力だと思います。