どうしても超えられない壁を見つけた留学期間でした。
工藤 祐希さん
人文学部 人文学科
留学期間:2019年 4月 ~ 2020年 2月
留学先:ライプツィヒ大学
留学先大学について
外国の大学に行くことが初めての経験だったため、宗教、人種、政治など一緒くたになった大学の様子に初めは戸惑いました。留学生の多さや様々な国籍はもちろんのこと、大学内部に教会があること、一般の方や旅行者が多く来ていたことなど、日本では見たことのない様子に驚きました。企業の製品や政治団体についての集まりなども頻繁で、そういった日本と異なる大学のオープンな部分は多少の慣れなさがありつつも、刺激的でした。
学習面について
本当に苦しかったです。もともと何かを学習するのには時間をかけてゆっくりとやるような人間でした。しかしながら留学中はどんどん新しいことを吸収していく人がクラスにたくさん、一人取り残され、焦ってできないことを見つけては落ち込むことを繰り返しました。誰にも相談できず、一人で抱えて動けなくなることがしょっちゅうでした。これは本来持っている私の性質で、どうすることもできないものでした。これを何とか克服したんです、という話が続けばよいですが、私はそうはなりませんでした。できないことがあるとき、わからなくて困っているとき、それでもいい、大丈夫だと必要以上に苦しまないことが本当に必要でした。
生活について
一人暮らしは経験していたので、家事全般で困ることは特にありませんでした。しかしながら、寮がもう一人の住人と共同のタイプで、共同生活には辟易することが何度もありました。生活リズムがかぶる人が一緒だとトイレやシャワー、キッチンが使えず、周りに配慮が欠ける人だと電話の声が聞こえてくる。極めつけは、同居人を女性と限定していたにも関わらず、帰国の一か月前に男性が入ってきたことです。配慮もあり、気にかけてくれる親切な人でしたが、ほかの体の不自由なかたのサポートをしている人で、連日深夜に帰って来ました。同居人が2回変わり、3人と知り合いましたが、お互いに気を付けていても少なからず不満はあったので、異国の共同生活は本当に神経がすり減りました。
留学で得たこと
多くはないけれど、確実なことは楽しむことだったと思います。日常生活や楽しいイベント、ちょっとした集まりの中にも、人間関係や語学力の壁がありました。壁を壁として上ること、打ち壊すことも絶対に大切なことですが、あえて避けること、無視することも必要でした。楽しさのなかに何かしら不満や問題を見つけては一人で考え込み、困り果てることが何度もありましたが、何も気にする必要はなかったんだなと思います。今思えば留学で失敗できない、と思いつめすぎることが本当に問題でした。そう思うほど慎重になって動けなくなります。これから行く人たちは手ひどく失敗するといいです。決して悪い意味でなく、そんな失敗に思い悩まず、笑い話にできることが本当に大切だと思います。